ハッチ
ハッチは一生懸命頑張った。
村人の屍体を両脇支えて引きずって。
蠅がたかって髪に潜り込んでくるのも無視して。
腐敗も死臭もなんとやら。
寝る前に埋葬した村人の物語を思い出して。
泣きながら、ずっと泣きながら頑張った。
ずっと報われることのない行いを。
ずっと、ずっと頑張った。
ある日、セシリアさんが来てくれた。
「今ではないですよ。」
はっきりいってわからなかった。
でも寝る前に思い返して納得した。今ではないのだ。
埋葬しよう。
そう思った。
マアルちゃんがきた。
「あと少しだね。おじさんすごいね。」
振り返ると西の山に沢山の墓標ができていた。
「すごいね。」
涙が出た。
屍を運ぶ。
山に埋葬してくると村の形が少し変わっている。
でも関係なかった。一刻も早く。屍を埋葬したい。今の願いはそれだけ。
もう脳みそは空っぽだ。涙もでない。
最後。最後だ。墓標に彼女の物語を刻む。生まれた年、生まれた日。赤んぼの時よく髭を引っ張られたっけかな。質の良い毛布につつまれていた。あれ考えるとちょっと無理してたのかな。ちっさい手だった。人差し指握ってくれたっけ。思わずふっとため息漏らすと、その風に煽られたのか不思議そうな顔してたっけかな。じゃあそれを書いておこう。カイトとイールの子、イルミナ。
「終わったのか。」
「……へえ。」
「……何か言いたそうだな。」
「へえ。償いきれない魂もありますので。」
「そうか。」
「ハッチ。」
「はい。」
「ハッチはこれからどうしたい。何かやりたいことはあるか。」
「あ、あっしがですか。考えたこともありませんで。」
「そっか。」
「ハッチにこれから来る村人を守ってもらいたい。」
「へ。」
「一人も死なせるな。一人もだ。」
「言ってる意味がわかりませんぜ。俺は村人を死なせている。」
「後悔してるんだろ。」
「へい。」
「次は絶対死なせないように心血注げ。一人でも死なせたらお前も死ね。」
「っ。へい。」
「どうしたら死なないか常に考えるんだ。建設には俺が参加する。まず案をもってこい。納得できたら協力する。」
「へい。」
「繰り返すが、お前の命は村が魔物に侵入されて村人が死んだ時点で終わりだ。お前の望みでもあると思ったのだが、違うか。」
「へい。そうです。」
「そうか。まずは防衛案をもってこい。」
「へい。必ず。」
3日経たずにハッチは僅かに集まった村民と共に防衛案をもってきた。それは取るに足らない稚拙な案だったが攻め手を何通りも提示することでハッチの案はブラッシュアップされていった。
その案を元に建設を始めた。これがいけなかった……。
プロット達成率29%




