難儀
第2話です。ありがたいことに、第1話に感想をいただきました。嬉しいです。フィーバーです。踊り狂っています。何せ感想をもらったことがないものですから。今後とも是非、感想をいただけますと喜びます。感想が一番嬉しいまであります。それはもうご飯の時間の犬のように。
さて、中々に難航している晴馬の任務です。世の中、うまくいかないもんですネ。頑張れ。
では、第2話へいってらっしゃい。
私立間立高校。平均以上の偏差値と、活動的な部活動が有名な文武両道で活気のある高校。数多の中学生の中でも人気のある学校で、毎年、中々の入学倍率を誇る。
日時は4月3日。新入生の入学や進級を終えて間もなくの時期。生徒の中でも友人同士やグループができていたりと、各々が自分の理想とする学生生活を送ろうと励んでいる段階でもあろう。
時刻は昼食時。それこそ友人同士で弁当を食べる者も多い中、一人教室の机で荷物をまとめる男子生徒。グレーの髪色と、姿勢の良い佇まい、そして端正な風貌。誰しもが一度は振り向いてもおかしくはない要素を多く兼ね揃えていた。尤も、本人はそうとは思っていない。彼の本業の性質上、そんなものはなんの役にも立たないと思っているからだ。
しかし、ここは高校。そんな理屈を押し通すには思春期というものを甘く見すぎである。その彼に近づく数人の人影。
「天津くーん!良かったら、ごはん一緒にたべよーよー!」
晴馬が顔を上げると、きらびやかな学生らしい装飾を身にまとった女子生徒が数人、自身の弁当を持って立っていた。明らかに下心で晴馬に近づこうとしているのが晴馬にもバレバレだった。逆に言えば、なんとも高校生らしいアプローチでもある。
「すまないけど、先約がいるんでな」
柔らかな笑顔と、断り文句を使いその場を後にする。ちなみに先約というのは半分方便、半分本当だ。
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校舎のあまり日の当たらない場所。そこで晴馬は腰を落とす。念のため、一般人にこれからの光景を見られないよう、音声遮断と視覚誤認の結界を張る。
「さて、ここなら大丈夫でしょう」
晴馬の呟きに呼応するように、晴馬の影から出てきたのはヤミ。なぜか頬を膨らませ、教室方面を睨んでいる。
「先ほどの女たち、晴馬に慣れ慣れしかったですね。ここの教育はどうなっているのでしょう」
「いやいや、あれはあれで年頃の女性としては健全ですよ」
ヤミの思い描く対象は、教室にて晴馬に話しかけてきた女子生徒達である。自分を気にかけてのヤミの発言というのは晴馬にも理解できたが、さすがに暴論だ。一筋の汗を頬に作り、女子生徒達をフォローする晴馬。
「それよりも、昨日の情報整理です。早速ですが、気になった部分を洗い出していきましょう」
ヤミも頷きをもって同調する。
「気になる点は、大きく分けて二点です。まずはやはり、結界に侵入してきた一般人です。あの時、ヤミさんが人除けの結界を張ってくれていましたが、それでも尚、人の侵入がありました。ですが、ヤミさんの張った結界に非はありません。私から見ても、満足なクオリティで展開してくれましたから」
自分の張った結界に侵入されたことに対し、改めて自責の念にかられそうになったヤミだが、間髪容れず晴馬がフォローを入れたことによってあくまで客観視で話を続けることができた。
「そしてもう一点は、一般人の侵入と同時に、校舎内の魔属が一斉に一般人に向かって動き出したことです。一般人の近くにいた魔属のみが、気配を感じ取って動き出すならまだわかります。ですが、遠くの魔属も距離に関係なく一斉に動き出していました」
当時、ヤミも晴馬の傍らでその状況を聞き、自身も練術の《星空》を経由して見ていたため、状況の把握は容易い。
「様々な状況が起こった時間でしたが、明確な原因は分かりません。ですが、起こった二つの状況の根幹は同じだと思います。そして、原因にも心当たりはあります」
見当がつかないヤミは、体毛を擁する首をかしげる。
「恐らくですが、この校舎にとてつもなく強力な個体の魔属が潜んでいます。魔属達をまるで指揮するように動かし、ヤミさんの結界も無視させるような存在。そして、一応、練術を使用した気配もないので、人間の仕業でもない。で、あれば、強力な魔属が原因として妥当なところです。その証拠に、校舎から撤退する際に、恐らくその魔属の気配を辛うじて感じ取れました」
「ホントですか!?」
ヤミが驚くのもムリはない。気配はほんの一瞬、いや、もっともっと凝縮した時間に、非常に希薄なレベルの気配である。普通であれば気付けるはずがない。もはや感知ができる、できないの次元ではない。
「ですが、気配を感じただけです。昨日の感じからすると、相当な根気と工夫は必要ですね。突いてもほぼ動きはないですし、自分のテリトリーにガサが入っても何ら動く気配はしなかった。プライドが低く、それでいて非常に狡猾でかなり気配を隠すことに長けている。といったところでしょうか」
そんな強力な魔属のテリトリーに、自分を脅かしかねない存在がちょっかいをかけてきたらどうなるか。当然、怒りと反撃という思考になってもおかしくはない。しかし、今回はそういった様子がない。晴馬達がある意味で散々暴れた後、ほんの少しだけ気配を見せた程度である。
今回のような前例の魔属がいないわけではないが、長い伏魔師の歴史上でも片手の指の数で収まる程度だ。しかも、いずれも根気よくその土地に張りつき、何とか見えた尻尾をつかみ、
そして相応の犠牲を払って討伐している。
「先ほども言いましたが、からくりは今件の核心である魔属にかなり迫らなければ分かりません。やはり前例に漏れず、根気よく地道にってところですね。今夜も昨日と同じ時間に校舎へ赴きますので、そのつもりで休んでいてください」
「了解です!」
ヤミが晴馬の影に戻り、晴馬がその場を後にする。少しある歩いた時、
「あ、いた」
ふいに後ろから声がかかる。晴馬が振り返ると、一人の男子生徒が立っていた。その顔を確認した直後、晴馬の鼓動がほんの少し早くなった。
理由は単純。昨夜の学校にて遭遇した一般人の片桐招也だったからだ。伏魔師としての面で言い換えれば、ヤミの結界に侵入してきた人物である。
「君は?」
冷静に問いかける晴馬。片桐の存在は知っているが、名前まで知っているわけではないため、嘘でもない。
また、結界を貼っていた為無いとは思うが、先ほどの機密の話をしていた直後である。聞かれた可能性も完全には否定できない。当然、警戒して対応する。
「ああ、突然ごめん。俺は片桐招也。一年なんだ。よろしく」
「そうか、俺も一年の天津晴馬だ。よろしく頼む。それで何か用だろうか」
晴馬の一人称は基本的に「私」であり敬語だが、高校生となるとこの一人称は珍しい。ただでさえ人目を引く容姿の良さもあり、変に目立ちたくはない。少なくとも、事情を知らない学校関係者の前では一人称を「俺」へ意識的に変えているのである。
ただ、自己紹介などどうでもいい。真に気になるのは話しかけてきた理由だ。これが何らかの行事ごとや授業等で自己紹介などが必要な場合は別だが、今は何の脈絡もない段階で話しかけてきたわけである。あまり考えたくはないが、唯一の心当たりの理由を考えざるを得ない。
「君だよね。昨夜の学校で、化け物から俺を助けてくれたのって」
(やはりか)
だが、昨夜、晴馬は仕事着である伏魔師の軍服と、狐のお面をつけていた。また、この狐のお面には音声を変える機能もある。しかも、当時の時間は夜中。懐中電灯を始め、多少の明かりはあったが視覚はかなり制限されていた。ゆえに、そうそうバレる装いではなかったはずだ。
「昨夜の学校?何を言ってるんだ…?」
片桐の予想は結果からすれば正解だが、証拠もないのに認めるほど、晴馬も間抜けではない。
「俺さ、人とか幽霊とかいろんな気配に敏感みたいなんだ。君は昨夜の人と同じ気配がするんだよ」
あくまで引き下がらない片桐。確かに、一般人でもいわゆる第六感に近い感性が優れている者もいる。
「おいおい、勘弁してくれ。変な夢でも見たか?せっかく入学したんだ。変にスピリチュアルじみたこと言ってると、友人できなくなるぞ」
例え片桐に第六感があろうがなかろうが、晴馬への正体の疑念を打ち払う確たる証拠にはならない。早々に片桐に背を向け、その場を後にする。
(晴馬様…)
(問題ありません。正解ではありますが、証拠も何もありませんから。からくりは後で探るとして、今はまともに取り合う必要はありません)
影の中のヤミと意識を共有させ、あくまで知らんぷりのスタンスでその場を後にした。片桐はそれ以上は追ってはこなかった。
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時刻、22時の間立高校、校舎。
晴馬は仕事着の軍服と狐のお面を身に着け、漆黒の校舎を見つめる。昨夜同様、校舎の調査となっている。
「晴馬様、今日はどうしましょう」
先ほど晴馬の影から出現したヤミが、晴馬へ仕事のプランを問う。昨夜は練術の《星空》を使って調査したが、成果は満足いくものではなかった。想定外のハプニングもあったが、あくまでハプニングであって成果ではない。
「そうですね。やはり唯一の成果と言える強力な魔属の気配、これを探っていきましょう。結局のところ、その魔属をどうにかすれば、恐らくやりようはあります。昨日は星空を使って確認しましたが、今回は自分の足を使って校舎を回りつつ、気配を見ていきましょう」
プランを考えつつ、校舎へ歩みを進める。正面入り口に来た瞬間、晴馬は立ち止まり入り口脇の茂みへ目線を移す。
「いるのは分かってます。出てきなさい」
晴馬の短くも圧のある命令に対し、茂みをかき分け人影が姿を表す。人影の主は、ここの男子生徒である片桐だった。少しバツの悪そうに、ゆっくりと茂みから出てくる。直後、晴馬は片桐の背後に回り込み、その首に冷たい刃を向ける。片桐は咄嗟に両手を上にあげ降参の意を示す。
「ちょっと、タンマタンマ!昨日と対応違くない!?」
「昨日のことがあった、その上での二回目です。なにか思惑があると警戒して然るべきでしょう。何やら私を待っていたようですが、目的は何ですか?」
片桐の首元に向けられている冷たい刃が、ほんの少し喉元に近づく。思わず顎を上にあげ、接触を避けようと工夫する片桐。同時に挙げていた右手の人差し指のみを冷たい刃に向かって指す。
「分かった!話す!話すから!その前にさ、さすがにコレはやめてくれないかな…。生きた心地がしないんだけど…」
晴馬にしてみれば当然の対応だったが、相手は一般人。首元へ向けられている獲物自体も、向けられる感覚もそうそう覚えがないだろう。少し考え込み刃を離す晴馬。
「なにか妙な動きをしたら、容赦はしませんので」
「分かった…!分かったから…!」
片桐の了解を得て、晴馬は片桐から離れ彼の正面に回る。警告するのは当然ではあるが、いささか一般人に対して厳しめではないかと片桐は心の中で苦情を漏らす。
「それで、ご用件は?」
片桐の心拍を落ち着かせる配慮はなく本題にかかる晴馬。
「まぁ、なんというか、君に協力しようと思ってさ」
思わぬ発言に、晴馬は無言で片眉を少し動かす。
「どういうことでしょう」
「俺さ、ここの校舎から声みたいなものが聞こえるんだよ」
「声?」
「そう。なんて言ってるかは分かんないんだけど、確かなのは俺を呼んでるみたいなんだ。昨日の学校で見た化け物もそうだけど、多分、君の領分だろ?だから協力しようと思ってさ」
晴馬側の事情を知ってか知らぬか、現在の晴馬が興味を唆られるには十分な内容だった。
恐らく片桐を呼んでいるモノは、この地に潜んでいる強力な魔属だろう。懸念はやはり、なぜ片桐を呼んでいるかということだ。
潜んでいる魔属はかなり慎重で、特に気配の隠し方に関してはかなり巧妙だ。今回、魔属は晴馬に気付かれないギリギリの範囲で、片桐にラブコールを送っている。ただ、一歩間違えればその尻尾を掴ませてしまうリスクある。
つまり、何かの目的のためにリスクを背負ってまで片桐にラブコールを送っていると考えるのが自然だ。
では、なんのために?
真にほしい情報はそこだ。
と、いったところで同時に片桐からの協力の申し出だ。現状の成果が上がらない晴馬からすると、願ってもないチャンス。これが仮に同業者やその道の人からの申し出であれば、そこまで迷いはしないだろう。しかし、事情が特殊もいいところだ。本来、巻き込むべからずの一般人からの申し出。しかも、まだ身辺調査もできていないため、素性も一般人ということ以外は分からない。
やや迷っているところで、片桐は何かに気が付いたように右手の人差し指を上げる。
「ああ、でも、急にこんな申し出されても困るし怪しいよな。だからさ、取引ってのはどうだ」
「取引?」
「そう。俺が協力する代わりに、見返りをくれってことさ。それならまだ自然かな?」
片桐の言い分は一理ある。
実際、同業者同士のやり取りではそれが普通だ。例えば、成果の中から数%の分け前を譲渡する、というのは凡例としてよく見られる。片桐からの提案に、晴馬はため息をついて自分の懐から紙の束とペンを取り出す。
「分かりました。いくらがお望みでしょう。可能な限り譲歩します」
凡例に倣って、金銭の交渉を始める晴馬。
生々しくはあるが、結局は金銭交渉が一番スムーズにことが進むし下手なトラブルもそうそうない。
また、伏魔師としては仕事に必要な場合であれば、よっぽど法外な数字でなければその場で金銭交渉も可能だ。もちろん、案件の重要度や当事者への金銭感覚の信頼あってこそだ。
この案件の重要度と晴馬の金銭交渉への信頼からしては咎められないだろう。評議会を始めとする伏魔師上層部の、晴馬への奇異の眼は確かにあるが、こういった部分への実績による信頼はある。
「あー、いや、別に金はいいんだ」
凡例を跳ね除けるような、思わぬ片桐からの申し出に手が止まる晴馬。
「では、なにがお望みでしょう」
やや警戒しながら、懐に紙の束とペンを戻す。
「うーん、なんというか、できるだけ、そっちの世界の事を教えてほしいんだ」
たたみかける思わぬ提案。
そっちとは伏魔師の世界のことだろう。ただ、やはり仕事である以上、業務的なことは部外秘となる。一般的な企業であれば当然のことだが、伏魔師となると人の生き死にが関わってくるため尚更である。
「何でそんなことを知りたいのですか?」
それ以前に、やはり気になるのは動機だ。昨日の体験があってのこの提案。おおよそ、一般人の感性からして異常だ。普通なら思い出したくもないだろう。それどころか、伏魔師の世界を探ろうとさえしてくる。相応の動機がなければ不気味もいいところだ。
「まぁ、なんというか、協力するんだから、ある程度は相手のこと知ってなくちゃってとこかな。例えば、君の名前とかさ」
これも一理はある。そう思った晴馬だったが、前述の一般人の感性と不気味さと比較すると動機としてはどうにも軽く曖昧だ。ただ、相手はあくまで一般人。変に恫喝のような聞き出し方をする訳にもいかない。恐らく、裏の真意はあるだろうと踏んで次の思考へ移る。
何をどこまで知りたい?
交渉において、重要なのは具体性だ。明確にしておくことで下手なトラブルを避けられる。
ただ、これに関しては、片桐からの協力の内容についてがそもそも不明瞭だ。魔属の声は聞こえてはいるが、それがどれほどの利益をもたらすか。言い換えれば、晴馬の出す情報に釣り合うかどうか。
金銭なら感覚は掴めるが、こと情報となると、どうにも面倒になる。しかし、やはり成果の上がっていない現状から考えると、例え一般人とはいえ貴重な情報源の可能性があることには変わりない。
それに、ここで下手に断って勝手に動かれるよりは、ある程度は管轄内で管理体制を敷ければ安全だ。
「分かりました。しかし、そういう条件であれば私の独断ではお応えできかねます。なので、上に相談しますのでお待ちください」
晴馬は片桐からの条件に対して前向きな返事をしつつ、メモ用紙にペンで数字を書いていく。書き終えたメモ用紙は、片桐の前に差し出される。受け取った片桐の手にあるメモ用紙には、とある数字が並んでいた。一般人たる片桐にも見覚えのある規則的な数字の並びだった。
「それは私の臨時で使用している電話の番号です。明日の18時ごろには返事ができると思いますので、そのつもりで。それと、言うまでもないかとは思いますが、第三者への番号を始めとする今回の情報については他言無用でお願いします。昨日の化け物のような存在への、被害者を産みかねないのでね」
当然の要求に片桐は深く頷く。
それを見た晴馬は「さて」と、呟き話題転換をもたらす。
「改めて、協力の申し出には感謝します。しかし、昨日のことでご理解いただけたかと思いますが、夜の校舎は貴方が思っているよりも危険です。ですので、昨日と今日のように、独断で夜の校舎にくることはご遠慮ください」
これにも深く頷く片桐。
「では、申し訳ないですが、今日のところはお引き取り願えますか。先ほど申し上げました通り、明日の18時にお返事できるかと思いますので」
片桐は晴馬の提案に応じて、夜の校舎を後にする。
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夜の道を歩く片桐。少しの達成感と安心感を感じつつ歩く中、自分の首元に少し湿り気を感じる。よく見ると、着ていたシャツの襟が汗で変色しているのが分かった。改めて感じたのは、思っている以上に緊張していたことだ。
無理もない。首元に当てられた冷たい刃といい交渉といい、自分とはほぼ無縁のことばかりだったからだ。緊張こそしたが、自分で首を突っ込んだことだ。もちろん後悔はない。
そのために、自分の頭に響く声について「解決依頼」ではなく「協力と取引」として申し出たのだから。
正直、賭けに等しかった。相手は恐らくその道を知っている者。本来なら一般人の助けなど不要。しかし、自分の頭に響く声をある意味で最大限活用したかった。
そこで思いついたことは「依頼」ではなく「協力」。断られることを覚悟、いや、多分本来は触れてはならない世界に踏み出したのだ。追い出されるだけでは済まないだろう。
そうこうしてる内に、自分の住んでいるマンションの一室にたどり着く。玄関を開けると、広がるのはいつも通りの暗く冷たい小さな世界。
リビングに自分の荷物を無造作に置き、とある棚に向かう。その棚の上、額縁に入った一枚の写真に手を触れる。
そう、自分の目的を叶えるため。そのために、首を突っ込んだのだから。これで失敗しても後悔はない。いや、後悔しようもない。
もう、自分には何もないから。
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片桐を帰した後、晴馬は校舎を見つめて大きなため息を吐く。
「晴馬様、よろしかったのですか?」
晴馬の影から一部始終を見ていたヤミ。晴馬の判断の自己評価を問う。
「仕方ありません。このままでは解決の糸口すら掴めませんから。この際、利用できるものはなんでも利用しましょう。それはそれとして、一般人ばかりを当てにはできません。我々は我々にできることをしましょう」
晴馬は自身の荷物を肩に掛け、ヤミと共に夜の校舎に入る。
相応の気合いを入れて望んだ今夜だったが、成果はゼロだった。
朝日が昇りかける校舎を後に、晴馬は明るみがかった空を見上げる。
(難儀ですね…)
今度は一切の気配をしなかった校舎は、いつも通りの朝を迎えた。
新キャラ登場!
なんて、人生で一度はやってみたかったり。
さ、片桐青年は個人的に書くのが難しい人物だったりします。伏魔師の世界というスピリチュアル街道まっしぐらの世界に一般人ですから。塩梅が難しいものです。
それでも、彼は必要なんです。これからの未来のために。
そんなわけで、第2話、お疲れ様でした。ご感想、是非ともお願いします。




