第261話・アルスVS剣聖グリード・ランチェスターⅢ
未だ信じられないといった表情でこちらを睨むグリードへ、俺は冷徹に告げた。
「教えてやるよ、本当の絶望を––––竜王級がなぜ“竜王級”と呼ばれているかをな」
ショットガンとハンドガンを地面へ捨てた俺は、歯を食いしばった。
拳を握り、全霊の力を込める。
「なっ、何を……!」
何もなかった空間に……ポツポツと、金色の光が瞬き始めた。
俺の周囲から徐々に、光は広がっていき、やがて地面を揺らし始めた。
「あり得ねえ……! どういうことだッ!! ここは俺が作った『グラウンド・ゼロ』の中だぞ!! なんで……てめえから”魔力“が出てきてんだよ!!」
グリードの言う通り、周囲に魔力粒子は一切ない。
だがそれは大気中の話だ、魔力とは大いなる自然由来の生命エネルギー。
つまり––––
「教えてやるよ、魔力は大気から摂取する以外にも……こういう方法だってあるんだぜッ!!」
俺の身体から一瞬だけ金色のオーラが溢れ出た。
それは紛れもなく魔力そのものであり、周囲の空間にヒビが走った。
「ぬああアアアァァアあああああああッ!!!!」
全力全開、俺は自らの寿命……“生命エネルギー”を消費して僅かな魔力を形成した。
だが俺にとっての僅かは、グリードにとっての極大に等しい。
僅か0.5秒に満たない魔力放出で、グリードの張った『グラウンド・ゼロ』は粉々に砕けた。
「あぁ……ッ」
「ハァッ……! 驚いたかよ、竜王級ってのは本当のところ竜の力とかそんな意味じゃない。特殊過ぎる、膨大な負担に耐えられる”体質“を意味しているんだ」
「体質……だと!?」
「あぁ、常人なら絶対に耐えられない魔力の超高負荷に耐えられてしまう体質を持つ人間。それが竜王級だ、本来ブルーのような身を滅ぼすあり得ない出力の変身ですら耐えてしまうような」
そう、言ってしまえば––––
「俺は世界で一番タフな身体なんだよ、お前のおかげだグリード……お前のブラック過ぎるギルドで鍛えられなかったら、俺は一生この力に気づけていなかった」
周囲に押し寄せてきた魔力粒子を取り込み、俺は『身体能力強化』を発動した。
その出力はグリードなんかと比較にもならない。
もはやヤツの顔は、呆けを超えて虚無に染まっていた。
「さて、魔力無し縛りであの結果だったが……もうお前のルールに付き合う義理もない。歯を食いしばる準備と、覚悟はできたか? こっからが––––本当のフェアな戦いだ」




