執事の正体と作戦__前編
あれだけ怒られたにもかかわらず、アリアは結局、第二客室には戻らなかった。
そのまま第一客室に居座り、カナトと一緒に朝を迎えたのだ。
「なんで毎回こうなるんだ……。」
カナトはそう呟き、ため息をついた
コンコンとノック音と共に
「お嬢様、起きてください。」
エリスが少女を起こしに部屋に来た。
「おきてる……おきてるから…もう少しだけ……。」
カナトを抱き締めたまま、アリアは再びすやすやと眠り始めた。
「こら、いつまでひっついてるんですか!」
「女王陛下が呼んでいるんですよ!
いい加減、起きて支度してください!!」
布団を剥ぎ取りアリアの服を引っ張っては引き剥がそうとして
「やーだー!!!お母様に会うってことはドレス着るんでしょ〜!!」
「あんな締め付けてくる服着るのやーだー!!!!」
子供のように駄々をこねては少年から離れず
「カナト様からも何か言ってやってください!」
しばらくうーんと考えたのち
「…今日1日頑張れたらご褒美やる。」
そのたった一言で少女は目を輝かせては
「じゃあ、やる!がんばる!!
エリス、用意してくれ!!」
尻尾を嬉しそうに振りながら様変わりした少女を見ては「はぁ…。」と溜息をつき
「はいはい…。」
「準備の前にカナト様のご準備を致しますね。」
「え?おれ…??いや、俺は一人でも…。」
「だめです。」
「…せ、せめて、同性の人とか…。」
「まぁ、いいでしょう。
最近、入ってきた新入りに任せますからあとはご自由に。」
「助かった……。」
ほっとしたその直後に
「お呼びでしょうか?」
執事がやって来ました。
「うわっ…いつの間に!?」
驚くもエリス達は平然としている様子。
「執事ですから。」
執事が当たり前かのようにそう言ったあとにこっと微笑み
「名乗るのが遅くなって申し訳ありません。」
「最近、執事として雇われました、
デイトリッヒ・ミルドッグと申します。」
整ったお辞儀をしては「以後、お見知り置きを。」
するとエリスが
「しばらくカナト様専属執事として働いてもらいます。」
「え…そんな、急に…おれ、一応部外者って言うか…。」
「メイド長、並びに執事長にも話を通してありますので問題ありません。」
「いや…そういう問題じゃ…。」
カナトは戸惑っている様子ですが
「かしこまりました。
よろしくお願い致しますね、カナト様。」
デイトリッヒはやる気満々の様子。
「…まぁ、いいか…。」
少年は諦めて受け入れる事に。
「では、私はアリア様のご準備を致しますから第二客室に戻りますね。」
「カナト〜…夜、今日の夜、ちゃんとご褒美くれるんだろうな〜…??」
媚びるような目付きでカナトを見ていて
「ちゃんとあげるよ、大丈夫」
「絶対だからな!ぜったい!!」
「夜、また来るからな〜!!!」
そう言いながらエリスに引きずられて部屋をあとにしました。
「さて、カナト様もお支度のご準備を。」
そう言っては髪の毛のセットをしていて
「デイトリッヒは俺なんかの執事でいいのかよ」
「…それはどういう意味で、??」
「どうせ知ってんだろ、俺が人間だって…。」
「……もちろん、存じております。」
デイトリッヒは静かに微笑んだ。
「カナト・ユーリック様。」
「っ…。俺の家の事までご存知ですか…。」
その名を呼ばれるもどことなく表情が暗くなり
「おや、弟から何も聞いてないのですか?」
きょとんと首を傾げ
「え…弟…?」
少年は何も知らない様子。
デイトリッヒの弟とは一体____?




