もう面倒くさくね
すったもんだの挙句、ようやく解放された俺らは、今日一日を反省すべく基地へ向かっていた。
「三次、今回は面倒くさかったな」
「確かに」
「発狂モンのババアには参ったな」
「DQNの子はDQNかぁ~」
「バカの末路はあんなモンだ」
「これからは相手見てやろうぜ」
「情けは人の為ならず、だな」
「……お前、意味違うぞ」
「そうか?」
「相変わらずバカだな」
「お前に言われたくねぇよ」
イキがった輩が悪事を働いた。甘えん坊のマザコンが絡まれた。それを助けたら報復され、やり返したら警察に捕まった。
根性無しが学校へ報告して我が校に連絡が来た。マザコンが告げ口をして発狂ババアが乱入した。そして俺らが極悪人に仕立て上げられた。
どいつもこいつも1人じゃ歩けないオムツ野郎で、自分のケツも拭けないクソみたいな連中だった。
こんな奴らの為に戦ったかと思うと、情けなくて涙が出る。
「なあ三次」
「何だよ」
「割れたDVDって元に戻んねぇかな」
「無理だな」
「ボンドでくっ付けてもダメか?」
「読み込まねぇだろ」
「あ~あ。堪能したかったなぁ~」
「また克己にお願いすればいい」
「くそぉ~。あいつらムカつくぜ」
「てめぇは、Bカップ警官で……」
そんな事を言いながら商店街を歩いていると、前方から昆虫たちがやって来た。俺らの姿を見つけた途端、全員がイキリ立った。報復の報復だろう。
沢山の虫たちに囲まれて中央を堂々と歩いている奴は、たぶん紺中のトップだと思われる。なかなかの面構えで腕っぷしもありそうだ。
ただ、やっぱり昆虫は昆虫。脳みそは小さい。数に物を言わせて優位に立ったつもりだろうが、合計6人中ケガ人が4人。瀕死の奴らを従えて何がしたいのか。タイマンを張りたければ元気な2人で来ればいい。ケガ人は寝かせておくのが優しさである。
「お前ら、ウチの仲間を好き勝手にやってくれたらしいな」
「それはそれは。ご愁傷様で」
「今日は五体満足で帰さねぇぞ」
「だから、何?」
「ウチの中学なめんなよ」
「ところで君の名は?」
「紺中の桑形だ」
「ブハッ!」
思わず噴き出した。
「おい友則。こいつ昆虫のクワガタだってよ」
「グハハハ。強そうな名前だな」
「昆虫界のキングオブキングじゃねぇか」
「ふ、腹筋がぁぁ」
「もしかして、隣に居るのは兜君だったりしてな」
「クワガタにカブト。無敵じゃねぇかよ」
「バッタ君にセミ君にテントウ虫君もいたりして」
「や、止めろ。もうお腹いっぱいだよぉぉ」
調子っぱずれの態度に完全にブチ切れた桑形君は、鬼の形相で向って来た。
もう報復の報復の報復はこりごりだ。このまま永遠の旅路になるのは面倒くさ過ぎる。
「どうするよ、友則」
「そろそろ本気出すか」
「これ以上は面倒クセェーしな」
「だな」
「どっちがやるかジャンケンで決めるか」
「それも面倒クセーよ」
「じゃあ、どうする?」
「2人で一緒にやろうぜ」
「おし。じゃあ行くか」
「三次。手加減すんなよ」
「言われなくても全力疾走だぜ」
おっしゃぁぁ。こうなりゃトコトンまでやってやんよ。
お前ら全員、故郷の森へ強制送還じゃぁぁーー!




