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モッカ村 ロコモーション

 モッカ村再建計画を考える。

 第一に取り掛かるのは昼の活動拠点として使う村長宅の整備だ。幸い盗賊の拠点だったためゴミが散乱している以外はそのまま使うことが出来そうだ。壊れた家具は外で造り運び入れることで事足りるし家具用の麻製品は蔵から運ぶことで間に合う。あとは魔法で水回りなどちょちょいと改装を施せばいいだろう。問題は庭だった。畑があったが一週間も放置されていたため全滅していた。こちらは時間をかけてやっていくしかない。


 村長宅の次は、東門から村中央広場を経由して西門までの大通りの復旧だ。中央広場には村長宅と商店があるのでそこと外部を繋ぐ東門との交通路は確保したい。また、賊の残党がいる可能性を考え西門への退路も必要だろう。現在大通りの大半は消失して崩れ落ちた家屋の残骸で埋められているためまずはその撤去。更に魔法で岩畳へと張り直す。村の周囲や絶望の崖へ続く道に罠も張りたい。


 そして周囲の柵を強化した後に、建物の復旧。商店は見たところほとんどの品物が持ち去られていた。ただ残されていた数少ない物の中に何の植物かわからない種が数種あったのは僥倖だ。他に清掃用具など役に立つ物があったのでいくつかありがたく拝借させていただく。店頭はまだいい。店の奥は激しく争った跡がありこのままでは使えない。また、村の蔵は賊も利用していたためそのまま利用出来たが、宿屋兼酒場は更に酷い状況だ。酔って暴れたのか外観はともかく中身は見る影もない。ズタボロだった。勿論、残っている酒なんてない。こちらも復旧には時間がかかるだろう。

 一応はこんなとこか。先は長くなりそうだ。



~~~


 

 朝食を済ませオー窟からモッカ村まで向かう。道中は自分が周囲の警戒と狩りを行い、セシリアさんとマアルちゃんが食材や野草の採集、熊田さんが新たに製作した荷車を牽いていた。荷車は全て岩製という熊田さん専用のワンオフモデル。造って試しに引いてみたところ5㎝くらい動かしてセシリアさんがそっと肩に手を乗せてきた。すごく、やさしい笑顔だった。それを彼?は軽々と牽く。やるぅー、やっぱ熊田の兄貴は違うっスね~と思わずにはいられない。そうして、進みながらそれぞれが獲った物をどしどし荷車に放り込んでいく。時々マアルちゃんが熊田さんの背に乗るがなんか金太郎みたいだったのはご愛嬌。


 村長宅に到着、朝の打ち合わせを始める。本日からいよいよ復旧作業に取り掛かる。家屋は少し庭が広い木造の簡素な平屋だ。村の集会場を兼ねていたそうで入り口入るとすぐに広いダイニングとなっている。横に倉庫となる一室があり、奥に炊事場とトイレ、家族用のリビングと寝室になっていた。

 ゴミの処理と清掃は引き続きセシリアさんに任せ、マアルちゃんにも手伝ってもらう。昨日は沢山の山菜を持ち帰ってきたがまだ一応大人の目の届く範囲に置いておきたい。あの時は声すら掛ける暇もなく駆け出していったので今日はイの一番にお手伝いをお願いした。……危ない所だった。既に彼女の足の爪先は東門の方向に向いていた。商店から拝借した清掃用具も渡しておく。それに興味をもったみたいだ。一安心か。

 一方、自分は庭で家具を土魔法で造成していく。元はリビングにテーブルと椅子、寝室にベッドと収納箱、炊事場と倉庫部屋に棚があった。しかしそこはかとなく賊の残滓が残るテーブル、椅子、ベッドは新調することにした。これまで土魔法を多用してきたこともありマジックさんの扱いには大分慣れてきたと思う。ここらでワンステップ上に挑戦してみよう。


 「土がロココ調テーブルを造って固まる。」見よ、この曲線美。何となく思いついたのがロココ調だったので試してみた。……派手すぎて木造家屋には若干不釣合いだが出来てしまった物は仕方ない。椅子、ベッドもロココ調に統一し熊田さんに運んでもらった。それらを一目見たセシリアさんの口あんぐり感が忘れられない。

 入り口すぐのリビングには床に草で編んだゴザのようなものが敷き詰められていた。これも汚れていたので撤去する。リビングは今後何かの用途に使うこともあるかとそのまま残し、横の倉庫部屋を見てみた。主に村の祭事に使う物や木製農具が収められていたが今の所は必要ない。

 清掃作業が終わったようなので、熊田さんと荷車で蔵まで麻製の生活用品を取りにいってもらった。こちらはその間に水回りの工事だ。炊事場の水は中央広場にある井戸から汲んできて使っていたようだがここも壊れた蛇口状態にする。トイレも同じだ。排水は当然地の底。炊事場には勝手口があり庭へと通じていたのでその先に飛び石の渡り通路を造る。雨除けの屋根も設置し、飛び石を10m程渡った先に熊田さんと約束した温泉を掘ることにした。

 いい温泉を掘ると約束したからにはただの露天風呂じゃ満足していただけないな。土魔法で広い岩製の浴槽と擬似的な崖を造りその上から湧き出るようにすることでまずは打たせ湯を造ってみた。といっても熊用なので人にとってはただの滝だが。試しに当たってみたが打たせ湯というよりかは滝行だこれ。これだけじゃ弱いか。もう一工夫してみる。

 「土が一番近いガス田まで半径1センチほどの穴を指で触れた部分に通す。」ちょっと危なそうだがいけるか。ぼこぼこ空気が湧き出してきたので通ったみたいだ。やった。ライター魔法で安全を確かめた。可燃性はないようだ。同じように数箇所穴を通し滝壷の下から所々天然ガスが湧き出るようにした。ジャグジー風呂の完成だ。周囲を塀で囲い建物の外観と内装をロココ建築風にしてみる。見よ、この曲線美。……着色できないと微妙だな。勿論、排水は地の底。



 セシリア組が戻ってきて部屋を飾るといってきたので庭にでる。大きな木と畑があるがこれはどうにもできない。種が数種類手に入っているが植えていい時期とかもあるだろうし、セシリアさんに聞きながら植えてみるか。それまで畑はおいておくとして。そうだ、盗賊の残党を考えて今の内に村長宅の防衛を強化をしておくか。現在この家の防衛を一手に引き受けているのは庭をぐるりと囲む柵だけだ。高さ腰まで。……。


 「土が縦50m×横50m×高さ5m×厚さ2mロココ調の壁を造って固まる。」隣の家の敷地とか巻き込んでいるけど焼失しているので気にしない。ロココ調はつい言ってしまっただけだ。しかしマジックさんは完璧な仕事を果たした。こんなの想像してねーよ。いいか。壁には内側に階段をつけ上に昇れるようにした。上から矢を射る。岩を落とす。そんな場面がきたらもう詰んでいる。でも昇れないよりは浪漫がある。

 そこまでやるとどうしても見張りの櫓が欲しくなる。が、同時に問題も発生する。さっき造った露天風呂だ。上から丸見えだ。といっても見えないように櫓を低くしたのでは意味がない。どうするか、と悩んでいたところ突如天啓が舞い降りた。


 みえて困るなら、みえなくすればいいんじゃよー、じゃよー、じゃよー(エコー)。


 お前は誰だ。また自分の知らない引き出し開けたみたいだ。くそっ、どうなってやがる俺の脳内(ナカ)。しかしいいことを聞いた。そうだ。見えなくすればいいのだ。試してみる。


 「土が露天風呂を高さ20mまで押し上げてロココ調の塔を造って固まる。」ずどどどどと持ち上がる露天風呂。ビルでいうと7階分。すごい光景だ。神は偉大なり。その後内部に螺旋階段と明り取り用の窓を設置して風呂までの通路は確保。6階部分を1フロア丸々空けて東西南北360度見渡せるようにした。強度の問題もあるので多めの柱を設置し、取水・排水はその中を通すことで解決できた。こちらも、ロココはつい言ってしまっただけだったが仕事は完璧だった。いやー、いい仕事をした。……庭で満足げに出来た塔を眺めていると、不意に後ろから声を掛けられた。「あの……何ですか、これ。」セシリアさんが、持っていた食事を落としていた。



 「……前の住人『嘘だっ。』」足元でマアルちゃんが食い気味に言った。

プロット達成率27%

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