66話.学年対抗戦に向けて
それから話は学年対抗戦に向けてに変わった。
一年E組からは俺とリーシャさん、アインに剛毅の四名。
一年A組からは烈火と紅葉さん、ゼウスにティナさんの四名。
一年B組からは美樹也と美鈴さん、竜に旋風さんの四名。
以上十二名が一年の学年対抗戦のメンバーである。
前衛、中衛、後衛、どの方面を向いても万全な最高のメンバーだと言えるだろう。
ただここで問題になるのは、学年対抗戦はガチンコバトルではないという点だ。
クラス対抗戦のように、相手チームを倒せば勝ちとはならないのである。
「キング、クイーン、ナイト、ビショップ、ルーク、ポーンの六種類の役割を与え、それぞれにポイントが付与される。対抗戦の時には的を体に張り付けてもらい、それを破られたら相手側のポイントになるって具合だ」
藤堂先生から学年対抗戦のルール説明を受ける。
キングは破られたら一発アウトで負けが決まる為、必ず守らなければならない。
尚、誰がキングか分からないなんて事は無く、最初にキング『のみ』公表される事になっている為、キングを探すなんて事は必要がない。
ポイント配分として、クイーンは十ポイント、ナイト、ビショップ、ルークは二ポイント、ポーンは一ポイントとなっている。
キングとクイーンは一名。
ナイト、ビショップ、ルークはそれぞれ二名まで。
ポーンは四名という具合だ。
ちなみに役職にはそれぞれフィールドバフ効果が掛かる。
キング =無し
クイーン =全ステータスアップ
ナイト =防御力アップ
ビショップ=魔力アップ
ルーク =速度アップ
ポーン =攻撃力アップ
という具合だ。
職業と同じように、どの役割に人を割り振るか、それも大切になってくるのだ。
「ま、この手の采配でこいつの右に出るやつぁいないだろ」
「わっ、わっ」
藤堂先生が頭の上に手を乗せ、右に左に振ってくる、
とてつもない力なので抗う事も出来ずに、フラフラする。
皆がうんうんと頷いている中、
「藤堂先生、玲央君が人形みたいになっています!」
「おっとわりぃわりぃ、ガハハ!」
全然悪いと思ってなさそうな藤堂先生である。
リーシャさんはもう天使かな?
「そんで我らが将軍様よ、どう割り振るかイメージは出来るか?」
また藤堂先生の無茶ぶりが始まった。
とはいえ、俺は何度もこれを経験しているので、悩む事すらないけどね。
「クイーンはリーシャさん。ナイトに烈火と剛毅。ビショップは美鈴さんとティナさん。ルークに美樹也と旋風さん。ポーンにアインと竜、ゼウスに俺です」
「ほぅほぅ……この一瞬でそんなに万全の布陣を……って、ナニィ!?」
「榊君がポーン!?」
「キングじゃないの!?」
まぁそう思うよね。だけどこのゲーム、キングは一番大切であり、戦えないとダメなのである。
「キングにはなんの補正もないから、ある一定以上の実力が求められる。武器の扱い、魔力、身体能力。その全てを最上位で兼ね備えているのは、リーシャさんか紅葉さんだと俺は思う。クイーンはリーシャさんとして、戦場を縦横無尽に駆けてもらうつもりだから外せない。なら、必然的にキングは紅葉さんになるんだ」
「「「「「……」」」」」
「クイーンは負けたら十ポイント取られるからね。リーシャさんになってもらうのがべストだと思う。まぁ相手側もそれは視野に入れると思うけどね」
俺の説明に皆が静まり返る。
まぁ、そりゃそうだよね。
本来の戦い方で言えば、指揮官はキング一択なのである。
でもそれでは、二年生や三年生の主力達に勝てない。
俺はやるからには勝ちに行きたいのだ。
「そうだな、最初俺達は『榊チーム』の配置に疑問を持った」
「だね。だけど、結果として最善の配置だったと今なら分かるし」
「俺達の先を行く榊君の思考だからね。きっとこれも深い考えがあっての事だろうと思う!」
「ああ、我らがキングの決めた事だ! 異議なし!」
「役割ポーンだけどな!」
「違いない!」
「「「「「あははははっ!!」」」」
皆ノリが軽いな!
でも、ちゃんと認められている。
それがこんなにも嬉しい。
「ククッ……これだからお前はおもしれぇ。お前がポーンをやるってのも、どうせなんか策があんだろ?」
「あはは……」
流石に藤堂先生は見抜いていそうだな。
チェスにもある特殊ルール。
それが学年対抗戦にもあるというだけだ。
「紅葉さんには、ちょっと俺と戦術の共有をしてもらうね」
「はい、喜んで」
本当に嬉しそうに笑うのでドキッとしてしまう。
ほら、その笑顔にやられた人達がチラホラと。
紅葉さんは元より指揮官としての能力も高いのだ。
普段から冷静沈着で思慮深い彼女なら、俺がキングをやるよりも上手くやる可能性が高い。
「ククッ……おもしれぇ戦いになりそうだな。楽しみだぜ、学年対抗戦の日がよ」
そう言って笑う藤堂先生と共に、クラスの皆の熱気も高かった。
入院中の書き貯め分その⑤です。
次話で全部になりますので、夕方くらいに投稿致しますね。
お読み頂きありがとうございますー。




