モッカ村 ハンター日記
「これだけ見事な鹿はみたことねえだろ。」
「ああ、最近じゃお前だけだよ。こんなん狩れるのは。」
モッカ村は良くも悪くも山村よ。なにもねえ。でもなんでもできる。そんな村だよ。
嫁を迎えて子供ができて、少ないながらも畑がある。土地はあるから畑をもう少し広げて、都会の農法といわれるものをいれたらちょっとは資本回収できるんじゃないかと思ってる。何年かかるかはわからんが。
とにかく畑を広げる。眠る時間を減らす。食事の時間と出発の時間を決まっている妻帯者にとってそれしか方法がなかった。オラ達はそんな生活だ。
「行ってくる。」
「どこ行くだか。」
「昨日罠仕掛けた東だ。獲物見つけたら追うからな。」
「あい。3日戻らなかったら村に知らせるんだね。」
「それでいい。」
「頑張って稼いできてちょーよ。」
「わかっている。」
…………
ある日、いつもの通り畑を耕していると、なにか焦げ臭い匂いがした。
なんだこれ。
何度も袖をこすって匂いを嗅いでみるとどうやらこれは俺の匂いじゃない。
じゃ、なんだと思ってたら麓の農家のハッチが駆けてきた。
「ハッチ、どうした。」
「どうしたもねえよ、村が、村がだめ。」
「だめ?」
「みんなやられた。やった盗賊もやられた。」
「盗賊?」
「ああー。いいから逃げるぞ。」
腕を掴まれたが振り切って、妻と子を大声で呼ぶ。家に帰って、貴重品をまとめて食料をこしらえて、帰ってきた妻子を説得して。やることは沢山浮かんでくる。
「まだいたのかハッチ。」
「盗賊が広場まできてるよ。」
「ありがたいけどな、ハッチ。一回命助けたからって。ここまでするもんじゃないだろ。お前の弟は。」
「命は命で返す。」
「……やばいのか。」
「お前の家は家族がいるからな。一人の問題じゃねえ、当然だ。」
「……。俺の命より大事だ。」
「わかる。わかる。命。お前の命。ここしかない。」
「それだけやばいのか。」
「北か。北へいけ。」
…………
北の森へ逃げた。
もう振り返りたくなかった。
ハッチ。
ハッチは俺にとって気のいい友達だった。
ハッチは村長の2男で、生まれながらにある程度の地位を得ていた。
だが、村の未熟児を村長宅が預かる制度があるせいかあんまり尊重されず俺とか村の後輩とかといつもバカ騒ぎしていた。
ハッチは馬鹿だったが村長の2男だったこともあっていつもハッチさんと呼ばれていた。
ハッチは村の荒くれ者集めて村の防衛を意識していた。度々相談しにきていた。
自警団が結成され、ああ、ようやくなったのかと嬉しかった。
そんなハッチが駆けてきた。森へ逃げろと言う。
俺には妻も子供もいるんだぞ。お前知ってるだろ。でも逃げろという。判断は一瞬。
~。~。~~~。
ハッチが笑顔で言う。
「俺、死ねるよ。」
…
………
北へ走った。
プロット達成率27%




