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魔術大会5日目︰決勝後/6日目︰朝

「う……」

「…あら、起きたのね!」


決勝で気絶した後、起きたら保健室のベッドに寝かされていた。


「はい…」


そう言って私はベッドから出ようとする。


「あ、ダメよ安静にしてなきゃ!全く無茶するわねえ…」


そういうと保健室の先生は私の両肩を押し、ベッドに戻るように促す。実際立ち上がるのも辛いので素直に従う。


「…えっと、決勝のあとどれ位時間経ちましたか?」

「まだ1時間くらいしか経ってないわよ」

「なら良かったです」

「ん?何かあるの?」

「あ、いや単に…」


ガラガラッ!!


突然保健室のドアが勢いよく開く。


「カナ!起きたんだね!!」

「ジーク…」

「えっと、その…殴っちゃってごめん!カナの様子がおかしかったからこのまま続けたら危ないと思って…!」

「いや、むしろ助かったよジーク。ありがとう。というかそれを言うなら私の方が容赦なく攻撃してたし。」


どの道あのまま続けたところで負けは必須だったし、早い段階で止めて貰ったおかげで極度の疲労感と多少の頭痛以外に悪いところは無さそうだ。


「それなら良かった…」

「ロバン君、ちゃんと担任の先生に報告できた?」

「はい!ちゃんと言ってきました!」

「……?」

「ああ、ベルナールさんが起きないから、HR(ホームルーム)欠席するって報告しに行って貰ってたのよ」

「え………ああ、なるほど…」

「…カナ?まさか、その状態でHR出ようとか思ってないよね??」


図星をつかれたので目線をそらす。


「あ、いや…その…大会中でも朝と帰りのHRは必ず出ろって言われてるし…今のところ皆勤だし…」

「もう、ほんと信じられない!真面目もいき過ぎると良くないよ!」


ジークがプンスカという擬音がピッタリ合うような感じで怒っている。


「う、ごめんなさい…」

「…もうわかったよ!じゃあ先生にカナが出席扱いになるように言ってくる!」

「HRに出ないこと自体罪悪感があ」

「それでいいよね??」

「はいありがとうございます…」


ジークは再び教室へと戻っていった。


「…プッ!フフフッ!!」


保健室の先生が突如笑い出す。


「笑わないでください…」

「いやあ、だって妻の尻に敷かれた夫みたいで面白くって…!」

「う…」

「フフッ!…でもね、あの子には感謝しときなさいよ?あなたが倒れた後、ここまで運んできたの彼なんだから」

「そうなんですか?」

「ええ、そのとき彼ものすごく動揺してて、私が『ベルナールさんは疲れて眠ってるだけだから大丈夫よ』って言うまで顔真っ青にしてあなたのこと心配してたのよ?愛されてるわね、あなた」

「…そう…ですね…」

「……?まあなんにせよ、今は寝ちゃいなさい。夜になったら起こすなり寮に運ぶなりしてあげるから。」

「はい、そうします」


そういうと先生はベッドの周りのカーテンを閉めて立ち去った。


…さて、それでは寝ながら決勝中に見たゲーム画面について考えよう。


内容は確かこうだ。


騎士団長「私に…ジーク…いう…6才の…子が……の…すが、裏………人間……われ…、…ヶ月前に……なりまし…」

カナ「そんな…」


これからわかることは


・騎士団長がジークについて話しているということ

・ゲームはヒロインもジークも10代のときを舞台にしていて、"…6才" "…ヶ月前"というワードがあるので、それらを組み合わせて考えるとジークが16才の時に何かあったということ

・ヒロインの"そんな…"という発言からして、少なくとも良いことではなさそうなこと


これくらいか。正直核心に迫っていると思われる箇所は見えないままだ。ただ、今は11月の下旬、ジークは今15才で誕生日は確か1月だ。そのため概ね1年以内にジークの身に何かが起こることは確かなようだ。"何か"が何なのかは分からないが、最悪の事態も想定して慎重に行動しなくてはならない。


とはいえここでこれ以上考えたところで新たな情報は出てこない。かと言って手がかりは無いに等しい。今できることと言えば、またあの雑音が来るのを待つか、騎士団長に接触することくらいか。とりあえず騎士団長に会わせて貰えるようにジークに頼んでみるとしよう。


……しかし…今は異常に眠いな…とりあえず寝るか…


――――――――――――――


チュン、チュン!


鳥の声を聞きながら起きると、そこはどうやら寮の私の部屋のようだった。服は制服から寝間着に変わっている。どうやら爆睡している私をここまで運んだ上で着替えさせてくれたらしい。保健室の先生には今度お礼をしなければ。


体調は多少ダルいが、昨日と比べると大分マシだ。


時間を見ると、朝のHRに充分間に合う時間だったので、軽くシャワーを浴びて制服に着替えて教室へと向かった。


――――――――――



教室の前に着くと、ジークとアランが教室のドアの前に立っていた。


「おはようカナさん!」

「カナ!起きてきて大丈夫なの?」

「うん、大丈夫。これ以上寝てたら逆に動けなくなりそうだし」

「それなら良かった!」

「あ、そうだ」

「ん?」

「昨日の決勝の後ジークが運んでくれたんでしょ?ありがとう」


私は軽く微笑む。


「あ…うん!どういたしまして!」


ジークはなんだかモジモジしている。お礼を言われたのが嬉しかったのだろうか。アランはそれを見て何やらニヤニヤしている。


「ところで、なんで教室の前で立ってたの?」

「ああそれが、クラスのみんなにまだ入るなって言われてよ…カナさんも来てもまだ入れるなっつってたぞ」

「うーん…?」


教室に入れたら何か困ることがあるのだろうか。いじめか何かかにしては始めるタイミングが謎だ。


と考えているとクラスメイトの1人が顔を出す。


「お、ベルナールさんも来た!3人とも入っていいよ!」


3人で顔を見合わせたあと、教室に足を踏み入れる。


パァァーーーン!!


「「「魔術大会代表お疲れ様!!!」」」


大量のクラッカーと共に、クラスメイトが一斉に叫ぶ。


「うおっ!」

「わあ……!!」

「おー」


教室内を見渡すと、黒板や天井に色々装飾してある。いつの間に用意したんだろうか。


「カナ、アランさん、ジークさん!」

「マリー、これどうしたの??」

「サプライズよ!頑張った3人を激励したいって、私が提案したの!!」


なるほど、サプライズか。これは予想していなかった。まさしく"サプライズ"である。先生もいるので了承は取っているようだ。


「ありがとうマリー、とっても嬉しいよ」

「僕も!嬉しい!」

「俺もだ!」

「それなら良かったわ!それじゃあ主役の御三方、一言ずつ大会の感想でもいいただけるかしら?」


「じゃあ僕から!総合優勝バンザイ!」

「…って、ほんとに一言だけじゃねえか!」


アハハハハッ!!


教室中で笑いが起こる。


「次は俺からだ!俺は魔法はろくにできねえし、ジークとカナさんに助けられてばっかりだったけど、それでも俺なりに全力を出せて良かった!これからもっと強くなるぜ!」

「いいぞアラン!!」

「熱い戦いだったぜ!」


「…それじゃあ最後は私。私も足りないところはたくさんあったと思うし、最後は見苦しいところ見せちゃったけど、大変なのと同時にすごく楽しかった!戦いに限らず、これからもっと色々なことを学んで成長していきたいと思う!」

「色んな魔法があって凄かった!」

「俺らにも魔法について色々教えてくれよ!」

「てかこれ以上成長してどうするんだよ!」


アハハハッ!!


再び笑いが起こる。


3人の感想が終わったあとは、皆でお菓子やジュースを飲み食いしたり、ゲームをしたりで午前中ずっとどんちゃん騒ぎだった。実に楽しい時間だった。


―――――――――― 続く

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