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1-5

満面の笑みでこちらを見下ろされては堪らない。


「…ちょっとだけですからね。」


フィオナは諦めたように笑うと、巨木に掛かっている梯子に手を伸ばした。梯子と言っても、ツタで出来た天然のものだ。

勘を頼りにそれらしい場所に足を掛けて登っていく。


本来なら、私の種族はこのような足を使う行為はしないのだろうな、とふと思った。登りながら自身の背中に感じる両翼を改めて感じ取る。


今はまだ怪我が完治していないため完全に広げることも出来ないし、完治したもしても「飛ぶ」行為は控えた方が良いそうだ。


難しい表情をした学園長、(もとい、リアンの顔が目に浮かぶ。


______________

_______


『あれだけの致命傷を食らって生きているはずがないと考えるのがフツーだが、万が一を講じておく必要がある。』


_______

______________


だから、天族特有の行為=翼を使って飛ぶ行為は控えた方が良いのだそうだ。

執拗に私の命を狙う理由は残念ながら未だに思い出せないが、リアンの言う通りにした方が得策だろう。


「登れそう?」


ふと感慨に耽っていると、いつの間にかフェンが側に来て手を伸ばしていた。


「捕まって。」


華奢な体付きに反して、がっしりとした男性の手だ。握られた瞬間、ドキリと心臓が高鳴った気がした。


「フィオナはちゃんと食べないとダメだね。」


そうしてフェンに引き上げられた勢いで抱き止められる体制になってしまったのだが、中々離してくれない。

さらにキュッと力を込められ、腕の中に閉じ込められてしまい耳元でくすりと笑われた。


「良かった、ドキドキしているのは僕だけじゃないみたい。」


「ちょちょっと…!」


動揺が筒抜けだ。恥ずかしいのと何だか居た堪れない気持ちになって身じろぎすると、今度はぐらりと視界が動いた。


その数秒後に、お姫様抱っこされたのだと気付き慌てる。


「もう、フィオナが可愛すぎるのがいけないんだよ?」


そのまま即席ハンモックに下ろされ、向かい合う形で寝転がる。


本当に、普段のフェンからは想像できない程の大胆さだ。そしてそんな彼女の考えもお見通しのようで、彼はにっこりと微笑みながら口を開いた。


「皆んな、僕がおっとりしてると勘違いしているようだけど、それはフェティートの体質が原因なんだ。

でもほら、見て。」


フェンの指先に見えるのは遥か上空。緑に覆われているおかげで、太陽光はこちらを照らす事が出来ない。


「この空間だけは特別なんだ。

だからね、いつもの本当の僕で居られるんだ。そしてね…。」


小さなリップ音と共に、額に柔らかな感触が伝わる。




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