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本日も学園生活を満喫します  作者: 室町五丁目
5時間目

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1ピコも納得出来ません

 連行された俺らは、勝手知ったる少年課へ放り込まれた。俺の姿を見つけるや否や、勝手知ったる鬼神がしゃしゃり出て来た。

 相変わらずの強面で眉毛の向こう傷がさらに恐怖を煽る。鋭い眼光でこちらを睨んでおり、どの角度から見ても良い人には思えない。完全に悪人面だ。幼稚園児が見たらギャン泣きでウンチを漏らすだろう。もはや顔面凶器である。


「またお前らか。いい加減にしろ!」

「いや、これには事情があるんです」

「この期に及んでいい訳か?」

「マジなんですって」

「お前らの何を信用しろと言うんだ」

「信用するとかしないとかの問題じゃなく事実です」

「お前はいつも一言多いな」

「別に普通です」

「それが多いと言うんだ!」


 鬼神はそう言いながら俺の頭を引っぱたいた。返す刀で「ふざけんな。顔面凶器野郎!」と言いたかったが、それを口にすると人生終わる可能性がある。相手は権力というバッチを持っている。適当な罪状をつけて逮捕すれば点数になる。

 俺は一旦冷静になり、事の成り行きを説明した。


 商店街で学校の1年坊が絡まれていた。放っては置けないので助けた。そしたら報復された。

 こちらとしては恨みつらみはない。なるべく穏やかに話し合おうと思ったが昆虫に言葉は通じなかった。ブンブン羽音を立てて向って来たので、手で軽くはたき落とした。大切な宝物を壊されてカッとなってやり過ぎたのは申し訳なく思う。

 俺らは人助けをしただけで、天地神明に誓って悪い事はしていない。


「本当か?」

「ホントです」

「相手は病院に送られたんだぞ」

「自業自得でしょ」

「やりすぎだろう」

「やらなければ、こちらがやられますよ」

「だからって暴力はダメだろ」

「この場合、正当防衛かと」

「生意気言うんじゃない!」


 再び頭を殴られた。

 さっきから人の頭を木魚みたいに殴ってくれるが、それも一種の暴力だという事を覚えとけ。この顔面凶器野郎がぁぁぁ。


 俺が鬼神に暴行を受けている間、友則はBカップ警官になだめられていた。


「何であんな事をしたの?」

「仲間を守るためです」

「その行動は立派だけど、暴力はダメ」

「……はい」

「例え頭に来ても、グッと堪えるのが男でしょ」

「はい」

「あなたは頭の良い子だから分かるわよね」

「も、申し訳ございません」

「人間は話し合いが大切なのよ」

「はい」


 友則はうつむきながら目頭に手を当てた。その姿を見たBカップは「泣かなくていいのよ」そう言いながら彼を優しく抱きしめた。

 俺には分かっている。完全にウソ泣きだ。こんな事で泣くような奴じゃない。

 大体にして、こいつは野生動物が僅かに進化した原始人だ。ホモ属に属する化石人類で、ようやく知恵が生まれたばかりなのだ。人間の言葉も心も持ち合わせていない。持っているのは子孫繫栄の本能だけだ。その証拠に、抱きしめられた途端にとある部分がニョーンとしていたから。



 鬼神の話によると、相手は地元でも素行が悪く何度も警察の厄介になっている底辺系らしい。警察のデーターベースにアクセスすると犯罪歴がわんさか出てくる。

 逆に俺は一度も捕まった事がない。友則がバカな事をしでかした時に無理やり連行されただけ。純真無垢な体で犯罪処女なのだ。


「相手も相手だし、今回は事件にしないでおく。ただし、親と学校には報告するからな」

「物凄く納得いきませんが」

「殴ったのは事実だろう」

「人助けでも?」

「それが余計な一言だと言うんだ!」

「……」


 何だろう。このモヤモヤした感覚は。

 カツアゲした方が怒られず、止めた側が悪いみたいな雰囲気は解せない。俺的には正しい事をしたと思っているし、天に向かって唾を吐く真似はしていないと自負する。褒められて然るべきだだろう。

 鬼神の言い分にブスくれていると、友則をなだめ終えたBカップが俺を睨みつけた。


「あなたはまだ帰れないわよ」

「なぜ?」

「私の胸を触ったでしょ」

「……触ってませんが?」

「ウソを付くな!」

「胸は触ってない。触ったのはパットだ」

「そんな屁理屈が通用するか!」


 再びビンタの態勢に入った。納得いかない理由でしつこいほど頭を叩かれ、道端で背負い投げまでされた。その上でオマケの平手打ちはさすがにごめん被る。

 フルで向って来た手をスウェーバックでかわした。


「何で避けるのよ」

「そう何度もやられてたまるか!」

「あなたって、本当に最低な男ね」

「無実の男を背負い投げする奴に言われたくねぇわ」

「あなたが抵抗したからでしょ。公務執行妨害よ」

「だ・か・ら。俺がいつお前の妨害したんだよ!」

「抵抗したでしょ」

「抵抗する前に投げただろうが」

「とにかく、わいせつ罪よ」

「パットを3枚も入れるのは詐欺罪じゃねぇのか?」

「……ホント、ムカつく奴ね」

「それはこっちのセリフじゃぁぁーー」


 そう叫んだ途端、鬼神に背負い投げをされた。Bカップとは比べ物にならないスピードとパワー。背骨が折れるかと思うくらいの衝撃だった。


「お前、ブタ箱行くか?」

「……いえ」


 1ピコも納得出来なかったが、事件にならなかっただけマシである。

 その後も散々絞られてから釈放された。


 世の中の理不尽さに涙を堪えている俺に対し、ニヤニヤ顔で股間を押さえている友則。警察署を出た後、首根っこを掴んで基地へ拉致し「尻の穴にタバスコぬりぬりの刑」を執行してから自宅へ帰った。



 自宅へ到着すると、玄関先で親父が仁王立ちしていた。


「さっき警察から連絡が来たぞ」

「ああ」

「何やらかしたんだ」

「ちょっと、な」

「とりあえずブタ箱へ行ってこい」

「……は?」

「そしてクサイ飯を食ってこい」

「……」

「どれだけ臭かったのか、後で報告しろ!」

「……」


 もはや敵なしだな。このバカ親父……。





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