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番外編/初めての男の子③

 娘が青年に懐いた。その後熊にも懐いた。青年も熊田さん?もいい性格だしそれはわかるけど。人見知りをこじらせて村でも誰にも懐かなかったのに。何でも聞いてきて何でも報告してくれる。この子できる子。

 そもそも、この青年は何なんだろう。カドエビ・ユータ。名前はわかる。彼はやさしい。気遣いもできる。格好いい。そして、後ろ姿がわたし的にキュン。ううん。理屈じゃない。耳とか見るとボッとする。でもでも娘がいる。娘を育てるのが最優先。


 「仰ることはわかりました。では出発は1週間後で。その時は自分も熊田さんも護衛を兼ねて付き添います。滞在中は今の部屋を使ってください。ただ、自分の故郷には『働かざる者食うべからず』という格言がありまして、滞在中はこちらの食料確保に付き合って頂くことになります。宜しいですか。」了承する。


 私は一児の母。それだけは揺ぎ無い事実。ベッドの横で眠るこの子を唯一守る存在。そうね。今となってはそれだけ。ただ、旦那が死んだ。旦那が死んだんだ。悲しいよ。娘の寝姿を見届けて、シクシク泣いていたらいつの間にか娘に抱きしめられてた。そっか。家族って凄いね。部屋の外から音がした。ユータさんか熊田さんがいたのかな。よくわからないくらい泣いた。今日は出るだけ涙だして、明日から頑張ろう。



~~~



 外に出た。まず視線を遮ったのは日差しよけ。ああ、自殺防止用ネットなんですよと言われた。これで助かったんだ。ほえー。庭は正面進むと入り口で左がプール、右はゲフンッ、ゲフッ、ゴホっですねと説明された。主に左のプールを説明された。はっきりいって右の施設はなんだろう。高い壁で囲まれてるけど。娘も左の施設の説明は途中から聞いていないようだった。手をひかれながらプールを案内されていたが、目は完全に壁の内側を向いていた。あ、この子その内やらかすわ。いいか。怒らないだろうし。不思議は不思議で受け入れて、最低限の衣食住が保障されればそれだけで十分だわ。



 ……明らかに怪しい青年と、娘と熊。これからの生活どうなるんだろう。

セシリア 遭遇編 完 


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