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こんな世界で君は何を思う?  作者: かかかうどん
第三章 学園編
20/30

入学式は始まらない。

 セントリア大陸から見て南東、グローゼン大陸から見るとほぼ真南に位置するミナイスト大陸。そのミナイスト大陸の中で貿易の中継地点クロイツに最も近い街、それが私の実家であるメルシス家が治めるオベイグの街です。


 私ことクルセリア・メルシスは、そのメルシス家当代の第一子であり、クロイツの領主であるイケメン様の息子のファウゼン・クロイツ様の婚約者でもあります。


 さてそんな私ですが、問題を抱えております…。

 何を隠そう、私前世の記憶を持った転生者らしいのです。いや、精神的な病を患ったとかそう言う年頃とかではなくて、真実なんです。所謂異世界転生ってやつです。つい最近起床した際に“わたし”の前世の記憶ってのがふと頭にあったのです。


 つまりは、私じゃない“わたしの記憶”が存在していたのです。


 まぁ、そこは問題ありません。えぇ、そんなの些事です。問題はその記憶にあるファウゼン・クロイツは、とある乙女ゲームの攻略対象の一人だったはずなのです。

 前世のわたしは多くの乙女ゲームをプレイしていた、隠れゲームオタクもどきでした。そんなわたしのプレイしたと思われる…あ、いやその多くのゲームのし過ぎで、本当にそうか自信が無いのですが、私の婚約者ファウゼン様が攻略対象…。


 つまりこれは、俗にいう異世界転生における悪役令嬢転生というやつではないかと考えるのです。

 だってだって、私クルセリアはファウゼン様の婚約者。つまり、主人公側から見たら邪魔者なんですよ?恋路を邪魔しちゃう系女子ですよ?


 しかも記憶を思い出したのが、入学式の前日…。あー、終わった終わった。あれでしょ?婚約破棄されて無実の罪で処刑でしょ…。私処刑されるときの最後の言葉は、「私、知ってた。」にしよう、そうしよう。


「行きたくないわ…。」

「お嬢様?」

 つい、愚痴がこぼれてしまったのを、侍女に聞かれてしまった。

「何でも無いわ。」

「そうですか?それよりも、今日はお嬢様の入学式なのですから、着替えましょう。」

「はぁ…。行きたくない…。」

 溜め息を吐きつつ、着替えていく。ん?


「あーーーーーーー!!!!!!!!」

「お、お嬢様?!」

「思い出した!そうだわ!!早く着替えるわよ!!!」

「えっ?!は、はい。」

 私思い出しましたよ。確か主人公は、入学式の日に道を間違えてゴロツキに絡まれるのですわ。そこを颯爽と助けるファウゼン様!

 ファウゼン様が見つける前に私が主人公を助ける。そうすれば、物語は始まらない!!つまり悪役回避!!

 ありですわ!!


 私は侍女の用意した白を基調にした制服に身を包む。いざいかん、破滅回避へ!


△△△


 さて侍女を放置して勢いよく飛び出してきたものの…。

「ミスってますわよね~。」

 と独り言が漏れる。


 だって、いつ何処で主人公ちゃんが襲われるのかを、私は思い出していない…。そもそも、主人公ちゃんの顔を知らないって言うね~。あ~、これ詰んだわ~…。


 そして、止めとばかりに道に迷った。いや、方向音痴とかじゃないですよ?目的地が分からないうちにフラフラしていたら、よく分からないところにいたんですよね~。


 さて、どうしましょうか…?

「なぁ、嬢ちゃん。俺達と良い事しねぇか?」

 は?何この人、私に声かけてきてるの?


 急に現れた二人の男が私の進路を塞いできた。さて、どうしましょうか…?

 

「嬢ちゃん怖くて、声も出ないか?」

 先程声をかけてきた男を下郎Aとすると、下郎Bが声をかけてきた…。

 強がりでもなく、恐怖は無い。寧ろ笑みがこぼれそうになるのを防ぐのが辛い。


 だって、そうだ、まるでテンプレじゃないか。

 可愛い少女が、見るからに荒くれ者って感じの世紀末風姿の三下に絡まれる。そして、白馬の王子様が颯爽と現れて三下をやっつける。ああ、まるで理想のテンプレ。


「嫌ですわ、下郎が声を出さないでくださいまし。臭いですわ。」

 まぁ、白馬の王子が都合よく現れるわけも無いから片付けますか。

 ほら、煽ったら下郎Bが飛びかかってきた。


 それを、“無陣”で低級風魔法【ウィンド】を発動させて、二人纏めて吹き飛ばす。

 ブリュンラッセルの魔法は、発動する際に術者は発動する魔法に応じた色の魔法陣を形成し、それに魔力を流すことで、“魔法”という現象を引き起こすのである。


 しかし、そんなことをすれば、自分がどんな属性の魔法を使うかを、自ら相手に教えることになるのだ。また高位の術者ならば、陣からどんな魔法を使おうとしているのかを把握できるので対策を立てられやすい。


 以上を踏まえて考案されたのが“無陣魔法”と呼ばれる技術だ。

 これはその名の通り、魔法陣を形成させずに魔法を行使する技術である。これは、魔法発動の“自然のプロセス”を破棄する。つまり、その魔法陣を発動させるというプロセスを省く、いやこの技術では別の形にしている。


 本来、足元に出現させる魔法陣を脳内に描き、魔法を行使するのだ。勿論魔力は、魔法陣を自らの意思で自然の形でない場所に魔法行使と同時に行うので、才能と努力、更に本来の魔法よりも多い魔力が必要になる。


 しかしながら、慣れれば今回のような低級魔法なら無陣魔法の方が発動が速くなる。

 閑話休題。


 そんなわけで、無陣で下郎A、Bを吹き飛ばしたわけなんですけれどね…。ここでテンプレなら、後ろを見たら、助けに入ろうとした人がいたりして。

 ふふ、そんなわけないのにね。


「いつまで隠れていますの?」

 そう、こう言って振り向けば、人が…えっ?


 そこには私とは違い、日本の学校で見られる紺を基調にしたセーラー服のような制服に身を包んだ黒髪の少女がいた。

 その表情を見た時、私は冷や水をかけられた気がした…。

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