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第45話 前に続く道 4/6
道沿いに、駅が見えた。
タクヤは、ミルに言った。
「あそこでいいよ、下ろしてくれ」
「え? こんなところ、いつ列車が来るかわからないわよ」
「待つのは気にしない。むしろ、一人で、思い返していたい。泣く子も黙るほどの美女と、キスしたんだし」
「へんなの。下ろすのはいいけど、ほんとうに大丈夫?」
「サイフは持っているし、問題ない。金ならいつでもおろせるし」
「そっか。へんに日常に戻るより、ここで別れる方がいいかもね」
「うん。別れ、なんだよな」
「そうよ、あきらめなさい」
「ミル、僕は君と別れるのもつらい」
「バカ、手当たり次第にそんなセリフをはく男に成り下がったら、私がすぐさまぶっ飛ばしに行くからね」
「憶えておく」
「なにそれ。憶えておくじゃないでしょ。憶えておこうが、なかろうが、君は、君なんだから」
「ミルも、ミルとして、良い人生を送りやがれ」
「わかっているわ。私を誰だと思っているの? あなたと、首都がまるまる見わたせる丘で、唇をかさねた女よ」
そして、二人は手を出し、ハイタッチを交わした。
走り去るスポーツカーのエンジン音。
タクヤは、深呼吸をしてから、質素な駅舎に入っていった。




