第14話
「今日の会議はこれにて終了!」
やっと終わった...午前中はやっと終わった...
そう...午前中は...なんだよ...午後があるんだ
...頭沸騰しそうだ...。
「椛...助けてくれ...」
俺の切実な願いだ...。
「私も頑張ってるんですから頑張ってください」
ピシッって擬音がなりそうなくらい指さされた...。
「次はなんだ?」
「一時間ほど休憩を挟んだ後今度は」
「椛...静かにしろ...」
「はい?どうしたんでしょうか?」
今この屋敷内には俺と椛と配下が何人か...この部屋なら俺と椛だけな筈...。
本来漂うことは無いはずの...いるはずのない...微かだが妖気が......空気中に?細かすぎる...
「一体何者だ...気付かんとでも思っているのか?」
空気中の妖気が一瞬震える。
微弱だが...前の俺なら絶対気付かないほど小さい物だったが...。
「姫雪様?一体誰と.........」
「よく気付いたねぇ...先代なら気付くかどうかってくらいなのに...」
徐々に何かが集まってくる。
空気から霧へ霧から固体へと形を変えていき最終的には小さな幼女の姿になった。
「なっ!い...伊吹様...」
鬼...か...。なら椛が驚くのも分かるが...。
「ほう...鬼の四天王が俺に何のようだ?」
「へぇ...知ってんだ小僧?」
何故か俺に殺気を放ってくる。
俺なにかしたか...。
何故こうも理不尽なんだろう...。
考えるとイライラしてくる。
溢れ出た俺の妖力が屋敷を揺らす。
「何故俺に殺気を向ける...俺は今機嫌が悪い...消えてくれ」
横で椛がガタガタ震えている...が今は無視する。
「ほう...なりたての小僧が言うねぇ...」
「仏の顔は三度まで...次はないぞ...消えろ」
「二度あることは三度ある...三度目はどうなるんだい?」
屋敷がさらに震える。
俺は刀を浮かし手を掛ける。
「消すのみだ」
俺は刀を滑らせ振る...が鬼は俺の刀を己の拳で受け止めた。
「小僧にしてはなかなか強いな...」
俺は拳で受け止めた方と逆側がぶれるのを見て後方に飛んだ...が拳にあたっていないにも関わらず吹き飛ばされ庭の壁に打ち付けられる。
「ひ...姫雪様!」
「し...んぱい...ない...」
俺は壁に手をつき立ち上がる。
だがなんつー力だ...掠りもしてないのに吹き飛ばされるとは...。
「へぇ...先代の息子だから強いのかと思えば...随分弱いな...」
声のした方を見ると既に居なくなっていた...が急に横から殴り飛ばされた。
「これだから天狗族は私達鬼の上にはたてないんだよ...ま、長がこれだから仕方もないようだけどね」
それを聞いた瞬間俺は後ろからくる拳を掴んでいた。
「よほど消えたいようだな...」
ちょっと力を入れただけでボキリっと耳に悪い音がした。
「へぇ...鬼の腕をたやすく折るなんて...なかなかやるじゃないか...」
俺の横に集まってくる霧から幼女が現れる。
「いやー参った参ったまさか折られちゃうとはねぇ...様子見に来ただけなのに...」
は?何を言って...。
「じゃ改めて、鬼の四天王!伊吹萃香とはあたしのことさ!」
............なにこれ...椛なんか腰抜かしんてんぞ
「すまんが話が見えないんだが?」
「言ったじゃん、様子見って」
「やれやれ...わかった...一応もてなすよ」
そのあと駆けつけてきた天狗達に事情を説明して現在昼食タイム。
何気なく机を挟んで食しているのは騒ぎの元凶...伊吹萃香...ってか何故まだいる...そして勝手にどこから酒を持ってきた...。
「いやー折られたのが左手で良かったよー...右だったら酒が飲めないじゃないか」
いやまてその解釈はおかしい。
「左でも飲めるだろうに...」
「利き手の方が飲みやすい」
「いやそんな理由かよ!」
はっ!素で突っ込んでしまった...。
「ひ...姫雪様...次の仕事が...」
「う...次はなんだ...」
「烏天狗と白狼天狗の代表を決めなければいけない会議です」
「いなかったのか?」
「いえ...いたのはいたのですが...あの...姫雪様が倒した者が烏天狗の代表だったんです」
あんな弱いのがか?まだ文の方が強かったぞ
「あぁ...大天狗達にそれは任せる」
「いいんですか?」
「大丈夫だろうよ...多分...」
「全く...先代と違ってお主はめんどくさがりよのう?」
「鞍馬様からも言って頂けませんか?」
おおう...初めて大天狗の1人に会った...。
「鞍馬よ...どうせこの小僧は母と一緒だ...そうそう聞くもんでもあらせんと思うんだが」
「あんたは誰だ?」
「飯綱様...」
「してなぜここに下っ端がおるのか?さっさと自分のすることをせぬか」
「す...すみません...すぐに戻ります」
なんか雲行きが怪しい...と言うよりこいつ...
「よせ飯綱よ、言い方と言うもんがあろう?」
「鞍馬、下っ端は下っ端、それはどうあがいても変わらん事実よ、本来おるべき場所に行けと言うのの何が悪い、そこの小娘...その刀をどこで手に入れた...」
椛に殺気が飛んでいる...って言うかそろそろ助け舟を出してやるか...。
「それは俺が渡した物だ...それに何故ここにいるのかと聞いたな...それは椛が俺の従者だからだ...お硬いお前らといても面白くないんでな...欲しい質問には答えたぞ、いい加減殺気を静めろ」
俺は飯綱と呼ばれた天狗を睨みつける。
「それは失敬...と言いたいところだが...何故下っ端の白狼などを選んだ?」
「飯綱!小僧とはいえ天魔様だぞ!いい加減にせぬか!」
「鞍馬...いつから貴様が我に指図できるようになった...天魔にでもなったつもりか?」
最近椛って震えること多くないか?まぁ大天狗が椛を挟んで殺気を飛ばしまくってるわけだからな...また助け舟を出航させるか...。
「主らはほんとに犬猿の仲よのう...」
なんなんだ...今日は厄日か...会議どころじゃないぞ...ってか萃香...っていねぇし!!!
逃げ...る訳ないか...微かだが感じる...この状況見て絶対ニヤニヤしているに違いない...。
「白峯か...何故ここにいる...」
「邪魔をせんでくれぬか...」
「何故そこまで貴様等は仲が悪い...」
おい待て...椛が顔が青いぞ...酸欠か?
「いい加減にしろ...なんとかとなんとか」
「わしゃ鞍馬じゃて名前くらい覚えておいて欲しいものだ」
「飯綱と言う名がある...いい加減にしろ...とはそこの小娘でも気にしておるのか?」
こいつ...知っていてやってるな...。
「こっちにこい...椛」
「貴様が近付いてよい方ではない...仮にも天魔様なのだから...」
「そう言うのならもう少し言い方と言うもんを学べ」
なんで俺まで殺気を飛ばさなきゃいけねぇんだよ...。
お陰で部屋が殺気まみれだ...椛...気を確かに持っとけよ...お前って奴はほんとに不憫だな
「いい加減にしやがれ...くそじじい共」
一気に殺気が強くなる。
唯一出してないのは白峯と呼ばれた大天狗だけだ...。
厄日だ...。
正直に言おうか...物凄い...初めて恐怖を覚えたかもしれないくらいに...。
俺は無意識に刀に手をかけていた。
「ここでやると言うなら受けて立つ」
「いい加減にせぬか!白峯!飯綱を連れて行け!」
白峯が飯綱を掴んだ瞬間消えた。
「なっ...消えた...」
椛もようやく解放されてホッとした表情を見せ何故か立ち上がらず体をすって近寄ってくる。
「すまぬのぅ見苦しいところを...飯綱だけは昔からあんな性格をしておっての...ま、大目に見てはくれぬか?」
「それはいいんだが...」
「何故消えたのか?ということじゃろう?あれがあやつの能力...とでも言っておこうか...あと小娘が腰を抜かしておるようじゃぞ...はっはっは!ではこれにて失礼」
あ...嵐のように来て凪の海のように終わった...今日は上手くいく気がしない...。
確実に厄日だ...。
「す...すみません...う...怖かったです...」
徐々に目に涙が溜まっていく椛ってうぉぉぉい!
「な!泣くな!ほら...泣くな!」
そう言って抱き締めたのが失敗だった...。
塞き止めた川が一気に溢れ出た様に泣き始める椛。
「ちょっ...まっ!泣くな!」
俺の心限界!折れちまうから!
「怖かったんですよ〜...挟まれて...死にそうなくらい殺気が飛んできて...腰が抜けて...姫雪様の元に行きたかったのに...動けなくて...う...うぅ...」
まるで子供のように泣く椛の頭を俺は取り敢えず撫でとく...じゃないと...。
「もういいか?」
「は...はい...ありがとうございます...」
すると障子が開き文が入ってきた。
「天魔様!会議に遅れてますよ!」
急に...正確変わったか...。
俺も椛もぽかんとしている。
つい先日まで触れば切れるような危ない正確だったのに...何かあったのか...。
「なんでそんな顔してるんですか〜?文ですよ?」
「いや...分かっている...」
「椛もこんなとこにいたの?あなたなら天魔様の日程も知っていたはずなのに」
話はそこじゃねぇ!いや...それも重要なんだが...。
「お前...性格...変わった」
驚きすぎて片言になったが...聞きたいことは聞けた...うむ...よしとしよう。
「はて?なんのことでしょう?」
「いや変わった...」
「なんのことでしょう??」
「いや...」
「な・ん・の・こ・と・で・し・ょ・う?」
「わかった...」
明らかに殺気が...器用に俺のみに飛ぶようにしてやがった。
「会議はそっちで勝手に勧めてくれるか?進行はお前に任す」
「えぇー...嫌ですよ〜自分で行ってください」
「お前が組織に縛られずに好き勝手すると言う条件つきだが?」
「やります!やらせてください!是非ともお願いします!」
買収成功...ふはははっ!ちょろいもんよ!
とふざけてる場合じゃねぇな...。
さてと...なら今日から人里に白狼の哨戒部隊でも配置しに行くか...。
「椛、部隊の奴ら連れてこい...うむぅ...第一番隊と第二番隊を連れていくか」
1部隊5人の部隊...残念ながら烏天狗には断固拒否されたが白狼天狗には何故か絶大な支持があったが...何故あんなに烏天狗と白狼天狗は仲が悪いんだ...。
大天狗どうしも仲が悪い...。
組織としては最低レベルだな...。
俺の場合白狼天狗達は普通だが烏天狗達は何故か...俺を敵視している感じがある。
「姫雪さんただいま戻りました!」
後ろには10名の腕に覚えのある者達が隊列を組んで並んでいた。
「さてお前らに問う...お前らが守るのはこの山と人里...たが基本任務は人里になるだろう.....人間が嫌でここを去る者は去れ...そんな者がいれば任務に支障がでるのは分かりきっている...だが同族意識と人間を守る意思...この二つを持てる者は残れ...時間は三十秒やる...決めろ」
俺は目を瞑り三十数える。
三十数えた所で目を開けると......一人も欠けてはいなかった。
「それがお前らの意思か!」
「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」
...俺の直轄白狼天狗にしようかな...割と真面目に悩むな...。
「では一度人里に向かう...話は...多分通ってるだろうが一般人にまで通っているかは分からん...そして本任務の総責任者は犬走椛とする!!」
さて...快い返事を貰った所で。
「いくぞ椛」
取り敢えず天狗達を引き連れて俺は山を降りる道に向かう。
まぁ空を飛んで行くんだ...対して時間はかからんだろう。
「あのー...責任者ってことは...」
「あぁ...多忙になるな...だが従者は続けてもらうぞ...ま、程々に休みは取らせる」
何故ホッとした表情をする?
まぁいいんだが...こういうのは気にしたら負けだと言うしな。
俺は翼を広げ空に舞う。
まだぎこちないが...まぁゆっくり行くつもりだからな...墜落せん限り大丈夫だろうな。
この後やはり墜落したことを記しておく。
「すまん...やっとついたな...」
俺の墜落後全員で探したらしい。
椛も焦って能力の使用を忘れていたらしい。
はははは...飛べねぇじゃねぇか...。
飛べる内に入らねえよ。
「止まれ...妖怪を従えて何のようだ」
村に入ろうとしたら止められた...と言うより仕方ないかもしれんが。
「この村の代表に会いたい...と言うより守護をしている者に会いたい...書面は飛ばしてあるゆえ呼んできて貰いたい...名は上白沢慧音と言ったか...」
「了承した...今読んでくる」
お前らー...頼むから殺気だたないでくれ...だから言ったろうに...里の末端の人間は知らないかも知れないと...。
一人で頭の中で喋っているとさっきの男が帰ってきた...って......嘘...だろ...やっぱり厄日か
「私が上白沢慧...音...だ......」
相手も気付いたようで呆然としている。
「きょ...今日は...例の件で...」
気まずい...まさかあの時の女性だとは...。
俺の頭には昔の光景が広がる。
逃げ惑う人々...それをどんどん殺していく俺...守る様に立ち塞がる2人女性...。
攻撃し一人は不死たったがこちらの女性は違ったはず...。
建物ごと吹き飛ばしたあの光景。
「すまない...あの時は...」
「過去のことだ...許せん事ではあるが...今は
よそう...今日は何の用だ?」
「書面の通り...この里に天狗族の部隊を配置し守備につかせると言うものだが...」
「お前は何者だ?」
「今は天狗族の長...天魔姫雪だ」
「なっ......はぁ...お前は一体なんなんだ...まぁいい...取り敢えず立ち話もなんだ...着いてきてくれ」
そう言って前を歩き出す、それに俺達は続きついて行く。
後ろよ...気付いているぞ...キョロキョロしているのはな...。
物珍しいのはいいが......まぁいいか。
するとすぐについた。
「ここを拠点として使ってもらう」
俺は中に入り屋敷の中を見物する。
囲炉裏がある居間があり部屋が4つほどある
ここまで確認して俺は居間に戻った。
「さて天魔殿...本当に信じていいんだな?」
「何をだ?」
「確かにここの守備に部隊を配置して貰えるのは助かるが信用に値するかと言う事だ」
「貴様!天魔様になにを!」
「まぁまて...つまり同族意識の強い天狗族がこの里の守備をするにあたり俺の部下が信用に値するかという事だな...いざというとき自衛的に動くのではないか...または人がいないところで襲ったりするのではないか...または我々天狗族が放った斥候兵ではないか...と」
無言か...では恐らく図星だな。
「無言は肯定とみなすぞ...まぁ仕方ないな...我々はどう足掻いても妖怪だ...人間の恐怖を糧とし力を強くする...確かにおかしな話だ...妖怪が人間を守護するなんてな...」
「では何故!お前はこの里を守ろうとする!この里から出た人間を次々と襲わせていたのは貴様だろう!心変わりでもしたか?改心でもしたつもりか!」
明らかに敵意を込めて俺に怒鳴り散らしてくる。
「今まで連れ去られた人間は三桁を超えているかも知れない!それを今更何が守るだ!なら連れ去った人間を耳揃えてここに連れて来い!」
はぁ...はぁ...と息切れを起こしこちらを目が裂けんばかりに睨みつける慧音。
「俺の母が迷惑をかけた...今更許して貰おうとも思わん...別に人里の中ではなくても外に小屋でもおったてて勝手に守備の真似事でもさせてもらう...」
俺はそれだけ言って席を立つ。
「待て...どういう事だ」
「俺は二代目だ...先日長になったばかりのな...ま...別にいいか...我々の立ち入りを規制するなりなんなりして遠ざけるがいい...気が変わった...もういいか?」
「本当に...信じていいんだな...」
「またその質問か...信じるか信じないか...他人に聞くべき質問ではないはずだがな」
「............わかった...信じよう...頼む...」
「.........了承した...お前らはここに滞在しろ...では慧音殿...村への説明は頼む...今日はこれにて椛...帰るぞ...」
今日は厄日だ...ほんとに疲れた。
「椛...ありがとう」
「へ?急にどうしたのですか?」
「いや...言いたかった...それだけだ」
俺は離れていく人里を見つめ背を向け歩き出す。
そう言えば萃香は姿を見せないな...何をしてるんだか...。
その後自宅に帰ると屋敷の酒を飲み尽くし爆睡しているのを見てまさかの椛が斬りかかるという珍しい光景を見せてくれた。
まぁ寝返りで殴り飛ばされていたが。
今宵はこれにて終わります。
駄文で失礼したします...。
心が折れそうです。
感想というより指摘をお待ちしております...
ちなみに大天狗は8人登場させるつもりです!
元ネタは日本の八大天狗からです٩( 'ω' )و




