まだ入学しない。
本日、2回目の投稿です。
さて、入学式の受付する前の列を離れて学術都市ハーメルンをふらついていた俺達は、ゴロツキに絡まれるというテンプレに“遭遇していた”。
勿論、俺の能力の前では“注意を向けなければ”、彼らの目に俺達の存在は映らないので、絡まれるでは無く、見物する形だ。
そんな俺達は今、ドリルを頭に装備し、ゴロツキに絡まれていた貴族の悪役令嬢に居そうな感じの美人さんクルセリア・メルシスと、近くの喫茶店でお茶を飲んでいる。
「まぁ!それではあなたは、スーフェン第一騎士学校の新入生なんですのね!」
「そう。」
「スーフェン第一騎士学校と言えば、あの有名なフェステリアス・バグデステリア様の母校でありませんか!受験者の増加で年々、合格基準が高くなっていると聞きますし、優秀なのですね。」
「それ程でもない。」
そうなのだ。ルナが入学するスーフェン第一騎士学校は、有名人フェステリアス・バグデステリアの母校との事で、記念受験も含め多くの受験者がいるために、多くの学園を擁するハーメルンにおいても、難関学校であるのだ。
「スーフェン第一騎士学校と言えば、今年は黄金世代と言われているらしいですわね。」
「黄金世代?」
「そうですわ。何でも多くの英雄を輩出しているスーフェン第一騎士学校でも過去何年と比較しても引けを取らない寧ろ、過去の方が一歩引くとか。」
「へー。」
それは知らなかった。そんな風に言われているのか…。そう言えば、確かに列に並んだ時に数人程、魔力の高めなのがいたな…。
「確か、勤勉の賢者フェステリアス・バグデステリア様の弟君に、最年少で勤勉の騎士になられた方、それと双子のエルフ、憤怒の賢者でしたかしら?」
「ん?憤怒の賢者?」
ルナが視線を落として、椅子の下の影と一体化した俺にも目で問うてくる。
憤怒の賢者?そんな話は俺達は、聞いてないぞ?
「そうですわ。憤怒の賢者。名前は確か…。」
「タリアよ。」
「そうそう、タリア。…って、どちら様かしら?」
ルナたちが座る席の隣で、お茶を飲んでいた赤色をした短髪の女を、クルセリアは見る。ルナと俺は勿論気付いていたが、気付いていなかった振りをしておいた。
ルナと同じ制服を着た少女を盗み見る。
緩いウェーブがかかった赤い髪は、首元で外に撥ねるようになっている。天辺から生えるアホ毛からの残念臭がひどい…。
恐らく同年代の少女のようだが、二人同様その胸は平面に近いものだが、その魔力はマリアベルと同じレベルだろうことからも、一般人には見えない。何が言いたいかというと、面倒事の気配がするということだ。
ちなみに、ルナの魔力は一般平均より微妙に低い。これは、本来守護者は戦闘時などに魔剣聖剣の能力を発動させるのに対して、ルナは常時発動させているからだ。
「アタシか?アタシは、そのタリアさ。」
「は?」
「ん?」
でしょうね~。幾らなんでも、賢者と同じ魔力持ちなんて同じ賢者だと思ったよ…。うん、それよりも驚いた振りをしている、ルナよ…。普段無表情だからか、演技上手いな…。って言っても見えないところでこっちに手を振らないの!ばれるぞ!
「へ~。本物ですの?」
「はは、そう言われてもそうだとしか言えないんだがね~。」
「まぁ、そうなんですの?使徒の配下の方々には、その証拠であるマークが体に刻まれていると聞きましたが?」
ああ、あれね~。
「へぇ、よく知ってるね~。まぁあるけど、見たいのかい?」
「ええ、ぜひ後学のために。」
「物好きだね、あんた。いいよ、おいで。」
そう言って、二人はお手洗いの方へ、歩いて行った。
数分後。二人が帰ってきた。両者とも恥かしそうに赤面しながら…。
い、いったい何があったんだ、ゴクリ。
「……。」
おっと、一瞬だったが睨まれた。背筋凍る気がした…。背筋無いけど。
二人がルナの座る席の対面に並んで座り直した。
「こ、こほん。先程はすみませんでした。知らなかったとはいえ、失礼な事を。」
「い、いや。気にすんなって。最初からそうしなかったアタシも悪いんだから。」
本当に何が、あったんだ?
「ふぅ~。改めて、タリアだ。よろしく。」
「クルセリア・メルシスですわ。こちらこそ、よろしくお願いしますわ。」
そう言って、二人は握手をする。
「あ~、喋り方からも気付いてたけど、あんた貴族か。」
「ええ、まぁ。」
「ファミリーネームが無いように、アタシは平民だからね、敬語とか使えねぇんだ。」
「ええ、別に気にしませんわ。寧ろ私こそ、憤怒の賢者様に敬語を使って頂く身分でもありませんもの。」
そう言って、二人は会話を続ける。
「あっ!」
そう言って、クルセリアが雑談を中止して、気まずそうにこっちを見る。
「ん。すっかり、置いてけぼり。」
「す、すみません。」
「わ、わるい。」
「ルナ。よろしく。」
そう言って、タリアに右手を差し出すルナ。
「ああ、タリアだ。よろしくな、ルナ。」
タリアが、差し出されたルナの手を握った。
まぁ、俺が気配を操作して空気になっていただけなんだがな…。
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