第二十一話 七大罪の襲来
S危険度級の《門》にたどり着いた矢先、突如現れたのは《陰の箱庭》の幹部らしき男で───
「《七大罪》...!?」
全員が息を飲む
「あぁ、《七大罪》ってのは、俺ら《陰の箱庭》の幹部の名前だ。」
すると、剣崎が口を開いた
「この決壊もお前達の仕業か?」
するとマモンは悪びれることなく答える
「あぁ、テメェらを誘き出す為にな、《門》を作った」
4人の思考が一瞬止まった
────《門》を作った?
するとマモンは可笑しそうにしながら言った
「どーやって《門》を作った!?ってツラしてるな。簡単な話だ、そういう《古代遺物》を使っただけだ。」
全員が呆然としている中、マモンが声色を変える
「さぁ、おしゃべりはここまでにすっか...全員まとめてぶち殺してやるよ!」
そしてマモンの右手に巨大な赤い鉤爪が飛び出し、ものすごい勢いで跳躍した。真っ先に狙われたのは...
「グァ...!?」
柊だった。混乱の解けぬうちの急襲に反応が遅れたようだった。右の脇腹から鮮血が吹き出す
「朱音!」
「てめぇ!よくも!」
ほぼ同時に剣崎と泉が飛び込んだ
「桜流刀剣術『枝垂れ桜』!」
「スキル!『重力強化』!」
2人の重く早い剣撃が、マモンに襲い掛かる。しかし、剣崎の剣撃は弾かれ、泉の大剣は避けられ、通りすがりざまに鉤爪で僅かに体を切り裂かれる
「は!おっせぇなぁおい!まさかそれで全力か?」
しかし今度は背後から2本の刃が襲い掛かる
「天魔二刀流『断風』」
目に見えぬ程の斬撃がマモンを切り裂いた。
やった、そう思った時、マモンの体が煙のように消えた
「あっぶねぇ〜!そこそこやるやつもいるみてぇだな」
そして飄々とした顔を浮かべながら別の場所に現れる。
「チッ、あいつ...なんなんだ」
確実に捉えたはずだったのに避けられ、太刀川は歯噛みする
「朱音!大丈夫か!」
剣崎が柊の元に駆け寄る
「大丈夫、これくらいかすり傷だよ」
僅かに苦しい表情を浮かべながらも立ち上がる
「それより、あいつの能力だよ」
そう言って、マモンの方を睨んだ
「あぁ、とりあえずあの爪みてぇなやつと、煙みてぇな分身か。どういう能力なんだ?」
泉が警戒しながらこちらに寄る
するとニヤリと笑いながら言った
「こんなこともできるぜ?」
そう言って見せたのは、手から燃え上がる青い炎。
「私の炎!?」
そしてそのまま、炎がうねるようにこちらに飛んでくる
全員飛び上がりながらなんとか躱し、反撃に出ようとするが今度は突然体が鉛のように重くなった。
まるで上から巨大な圧力がかかっているように
「今度は俺の能力か!?」
泉が驚いたように言う。
しかしここまで来たら、どんな馬鹿でも想像がつく
「コピー能力か...!」
最初の鉤爪は不明だが、その後の煙の分身を見た時から剣崎は何となく予想が着いていた
剣崎は刀で攻撃しながら思考を巡らせる
(コピー能力だとすれば、何らかの条件があるはず。一体何が...)
その時、泉が違和感に気づき、声をあげる
「なんだ?スキルが使えねぇ!」
すると柊も同じく炎が出せないと言った
(スキルが使えない?やつが使っているのも2人の能力だ。この2人の共通点...そうか!)
剣崎が気づき声をあげる
「鉤爪だ!おそらく、やつの鉤爪に攻撃されると、一時的に能力を奪われる!」
それならば攻撃を受けた2人だけがスキルを使えず、やつが使っているのにも説明がつく
するとマモンが笑いながら行ってきた
「この短時間でよく気がついたなぁ。そうだ。俺の大罪権能は『強奪の爪』。この爪で攻撃した相手の能力を一時的に奪うことができる。何個かならストックもできる優れもんだぜ?」
そう得意げに話す。そしてマモンは『異能力』ではなく『大罪権能』と言った。何か違いがあるのだろうが今は関係ないと頭の隅に追いやる
「種もバレたし、そろそろ本気で潰してやるとするかぁ」
そう言うと、反対の手にも鉤爪が飛び出し、周囲の魔力が少しづつ集まってきている
直感的に危機を感じた剣崎と太刀川が攻撃に入った
「スキル!『血ノ雨』!」
「天魔二刀流『飛雷刃』」
横薙ぎの血の雨と一筋の雷の斬撃が飛びかかった。
しかし、どちらも激しく音を立てながら弾かれる
「チッ、このぐらいの威力じゃダメか!ならもっと...!」
その時、猛烈な目眩と不快感に立っていられずその場に膝を折る。
「紅...!」
(クソ!今の魔力じゃこれが限界か...!)
今の剣崎は、過去に受けた魔神王の呪いが解けきっておらず、何とか少しづつ戻ってきてはいるがその魔力と能力は全盛期の半分にも満たない
膝を着いた剣崎にマモンが攻撃を仕掛ける
「もう限界かぁ!?これでもくらいやがれ!」
すると収束していた魔力が、鉤爪から無数の刃となって放たれる。
「グッ!!」
太刀川が1歩前に出て迎え撃つが、あまりの数に追いつくことができない
(クッ!捌き...きれない!)
そして遂に押し負け、いくつか体に切り傷を負う。
「颯...!クソ!」
柊と泉の2人もまだ異能が戻らず、手が出せない
「さぁ!これで終いだ!」
そして、先程よりさらに魔力を収束された鉤爪が振り下ろされる
(まずい!殺られる───!)
ズガァン!と轟音が辺りに響き渡る。
しかし、いつまでたっても、攻撃が剣崎達を襲うことはなかった。
不思議に思い目を凝らすと、マモンの鉤爪を止めた男が立ちはだかっていた
「!?」
驚いたマモンはすぐにその場を飛び退く。
「おーおー、こりゃまた派手にやられたなー。大丈夫か?」
少し長めの黒髪をたなびかせ白が基調の羽織を羽織った、侍のような風貌の男。
「あんた...愁翠さん!?」
《MAA》全戦隊総隊長であり現代最強の男、最後の希望第一席桜愁翠が人懐っこい笑顔を浮かべていた。




