晴先
この度、この「小説家になろう」にて連載を始めることとなりました、佐久間作・タイトルを「アマツガミ」と申します。
あらすじでも書いてありますが、妖怪や怪異、面妖な術を使う人間などに立ち向かう「伏魔師」と呼ばれる者達の話となります。
本作の特徴としましては、現代風でありならがら、この世ならざる存在達との独自の世界観と人物達、そして苦悩、考え方、思惑、企みなど、この世界観ならではのストーリーが展開されています。
長期連載の予定となっておりますので、是非とも読んでいただき、感想、考察や疑問などが、皆様の脳内に溢れますことを願っております。もちろん、コメントなどで発散していただくのも大歓迎です。
では、この「アマツガミ」の世界へ
いってらっしゃいませ
古来より「魔」を冠する存在がいた。
妖怪や怪異など、化け物の総称である《魔属》。
人でありながら、面妖な術を用いて人間社会に影と堕とす存在、《魔徒》。
いずれも、いつの時代も、人間社会を影から脅かし続ける存在である。
同時に、そんな存在に対処する者達もいた。
彼らは《伏魔師》と呼ばれる者達。
呼んで字の如く、魔属や魔徒などを誅し、伏せることを生業としている者達である。
彼らもまた、古来より面妖な術を用いて魔属や魔徒から人間社会を守ってきた、いわば影の英雄達。
これまで、魔属や魔徒の手により、何度か人間社会が壊滅しそうな未曽有の事態に陥りかけたこともあったが、先人達の努力と犠牲により今日も人間社会は存続できている。
そんな伏魔師の世界にとある日、稀有な存在が生誕した。
彼の名は《天津晴馬》。
彼は子供ながらに、圧倒的な伏魔師としての資質の片鱗を、いや、もはや人間として別格とも言えるかもしれない雰囲気を纏っていた。
まさしく伏魔師の未来を照らす光。
先人たちや同年代からは嫉妬すらなく、本人には言わないものの、同じ時代に生きて彼を見れることに感謝すら芽生えさせる存在だった。
しかし、ある時、彼は世界に自分の《本質》を魅せる。それは魅力的で前例がなく、同時に畏怖と混乱をもたらした。故に、彼は伏魔師としての光ではなく、《異端》の烙印を押されることとなる。
それでも彼は、今日も伏魔師として生き続ける。
それが自分の運命だと言い聞かせて。
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とある地域の高校、私立間立高校。
比較的、偏差値が高く、いわゆる進学校。部活動も盛んで活気あふれる学校だ。
「さてと」
季節は春。これからの新生活、その世界へ踏み出す空砲のような独り言をつぶやき、校門をくぐる青年。
彼は《天津晴馬》。
端正な顔立ちと姿勢の良い佇まい、グレーの髪、そして、黒をベースとした軍服のような装いを身に纏う青年。
一般的な感性に当てはめると、いわゆる『イケメン』に該当するような外見をしている。
彼は一応、今年の春から入学した新入生でもある。だが、今は学生として校舎に来たわけではない。
なぜなら彼が今いる時間帯は、一切の光閉ざす真夜中だからだ。
今は晴馬の本業である《伏魔師》として、この校舎へ赴いている。
「……なるほど、これは妙だ」
右手を顎に当て、一人真夜中の校舎を見て呟く晴馬。
晴馬の任務の地となる校舎は、まるで黒い要塞のように見る者の精神を押し潰してくる。一般的な感想を当てはめると『出そう』な雰囲気ではある。
「晴馬様~」
校門から少し離れた敷地外より、晴馬を敬称で呼びつつ傍に来る者。
ソレは体は黒く、犬のような耳が生え、翼を携え、サイズ的には小さい犬猫といったところ。いわゆる『悪魔』をポップにしたら、こういった風貌になる姿形。
小さな翼を上下に動かし、正確には浮いて?飛んで?兎に角、地面には接せずに、ちょうど、晴馬の肩あたりの位置で彼の下へ赴く。
「ああ、《ヤミ》さん。首尾はどうですか?」
「上々です!結界も貼り終えました!」
そのポップな悪魔のような存在は《ヤミ》。晴馬の仕事の手伝いをしている。
「結構。では、参りましょうか」
「はい!」
校舎内は非常に静かで、静寂時に聞こえる特有の耳鳴りに近い音が、晴馬の耳を占める。
更に、当然ではあるが視界も闇に包まれる。多少の設備による明かりや月明りもあるが、目を凝らすことは必須となるだろう。
昼間は多くの学生や教師で賑わう学び舎。しかしながら、夜となると、まるで別世界のように人間の本能が拒む不気味さを醸し出す。
そんな不気味な光景をものともしない晴馬。なにせ、これからそんな雰囲気すら可愛く思えるほどの存在と、相対することになるからだ。
「……お出ましですね」
晴馬が歩く廊下の先。四つん這いの恰好をしつつ、長いボサボサの髪を垂れ流す人のような存在が一つ。
しかし、その姿はよく見ると、異様に長い爪やバランスの悪い体躯、そして、晴馬を見たとたんにギザギザの大きな歯を擁する口を大きく開け、まるで獣のような咆哮を上げつつ、四つん這いのまま晴馬に迫る。
人間ではないその異形の怪物は、《魔属》と呼ばれる存在。古来より、人にあだをなす化け物。晴馬を始めとする伏魔師は、この魔属を対処することが多い職種である。
凄まじい咆哮と突進をもって晴馬に迫る魔属。しかし、晴馬はいたって冷静だった。
自身の右手の人差し指と中指のみを立て、いわゆる『印』を結ぶ。
【生物系練術・黒蜥蜴】
廊下の床や壁、天井の漆黒から、蜥蜴のような形をした黒い何かが鋭く出現。突進する魔属を無残に貫く。魔属は消滅へと至った。
今のは【練術】と呼ばれる、伏魔師などが使用する特殊な術である。今のように、練術を用いて魔属や魔徒に対処することが多い。
一般人であれば卒倒ものの光景ではあるが、晴馬は何食わぬ顔で魔属のいた廊下を超えて先へ進む。
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晴馬達が次にたどり着いた先は、とある教室。そこは、ちょうど校舎全体の中心地に位置する場所でもあった。
晴馬はその教室の中心地にて目を閉じ、右手を顔の前に上げる。人差し指と中指のみを天井に上げ、以外の指をたたんで『印』を結ぶ。
【天体系練術・星空】
晴馬の発動したこの練術は、まるで星空のように、校舎内のほぼ全範囲の情報が晴馬の脳内に表示される。建物の構造を始め、それこそ魔属や人間を始めとする生命体の情報もおおかたの把握が可能。
「いかがですか?晴馬様」
目を閉じて、練術による校内の情報を取得していく晴馬に、傍らのヤミが進捗を問いかける。
「……特にめぼしいものはありませんね。魔属はいますが、やはり妙です」
外からも、校舎内の魔属の気配をなんとなく見ていた晴馬。その時と同様に、とある違和感を感じていた。
「妙、とは?」
傍らのヤミが、モフモフの体毛を擁する首をかしげる。
「昼間には活気ある学校として活動している土地なのに、夜中には魔属の巣窟と化しているという状況です。魔属がこうも蔓延る場所はとてもじゃありませんが、多くの人間が活発に活動できる場所ではありません。人間を襲う化け物がいるわけですからね。本来、魔属に昼も夜も関係ありませんし」
「なるほど!本来なら、魔属が蔓延る場所と人間が活気ある活動ができる場所は両立できないハズ、ということですね!」
「まさしく。ま、この妙な状況を解決するために、私が派遣されたんですけどね。《前任者》の件もありますが」
晴馬の説明に、早々に理解を示すヤミ。確かに、いわゆる「幽霊」はいるが、今回の晴馬の仕事の対象ではない。
今回、晴馬がこの土地に派遣されたのは、この妙な状況の原因を探る為だった。
現時点で、学校の生徒や教師、建物などに明確な被害はない。しかし、こうも不気味な状況では、いつ学校側に予期せぬ被害が舞い込むか分からない。
本来は多くの優秀な学生や教師の活動する有名な場所。もし何かあれば、損失は計り知れない。
その状況の原因を解明、あわよくば解決するのが晴馬の仕事の一つである。
その原因を解明するための一歩として、校舎のほぼ中心から、広範囲の魔属などの気配を観測できる練術を使用し、全体的に情報収集を行っているところである。
ただ、現時点で明確にその原因は分からない。
晴馬は「うーん」と難色を示す。もちろん、このままノープランで終わらせられない。
次手を考えていたその時、
「?」
「晴馬様?」
晴馬の様子の変化に、ヤミが察して問う。
晴馬の脳内にある星空の情報。その中に、一体の《生命体》の情報が映りこむ。
《生命体》とは読んで字の如く、人間や動物といったこの世で生きている者達のこと。
今回の星空上では、魔属と生命体とでは表示が異なる。そして、今回の晴馬が使う星空は、虫や動物などの情報はキリがないため遮断するようにできている。
つまり映りこんだ生命体とは、
「……人が結界内に入り込んできました。星空の反応からして、恐らく一般人でしょう」
「人!?なんで!?」
ヤミが驚くのも無理はなかった。
ヤミが最初に行っていた作業である結界張り。それは無論、一般人が魔属の巣窟と化す夜中の校舎へ近づかないようにするためだ。
本来なら、一般人ではまず、結界内に入ることはできないはずだった。
正直、ヤミにしてみれば、晴馬以外の人間がどういう目に遭おうと、どうだっていい。しかし、晴馬の仕事管轄内で、晴馬に石が投げられるような事態になることは避けたかった。
自分の耳をたたむように、頭を抱える仕草をとるヤミ。ヤミの頭には、真っ先に晴馬への謝罪文が作成された。
「原因究明などは後回しです。一般人も一人だけですし、対処はできますのでそんなにご心配なく」
冷静に提案する晴馬に、ヤミはネガティブな思考を切り替えようと頭を左右に振る。しかし、状況は畳みかけてくる。
「これは……!?」
ヤミにしてみれば、珍しく驚きの声を漏らした晴馬。
「校舎内の魔属が、一斉に一般人へ向かっていってます……!」
あまり見ない光景の連続に、ヤミは驚嘆の声も出てこない。形容するなら混乱だ。対する晴馬は、やや面倒くさそうに左手の人差し指で、左のこめかみを規則正しく叩く。
「仕方ありませんね……。面倒ですが、直接対処します。ヤミさん、こちらへ」
晴馬はこめかみを叩いていた左手を使い、ヤミを傍らに来るように誘導する。
「非常事態です。一般人を直接、護りに向かいます。ヤミさんには、それまで星空の維持をお願いしたいです」
「か、かしこまりました……!」
ヤミは晴馬の立っていた位置に着き、小さな右手で晴馬と同じような印を作り、星空の維持を引き受ける。
「すぐ戻りますので、頼みます」
直後、晴馬は一般人には到底できようもない速度で教室を出ていく。
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一般人の下へ走る晴馬。
魔属を討伐するだけなら、星空を経由した練術でも屠れる。しかし、本来ならいないはずの一般人が入り込み、ターゲットとなってしまっている。
魔属の討伐はもちろん、その一般人を安全に校舎から離れさせる為に晴馬は直接現場への赴きを余儀なくされた。
同時に脳内では、様々な疑念とそれらに対する解消に向けて、情報を整理していた。
まず、一般人がヤミの結界内に入ってきたこと。
先ほど、その情報を聞いたヤミが頭を抱えて困惑したのは傲慢ではない。
晴馬が信頼をもっていつもヤミに任せている仕事だからだ。。今回も相応のクオリティの結界を張ってくれたことは、晴馬にも感じ取れた。
結界自体は維持されている為、まさしく「侵入」である。
もう一つは、星空を使って再確認した魔属達。
一般人が紛れ込んだと分かった瞬間に、一般人に向かって動き出した。
魔属は共喰いを行うこともあるが、生命体も喰らう。中でも人間を優先的にターゲットにする傾向にあり、気配にも敏感だ。
しかし、晴馬が星空を使って一般人と魔属との距離を見ていたが、遠くの魔属に関しては、察知するには距離が離れすぎている。
晴馬であればなんとなく察知は可能だが、ここにいる魔属の格からしてそれは難しい。しかも、一般人と各魔属との距離に関係なく一斉にだ。不気味すぎる。
ただ、幸いというべきか、一般人に向かった魔属達の強さはそうでもない。晴馬なら難なく処理は可能。無論、一般人にとっては脅威だから晴馬が直接向かうことにはなっているが。
本来なら、結界に侵入できるはずのない一般人。そして、侵入した一般人に対して同時に動き出した魔属達。
想定外と常識外れの状況が、晴馬に畳みかける。まるで、何か大きな存在に突き動かされるように。
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真夜中の間立高校の校舎。本来なら一般人を寄せ付けぬ、夜の世界である。そのハズなのだが、その校舎内の廊下を歩く男性の人影が一つ。
彼は《片桐招也》。
この間立高校に入学した新入生である。
校舎内に入る際、片桐が知る由もないヤミの結界があったが、片桐は難なく通過していた。
まるで、《《何かに護られている》》ように、懐中電灯を片手に順調に歩みを進める。
入学早々に夜の校舎に侵入など、見つかれば問題児扱い待ったなしの非常識の行動だが、もちろん、度し難い趣味による行動ではない。
彼がここにいるのは、頭の中に響くとある声の原因を探る為だ。
誰の声か、どのような言語かは正確には分からない。そんな中、明確な事実が二つあった。それは、片桐を呼んでいることと、この学校から発信されているということだ。
明確に言語化して、他者に伝えることはできない。形容するならば第六感。
その声に従い、夜の校舎に臆することなく進み続ける。さすがに緊張はするが、意外と恐怖心はさほどない。むしろ、夜の校舎に忍び込むというタブーを犯していることに対して、歳相応の変な高揚感もあるかもしれない。
しかし、ここで片桐の眼前に、これまで経験したことのない光景が舞い込む。
距離にして、約20m前後前方。四つん這いのシルエットが懐中電灯の明かりに映りこむ。
四つん這いで長い髪を垂らし、ギザギザの歯と怨念を宿す眼、人の姿をしながら、やや身体構造のおかしい存在。
スピリチュアル的な部分はよく分からないが、本能が悟る。
この世の者ではないと。
片桐が数歩後ずさった瞬間、その者は四つん這いのまま、彼に向かって走り出してきた。片桐は軽く悲鳴を上げるものの、混乱で足がうまいこと動かない。明らかに危害を加えようと、突進してくる異形の存在。
ついにその手が片桐にかかる直前、
とある人影が、両者の間に入り込む。その人影は、突進してきた者を右腕で受け止めていた。月明りに照らされて見えたその人影。軍服のような衣類を纏い、狐の仮面をつけていた。
「ここは危険です。さっさと立ち去りなさい」
少しボイスチェンジがかかっているような音声で、短く、それでいて圧を感じる命令。やや混乱気味ですぐさま行動に移せない片桐。
その間、狐のお面の主である晴馬が、すぐにでも消せる魔属を右手で抑えていたのは、一般人に必要以上の余計な視覚情報を与えないためだ。
下手に色々見せれば、主に情報統制と、ショッキングな映像を見せたことによるメンタルケアの面でリスクが発生することがある。
しかし、肝心の一般人である片桐がその場から動けない状態だった。
恐らく混乱しているのだろうと考え、晴馬は仮面の下で舌打ちをしつつ、魔属の対処に移る。
晴馬は自分の右腕に乗っていた魔属の重さを、払いのけることで無に帰す。その代わり、その反動は魔属を後ろに仰け反らせることに成功した。
魔属の態勢が整う前に、晴馬が動く。
【基礎体術・点掌】
魔属の身体、その中心部に打ち込まれた晴馬の右手による掌底。
低い姿勢でしっかりと晴馬から打ち込まれる力の奔流は、魔属の身体をめぐりにめぐり、魔属の身体を破散させた。
次々に校舎内の魔属が襲い掛かるが、そのまま難なく後続の魔属を討伐していく晴馬。ここで魔属の一体が、晴馬とは違う方に向かっていく。その目線の先にいた者は、一般人の片桐。
迫る魔属に対し、なぜか逃げようとしない片桐。混乱でもなく呆けているわけでもない。
悠長に考察をしている場合ではない晴馬は、急いで対処に向かうが、
間に合わない。
そう思い、片桐に当たるリスクを負って練術の準備をした晴馬。
しかし、魔属の動きが男子生徒を目の前にして停止した。ほんの一瞬、困惑した晴馬だったが、すぐさま男子生徒に影響がない体術で、魔属を処理する。
あらかた片付いたことを確認し、晴馬は片桐に向き合う。無論、苛立ちを含んで。
「どういうつもりですか?死ぬところでしたよ、貴方」
明確な怒気をはらみ、片桐に冷たくぶつける。ぼーっとしていた片桐だったが、晴馬の声にハッとなる。
「あ、えっと、ごめんなさい」
謝罪のみで、撤退しない理由まで言葉が出てこなかった。やや呆け気味の片桐に対し、晴馬は左のこめかみを軽く指で叩く。
「……もう結構です。少し目を閉じていなさい」
晴馬の言葉に、片桐は言う通りに目を閉じる。晴馬が片桐の身体に触れた瞬間、ほんの一瞬、突風のような感覚が片桐を纏う。
「開けていいですよ」
晴馬の言葉に従う片桐。
そこには、学校の外の光景が広がっていた。
「いいですか。ここまま真っすぐ自宅へ帰りなさい。今日のことは忘れることをお勧めします」
その言葉の直後、晴馬は片桐の前から姿を消した。
呆気にとられる片桐。当然、普段は見ない光景を目にしたからだ。まるで漫画やアニメ、ライトノベルの世界だ。命の危険があったことはなんとなく察せるが、高揚しているのは確かだった。
いや、その高揚は別の理由が起因かもしれなかった。
「……見つけた……かも」
片桐は一人呟き、校舎を後にした。
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「晴馬様!」
「遅くなりました。校舎内は如何ですか?」
星空の継続を行っていたヤミの元へ、晴馬が帰還。無事、名前を知らぬ一般人の片桐を、校舎から撤退させて早々に戻ってきた。
様々な厄介事を片付けた後にしては「遅い」という言葉を使うには同業者からしても迅速な仕事ではあったが、晴馬からすれば「遅い」のだろう。
「一般人に向かった魔属以外、特に変わったことはありませんでした」
ヤミからの報告に、軽くため息を吐く晴馬。褒められた話ではないが、一般人の侵入は晴馬にとって、すべてがマイナスということでもなかった。
変化のない不気味さに対し、ほしいのは刺激と変化。もちろん、下手に場を荒らすのは避けたいが、現状維持はマイナスだ。予期せぬ外的要因の参入により、頂点個体の魔属のしっぽが見えることを少し期待した。
だが、結果はうまくはいかなかった。
「致し方ありません。収穫はほぼ無いですが、今日のところは撤退しましょう」
成果がでない状態に反比例し、様々なイレギュラーが起こった任務の初日は、地平線から太陽が昇りかける景色をもって終わりを告げる。ただ、そもそも初日は校舎の状態や、魔属の動きなど、状況確認の意味合いが強い。よって、仮に成果という成果がなくとも、落胆するには早いというところだ。
晴馬は星空を解除し、ヤミと共に陽が差し掛かる校舎を後にした。
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(フーム、今回も中々に良さそうな伏魔師が来たじゃねえか。前回は知らねぇうちにどっかいっちまったが、運がいいな。ま、この状況を手繰り寄せる為に性に合わないやり方したんだけどよ)
晴馬の眼が一瞬、校舎に向かう。
(おー、あぶねぇ、あぶねぇ。この距離で、こんな微弱な気配に気が付くか。下手に顔出さなくて正解だったなぁ。思った以上の野郎だ、おもしれぇじゃねぇの。ピースも揃ったことだし、やっと行動に移せるぜ……!)
校舎内に、誰にも観測できない笑い声が響き渡った。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。いかがでしたでしょうか。
面白い? ありがとうございます。
つまんない? 失礼しました。精進いたします。
感想はそれぞれだと思いますが、ひとまず読んでいただいただけ感謝でございます。
まだ展開としては序盤も序盤でございます。ここで切るか乗るかは自由でございますが、
乗っていれば、いずれは続きが読みたくなるような世界へとなっているかも分かりません。
これから新たな世界や人物、苦難が晴馬を待ち受けるかと思います。是非とも、その時の熱に乗り遅れないようにお付き合いいただきますようお願いを申し上げます。
お疲れ様でございました。




