第二話 その手は離さない
悪魔を倒した女は、なにかイライラしていて気分であった。
「チッ…この悪魔…平衡感覚を鈍らせる奴か…」
「まだ頭の奥がズンズンするぅ… 」
「漁猟共め…ちゃんと仕事しろよ…」
「なんのための幽霊狩りだ…」
眉間に指を置き顔をしかめている。二日酔いのような顔だ。
一方ロークは、テスカーに怒鳴りそうなほどの怒りが見えていた。当然だろう、悪魔を見たいがために近づいた無謀さを、助かって良かったでは済まされない。
「テスカーお前…」
テスカーの頭の上に手をあげる
その動きは、何度もテスカーに拳骨を喰らわせていた動きだった。
目を瞑り覚悟する。
「ごめんなさ――」
拳骨が来るはずだったが…目を瞑っていたテスカーの頭の上に、ポンと優しく手を添えられた。その手に力はなく、子供を撫でるような手付きだった。それから、さっきまでの顔が嘘かのように、いつも通りの優しい顔に変わっていたのだ。
「…あれ?」
ロークの第一声は、泣きそうなテスカーを落ち着かせる言葉だった。
「大丈夫かテスカー」
「無事ならそれでいい…」
「ごめん…」
「謝るな…好奇心が勝ったんだろ?」
「気に…なって…」
「気になって悪魔に近づくのは、大したもんだよ」
「落ち込むな」
「お兄ちゃん怒ってないから」
「もう悪魔に近づかない…」
落ちそうな涙を裾で拭き、擦る。
「テスカー」
「いくら好奇心が勝っても無謀な事はするな」
「これは、お兄ちゃんとの約束だぞ。」
「いいか?」
ロークは、自らの小指をテスカーに差し出す。テスカーも、それに答え小指を差し出し約束を交わした。
「うん…約束する…」
この空気をぶち壊すかのように割って入る狩人の女は、自分の体調を気にしてるみたいだ。
「あーしんどい…泣くのは村に帰ってからにしてくれ…」
マリはまだ顔をしかめている。二日酔いの状態で来ており、更に不快感を誘発させる悲鳴を聞いたんだ。今は槍で杖代わりしており、やっとの状態で立っている。
横になれば楽になれるのに、狩人の教訓は身に着いているみたいだ。
「悪いけどさ、おぶってくんない?足で帰るのキツいかも…」
「それとさぁテスカー」
「結構度胸あるねー。感心するわ」
マリは、吐きそうな顔をしながら物言っている。
だが、ロークは悩んでいる。マリをおぶる話ではないが、テスカーの事をよく知っているので考えているのだ。
(こいつこのままにしたら、また同じことするだろうなぁ)
(反省とか三日までだし。)
(いっそのことお願い叶えさせて大人しくさせるのもありだな。)
足音ひとつ立たず、もう1人が現れた。
「ごめん。遅れてしまった…それとなぜテスカーがいる。」
悪魔の平衡感覚を歪ませる力により、遅れて来た人は、この村1番の狩人フェイだった。
「それほ…僕が―― 」
ロークはテスカーを庇いだした。
「こいつは旅人になりたいと、あーだこーだ駄々こねてうるさいから、悪魔を直で見せて危ないと教えてあげてたんだ。」
(そんな話だっけ?――)
「え?そ――」
ゲロロー
マリは、さっきまでの話と違うと言いたげだったが、嘔吐により揉み消された。
我慢ができなくて横になっている。
マリが吐いたのを気にとめず、フェイは喋り出す。
「今回の討伐対象は獣、または怪級だった。」
「お前の実力で守れるのは百歩譲って理解できるが…一般人を見学程度で近づかせるな。」
「それとマリ…酒は控えておけ…」
「今日みたいに、お前の都合なんて考えてないんだぞ。」
(フェイさん説教の時は真面目なんだよな)
「おっしゃる通りです。」
(昨日はほんとに飲み過ぎた…………)
「……はい…」
フェイは真剣な顔で説教しだし、しばらく続いた。マリは寝ている。
「はぁ。俺はマリをおぶって村に帰るから帰りは気を付けろよ。」
フェイは、討伐対象の証拠になるものを集めた。
悪魔の全ての指を切り落としポケットに詰め、それからマリを抱えてフェイは、すぐに消えた。
「テスカー。」
「ごめんなさい僕が悪いのに庇っ――」
「旅人になりたいんだろ?」
「だが1人はダメだ。危険すぎる」
「……だから、俺が付いて行く」
「え、それって…お兄ちゃんと一緒に旅に出るってこと?」
「そうだ。」
それを聞いたテスカーは目を擦り微笑んだ。
「お兄ちゃんありがとう。」
「ありがとう!」
「大好きお兄ちゃん!!」
(はぁ…まったく。)
「今回だけだからな。」
「次新しいことしたいとか言いだしたら俺は、お前を村に連れて帰るし旅は終わりだ。分かったな?」
「そんなことぐらい分かってるよ!」
「旅!旅!旅!」
「ほんとに分かってんのかそれ…」
その反応に呆れながらも、ロークはテスカーの手をとり握った。
そのまま、何も言わずに二人は村へと歩き出した。
少年の無鉄砲さは、聞いて呆れるが…いつか成長するだろう――
最後まで読んでくれてありがとあございます!
キャラ紹介
マリ
人種:人間
性別:女
年齢29歳
身長:170cm
称号:狩人。
武器:槍
剣術:月光
特徴:ウエスト細い。いつも酒飲んでる。アホ。脳筋気味。アイドルに夢見ているが、太ももがムチムチ気味なので諦めている。槍一本で戦っている。この槍はフェイに買ってもらった誕生日プレゼントだ。
フェイ
人種:灰人
性別:男
年齢:34歳
身長:184cm
称号:狩人。波わたり。継承。強者。大義。
武術: 「天凱蒼丸白・中段」碧天。
剣術:。アスタナ剣術。月光。
遺物の保有数:2つ。等級は二級と上位三級
特徴:緑色の革素材を着ている。紫の包帯が手首に巻かれており、膝にナイフが付いている。静かな男。面倒見いい。




