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モニターテスト

 ・・・急須に入れたうお茶を堪能し尽くし、席を立つ。まだ時刻は午前中だ。そして午後はやる事がある。ウォータースライダーの設備点検兼モニターテストだ。飛び込み台の方もある。ぐずぐずしてはいられない。


 自室に戻って仕立てた水着に着替え、外に出る。よし、誰もいないようだ。気温も肌寒くない程度で、絶好のプール日和じゃないか。ウォータースライダーの梯子を登り頂上に立った。頂上は3m四方の広さがあり、滑り台の部分以外は手摺りで囲まれてる。中心にプールの水源があり滾滾と水が湧き出ていた。水はそのまま滑り台へ流れ、2回転半捻りしてプールに落ちる。自慢の設計だ。滑り台の部分には特に滑らかになるよう慎重に造った。滑っている途中で水着がひっかかり、ビリビリに破けるのは御免だった。

 準備体操を入念に行い、心臓に水をバシャバシャかける。滑り台の縁にブリッジのような体勢で跨り、スタート準備は整った。後は、この手を放すだけだ。

 ・・・よし、行くぞ。・・・。ちょっと待った。呼吸を整えてからにしよう。行くのはいつでも行ける。万全の状態でいこう。ほら、段々呼吸が収まっていた。あと少しで完璧だ。

 ・・・あれ、改めて思うと何でこんなモノ造ったんだ。プールといえばやっぱり大型滑り台だろうと心躍らせながら造ったのは間違いない。では、何故手が思うように離せないのか。・・・心当たりがあった。ああそうだったのかと。気づきたくなかった。しかし、残念ながらここに至って認めなければならないようだ。『吾輩は、隠れチキンである』と。名前は遊太。認めたら正直心が軽くなった。どこかで無理してたんだな、自分。素直に手を離した。

 おぉーー、おおお、おおお、おぉお、おおー。こんな感じだった。まさしく2回転半捻りを再現していた。距離としては短いが、十分楽しめる。続けて2回程楽しんだ。満足した。2回目の着水時に魚を一匹蹴っ飛ばしてしまい、何となく気まずくなったので今日の所はここまでにしておいた。覚えてろよっ。


 次に高さ5mの飛び込み台のテストだ。しかし、飛び込む前から気づいていたことがあった。底、浅すぎないかと。前にも述べたが、プールの水深は1.5mだ。しかし飛び込み台は5mある。やってみないと解らないが、おそらく飛び込んだら激突するんじゃないか。そんな気がしてならない。飛び込み台の高さを下げるか、水深を深くするか悩んでいた所、一つ閃いたことがあった。


 「風が、飛び込み台の2m以内を常に上空に向かって強く吹く。」・・・成功したが、身体が持って行かれそうになった。イメージしたのは台風中継の激しい感じの風だ。自分でも体験したことあるが、地面に手をついていないとその場に身体を維持できない。線路のガード下が冠水したので見に行ったところ、上から線路の縁石が飛ばされてきて顔の30cm横を通り過ぎていった。台風がきたら、本気で外に出るもんじゃない。・・・また出たな、悪癖めっ!

 風魔法を唱えた結果、飛び込み台の周囲にはおそらく風速30m程度の上昇気流が吹くようになった。ただ範囲が2m以内までなので、上にも2mまでしか魔法の範囲は及ばない。環境への影響は心配ないだろう。これで梯子を登るのも楽だし着水での衝撃も軽減できるはずだ。試してみる。梯子はスイスイ登れる。強力なバックアップのお蔭だ。飛び込む際の隠れチキンの(くだり)は前にやっているので割愛させていただいた。

 ・・・例えるなら、風が轟轟吹く中、スィーーーといった感じで静かに着水した。何だ、これは。何なんだ。もう一回試してみる。轟轟、スィーーー、ちゃぷん。・・・何なんだ、これは。これはもうあれだな、命名しよう、不思議な飛び込み台と。ウォータスライダーの方は多分正式には違うだろうが、ムーンサルトでいいか。


 ついでといっては何だが、25mプールを100mほどクロールと平泳ぎで泳ぎ、陸に上がることにした。いい加減くたくただ。久しぶりのプールとはこんなに疲れるものなのか。明日来るかわからないが、筋肉痛で動けない日を覚悟しておいた方が良い。食料の貯蔵を図ろう。ただでさえジリ貧なのだ。多いに越したことはない。

 プールから上がる時に3匹捕まえ、塩焼きとうお茶で夕食を済ます。うお茶は残りを風呂にもっていき、露天風呂で温まりながら飲んだ。ああ、骨の髄まで染み渡る。マッサージを念入りにやっておくにしても、明日からの筋肉痛対策には取り組まなければならないだろう。もし明日の襲来がなければ、食料保存の法則に従って漁と採取を重点的に行おう。


 ・・・その日は半ば意識のないまま自室に戻り、泥のような眠りについた。

プロット達成率9.7%

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