第四話「解体屋」
ジョンは車を走らせた。
向かった先は、街外れにある古い建物だった。
そこに住んでいる男こそ、ブラッドだった。
ジョンが車を止めると、しばらくしてブラッドが外へ出てきた。
「……ジョン?」
ブラッドは不思議そうに近づいてくる。
「こんな時間にどうした?」
ジョンは車から降りた。
「ブラッド。頼みがある」
「何だ?」
「どうすればいい?」
「何の話だ?」
ジョンは答えず、車の後部を開けた。
ブラッドの表情が固まった。
「……おい」
ブラッドは車の中を見つめる。
「これは……」
「死体だ。2体。」
「お前がやったのか……?!」
「話を聞いてくれ」
ジョンは起きたことを説明した。
自分が二人を殺したこと。
ブラッドは最後まで黙って聞いていた。
話が終わると、ブラッドはジョンをじっと見つめた。
「お前……何をやってるんだ?」
その声には、いつもの落ち着きがなかった。
「自分でも分からない」
「分からないじゃないだろ」
ブラッドはため息をついた。
「探偵のお前が、こんなことに首を突っ込むなんてな」
ジョンは何も言わなかった。
ブラッドはしばらく考えた。
そして、仕方がないというように首を振った。
「……分かった」
「助けてくれるのか?」
「今回だけだ」
ブラッドは車を預かり、後始末を始めた。
彼は裏社会では知られた男だった。
表の世界ではほとんど名前を知られていない。
しかし、裏の世界では別だった。
何か問題が起きたとき、痕跡を消す。
余計なものを残さない。
そうした後始末をしてきた男として、ギャングたちの間では知られていた。
ブラッドは車をきれいにし、二人の遺体も人目につかないように処理した。
最終的に、二人は川へ運ばれた。
すべてが終わる頃には、空はすっかり暗くなっていた。
ブラッドはジョンに言った。
「もう二度と、こんなことに俺を巻き込むな」
「……分かった」
「本当に分かってるのか?」
ジョンは答えなかった。
ブラッドはそれ以上何も言わなかった。
ジョンは車に乗り込む。
エンジンをかける。
そして、その場を離れた。
夜。
ジョンは一人で街を歩いていた。
緑のパーカーでボロボロのズボン。
事件のことを考えれば考えるほど、頭が重くなる。
すべてが頭の中でつながっているようで、つながっていない。
「……少し忘れよう」
ジョンはそう呟いた。
向かったのは、以前から何度か通っていたポーカーの店だった。
カードゲームなら、余計なことを考えずに済む。
少なくとも今だけは、事件から離れたかった。
店の扉を開ける。
賑やかな声が聞こえてくる。
ジョンは席についた。
「一勝負、頼む」
カードが配られる。
ジョンは手札を見た。
久しぶりに、事件以外のことを考えられる気がした。
だがその後を考えなければならない。
ジョンはゲームの途中で抜け出す。
カードを捨て、朝日が昇る中をメモ帳とペンを持って街中へと行った。




