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山茶花の嫁  作者: 櫻木サヱ
同じ日

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21/25

朝

目が覚める。

理由はない。

外が明るくなり始めたことだけが、分かる。


布団を出ると、空気は冷たすぎず、

昨日の朝ほどの差も感じない。

畳の感触は、記憶の中のものと区別がつかなかった。


身支度を整え、障子を開ける。

庭は、すでにそこにある。

昨日と同じように見える。


山茶花の木も、

咲いているのか、落ちているのか、

気に留めるほどの違いはない。


縁側に出る。

足を置く位置は、意識せずに決まる。

立ち止まることも、迷うこともない。


庭の奥で、何かが動く。

鳥か、風か、

確かめようとは思わない。


背後に、人の気配。

振り返らずとも、誰かがいることは分かる。

それが誰であるかを、考える必要もない。


しばらく、そのまま立つ。

時間が過ぎていることは、

影の動きで知る。


足音が遠ざかる。

近づくことも、声をかけることもない。


朝のうちに済ませることを、順に片づける。

廊下を歩き、

戸を開け、閉める。


その一つ一つが、

昨日の続きでしかない。


食事の場に行く。

席に着く。

器に手を伸ばす。


誰かが向かいに座っている。

だが、その存在は、

向かいに椅子があるのと同じ程度だ。


言葉は交わされない。

それを、不足だとは感じない。


食事が終わる。

立ち上がる。

それぞれの場所へ戻る。


庭に出ると、

朝の光はすでに強くなっている。

同じ日が、

確かに始まっている。


それが、

昨日と違うかどうかを考える理由はなかった。

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