2:ゴブリン
シュブニグラスが去った後スライムをぷにぷにした。
名前、どうしようかな。
まあなんでもいいか。
「スライム」
ぷにぷにとスライムを突くと聞いてみる。
「どうする?一緒に行くか?」
「うん」
「ああ、喋れたんだ」
「うん」
本当にしゃべれるのか?
スマホを弄り魔法の項目を探す。
「お、あった」
魔法って何があるのさ。
物を作る【創造】、火の矢を飛ばす【火矢】……
「お、魔物について」
項目を見つけてタップする。
「なになに、魔物使いなら魔物を使役できる?……そんなに魔物いるの?」
「まものいっぱい」
「へー」
「つよいまもの、どらごん」
「へー!?ドラゴン何処にいるんだ?」
「やまのてっぺん」
上を見ても緑が見えるだけ。
とにかく森から出ないとな。
「スライム」
「なに」
「名前は?」
「ないよ。すらいむはすらいむ」
「じゃ、ノシロって名前にしよう。便利だろ」
スライムはポンと音を立てた。
「スライムはノシロです。よろしくお願いいたします」
「ああ!?突然、流暢にしゃべるな!」
「これは失礼を」
獲得経験値上昇EXを試したいなあ。
「近くに魔物いるか?」
「近くにゴブリンがいます」
「どっち」
ノシロはぬめぬめと動きそこに案内してくれる。
そこはゴブリンの巣というか、集落だった。
「【火矢】」
ぱすんと音がして魔法が使えなかった。
「んー察するに、魔法を覚えていないってとこかな」
成程。レベルがあるならステータスポイントもあるはず。
魔法をとる技術ポイントもレベルが上がらないともらえない。
じゃあ、と魔力を籠めて走ってきた近くのゴブリンを殴りつける。
弾け飛ぶ脳漿。
ゴブリンたちは体が硬直し、全員の体が止まった。
「あーレベル上がった……?違うなこれ、あ、成程ね。先に職業を選択しないといけなかったのか。経験値がスタックした」
スマホを操作し職業の欄を出す。
魔物使いを選択し、もう一匹近くのゴブリンを潰す。
ゴブリンたちが冷汗を垂らし、下を向く。
「おーレベル上がった」
レベルが今ので百五十に。
与えられたステータスポイントは三百。
「一レベルで二ポイントか」
魔力に極振りしてみる。
「へ、へへ、お嬢さん、ここは臭いでしょう?どうぞお引き取りください……」
媚を売ってくるゴブリンが恐る恐る近づいてくる。
今の俺が言うのもなんだが矮躯で緑の肌、赤色のまばらな髪。
貧相だ。それを見て、スマホをかざす。
『ゴブリン。種族レベル二。戦士レベル二。保有スキル・なし』
「よしお前」
「はひ!?」
「俺の下僕になれ」
びくびくしているゴブリンは震えながら俺を見る。
「えー……もう村に居られない?」
「村が潰れていいなら、断っていいぞ。俺はどっちでも構わん」
「ひっ!なります!是非とも私めに下僕の地位を!!!」
手の甲に魔法陣が浮かび、それがふよふよとゴブリンの胸に魔法陣がくっつく。
「お前性別は?」
「メスです」
「ふーん。ノシロは?」
「無性です」
あ、そうなんだ。
「お前名前は?」
「ないですよーそんな高位の魔物じゃないですからね、ご主人様」
「そうか、お前の名前はジェーナスだ」
瞬間、スライムの時とは全然違う反応が返ってきた。
ジェーナスはかなり豊満な胸になり、艶やかな髪が腰まで伸びる。
矮躯だったのが、170cmほどまで伸びると全裸になった。
「この魔法使うか」
スマホから【創造】の魔法を獲得。残りの技術ポイントは百四十九。
あれ?これ、【創造】に技術ポイントを突っ込んだらどうなるんだ?
タップしまくると上限に達したらしい。【創造・十】になっている。
全裸のジェーナスを見て魔法を使うとぽんと服が身につく。
胸を下から押し上げるコルセット。重厚な上着と胸元を広げた白いシャツ。
スカートは短く、ハイブーツはふとももをエロく仕上げる。
薄緑の肌はがさがさじゃなくなりつるすべ。
「お!美人になったな」
「ゴブリンキングになりました!ご主人様♡」
さて、試してみるか。
「この村には宗教はあるのか」
「しゅう、きょう?」
「何か信じている神はあるか?」
「……?よく分かりません」
ふむ。
「俺の名はアズマ!さあ、信仰しろ!」
「しんこうですか?」
「そう。俺を信じ、崇めることで力が付き、害獣からも守る」
「え!?なんということでしょう!アズマ様万歳!」
おー?おー……形だけじゃ駄目だな。
村を見て回りびくびくしているゴブリンたちを眺める。
がさがさな肌、侘しい髪、不潔な服(毛皮)。
家は樹の洞か洞窟。
「ん、この辺に神殿を立てよう」
「しんでんってなんですか?」
「俺への感謝を込める場所だ。つまり、捕まえた獣などを捧げるといい」
大理石で台をつくり、そのうえに大きな皿。そして屋根をつける。
白い神殿を眺めた。
「まあ初めてにしてはいい出来じゃないか?」
「なんか綺麗な建物ですね」
「この村にはゴブリンが何人いるんだ?」
「二百三人です。昨日子供が二人生まれましたが、さっき二人死にました」
「おー……じゃ、整備するか。何か失くなって困る物は手に持ってこっちに来い」
「みんな~ご主人様についていってー」
森に向かって魔法を放つ。
森が拓かれ、木造の家が百棟。村トイレも作って、適当な家の扉を開ける。
キッチンにテーブルに椅子。
あとはベッド。
「ここに住め」
「わー!夢みたい!」
「人間ってここに来るのか?」
「滅多に来ないですね。ここ、森の奥の方で、安全です。トロールいますけど……肉とか渡せばいいんで、別段困ってないですね」
「へー畑とかないのか」
「畑?」
あ、駄目そう。日光もあんまり届かないし、まあいいか。
そこにイノシシが飛び込んでくる。それを殴ってとめると、絶命した。
それをゴブリンAに渡し、供物として捧げる様に言う。
「こういうのを、そう、あの皿に……」
捧げられて、俺は驚いた。
何も起こらない。
「何が駄目なんだ?」
「……アズマ様に信仰を捧げると言わないと駄目とか」
「そんな物理かな?」
ノシロはそう言うのでイノシシを捧げたゴブリンに耳打ちをしてイノシシを一旦下げて、その上で口上を付け加えて捧げた。
スマホが震え通知を知らせる。
「信仰ポイントを二、獲得しました……一回で二?もっと貰えないかぁ?」
「私が思うに、信仰心の深さではないかと」
「なるほど、ノシロは頭がいいな」
じゃあ、時間か何かが解決……
は!
「トロールがいるって言ったか?」
「え?ええ、はい。あ、トロールをこのしんこうとやらに巻き込むんですか?」
「そうだ。トロールの村に連れて行け」
「えっ強いですよ!?」
「大丈夫だ」
ジェーナスはしぶしぶと歩き始める。
「こっちです」
少し歩いて醜い生き物とばったりと出会う。
「あ!トロール様!」
ははーとジェーナスが頭を下げる。
トロールはジェーナスを見て首を傾げた。
「ゴブリンキング?どういうことだ」
「あ、ほら、あっちにある村のゴブリンです」
へへへと笑うジェーナス。
トロールはこちらを見て訝し気にする。
「何故人間が」
「うん?ここで生まれたから」
「つまり、ゴブリンに育てられたと」
「いや、異世界から転生してきた」
「……何を言っているんだ?」
「あーまあとにかく、俺を信仰して欲しい」
トロールは不思議そうな顔を見せる。
「信仰というのは、つまり、お前は神なのか」
「お!話が通じる!神が分かるのか!?」
「ああ、うちの村にはすでにアフームザー様を信仰している。そのためフロストトロールが多い」
「へー?俺に信仰かえない?」
「メリットがない」
はっきり言われてこまった。
うーむ。




