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モッカ村の夜明け

 村は確保した。その日は村長宅の隅を間借りし皆で固まって泥のように眠りこけた。誰もがもう限界だったのだろう。3人で川の字になって熊田さんの腹に頭を乗せて眠った。熊田さんは寝てたから関係ない。



~~~



 窓と呼べるかわからないが壁の木枠から差し込む陽光と外から聞こえる野鳥のさえずりで眼を覚ました。早朝か。両脇の母娘は寝ている。枕も規則正しい上下運動をしている。二度寝の誘惑を断ち切りそっと立ち上がる。そう。今だけとはいえ役割はお父さん。誰よりも頑張らんと。自己満足で結構。おいどんは格好良いお父さんば目指すけん。村長宅を出る。

 汚れ仕事とはいえ、財源確保に走らなければ。埋めた奴等を一人一人土魔法で掘り起こす。装備を剥がし荷物を取りまた埋める。6人目を剥がし汗を拭いながら傍らに置いた所ではいと拾われた。振り返ると今まで剥がした装備が綺麗に拭かれて種類別にまとめられていた。呆けた顔で視線をあげると装備を受け取ったセシリアさんがいた。微笑むでもない。真面目な顔。そうか。これは二人の仕事だった。


 全ての作業工程を終え、家に戻る。熊田さんは既に起きたようだ。彼?のいた場所から染みが点々と奥に続いている。寝呆けて風呂にでも入りにいったんだろうか。起きるのをむずがるマアルちゃんを抱っこして徐々に覚醒させていく。その際のコツはテンションをローイン・ハイアウトが望ましい。あっという間に熊田ホーミングミサイルの出来上がり。ふぁいあっ。




 4人?で携帯した簡単な朝食を口にする。食事をしながら今後の話をした。

 「これからの話をしようか。昨日お母さんとも話したんだけど、この村を元気にしようって。」マアルちゃんを見る。真ん丸お眼目(めめ)の端がちょっぴりキラキラしている。ノってきたな。

 「村を建て直そう。大変かも知れないけれど俺も熊田さんも手伝うし。」おお熊田さんの顎がこれまで見た事ないほど開いている。外れてるんじゃないか大丈夫か。そこで今まで静かにしていたセシリアさんがスッと前のめりになった。

 「この地にこれまでを越える幸せな場所をつくりたい。それが皆の何よりの供養になる。そう思うんです。」そう言いながら。北を向いた。テーブルに重ねて置かれた手が硬く握り締められている。果たして、どうだ。

 マアルちゃんは椅子の上で飛び跳ねていた。それオッケーなの。どうなの。彼女の表現は独特だ。一方、熊田さんは胡乱げな表情であったため、こちらは信じられないといった愕然とした表情で返した。固まった熊田さん。視線を泳がせマアルちゃんを見ると飛び跳ねている。それはいいとして、最後にセシリアさんを見ればテーブル下に崩れ落ちていた。流石の熊田さんでもこの空気で森へ帰るとは言い出しづらかろう。見ればテーブルにちんまり尻尾が乗せられていた。おっしゃ熊の尻尾獲ったどー。


 4人?の今後は村の発展に尽力する。その為に復旧作業に取り掛かるというのが当面の目標だ。といっても生活環境から整えなければならない。しばらくはオー窟から通いながら村を整備する日々が続くことになるだろう。本日の予定はセシリアさんが荒らされた村長宅の清掃、マアルちゃんは村周辺の枯れ枝・食材発見、俺と熊田さんはオー窟からの村復旧に必要な荷物の運搬に決まった。決まった瞬間マアルちゃんは外に駆け出していったので若干不安要素が残ることは否めない。まあ、各々やる事をやろう。



~~~



 急拵えの木板をソリにみたて両端を麻紐で縛って左右から熊田さんと引っ張る。軽いんだが、麻製品中心だけあって容量がかさばる。その為往復を重ねなければならなくなり距離を歩くだけでも相当な疲労だ。4往復で当面の必要物資は運び入れた。はぁ、はぁ。息を整えながら座る。……なんだろう。違和感。違和が感じることこの上ない。はっきりいって熊田さんの行動が荒い。あ。強制的に手伝うことに納得がいってないのか。温泉を掘ることで村をとり帰すことと村に住むことには承知したが復興作業は契約外ってか。流したつもりがこいつはひどく現実主義者。メリットとデメリットを天秤にかけるだけ。このまま雪崩れ込む空気でいったら近々離反を起こしかねないな。熊田さんの離反。想像してみる。尻尾で引っ叩かれて頬骨が砕けた。背筋に汗が流れる。嫌な汗だ。これは早急な対策が必要だ。


 村の蔵(倉庫)に運び入れたのは以下の通り。


□盗賊装備

 ●武器/ナイフ(片手&投擲)・剣(片手)・鉈・弓矢

 ●防具/鎧(樹皮&獣皮&銅製)

 ●雑貨/装飾具(指&腕&首&足)


□布製品

 ●麻製品(バッグ&家具用品&小物など)


□器

 ●陶器(余っている食器&花瓶など)


□雑貨

 ●貨幣(オー窟&村&盗賊所持金)

 ●薬(傷薬&毒消し&擬似万能薬(押入れ草)


 豚共の装備品は基本使えないのでオー窟に残した。暇な時間に火魔法で塊にでもするしかない。その他ベッドとかサイドテーブルとかの家具類はあちらでも造れる。いずれは拠点を移す方向にしてもしばらくは通いになるため中心となる生活用品はオー窟に残し、その他余っている物を片っ端から運び入れた。最後には疲れて歩けなくなり、熊田さんにソリで引きずられながらオー窟へ戻る自分がいた。荒いっ、荒いよ熊田さん。



~~~



 夕食後、熊田さんを庭へ呼び出す。彼?が姿を現すと遠慮なく至近距離まで詰め寄った。

 「熊田さん、今後村に拠点を移すと食料は提供されなくなる。」………。あ、今度は完全に外れたみたいだ、顎。

 「熊田さんの食料提供はオー窟の一室を貸す代わりに毎日食料を一つ提供してもらうという相互利用の為に結ばれた契約だ。オー窟が放棄された場合、互いにその契約は無効となる。勿論、食材提供の義務も発生しない。」黙った所で畳み掛ける。

 「ただ、こちらには救済措置がある。村の復興を手伝えば対価として引き続き食料と併せて貨幣を支払う」と。熊田さんは何のこっちゃわかっていなかった。だが、これでいい。

 「今は無理だが商店が開けば、その貨幣を使って好きな物が買える。食べ物も好きな時に食える。」ひた……。見れば地面に染みができていた。後一押し。

 「これまで以上に色んな旨い物が食える。悪い話じゃないだろう。」



 ……いつも手を差し出す場所には、既に尻尾がおかれていた。

プロット達成率25%

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