夏祭りデートと新たな旅へ___前編
あのあと何事も無かったかのように朝食を済ませ
少女は「ちょっと準備してくる〜!!」と少年に言った後、久しぶりに屋敷に戻りました。
「よし、ここなら誰も居ないし…着替えられるかも!」
そう言うとぱっと着ていた服が消え、自分の腕を爪で切ると血液を自在に操ります。
血液を操ると色と形が変化していきあっという間に紺色の牡丹柄の浴衣が出来上がりました。
「よし、これで完成っと…。」
「どういう原理かは分からないけど
自分の血から想像した通りに服が作れちゃうなんて便利だなぁ…」
そう呟きながら浴衣を着て
「あとは…髪型…。」
鏡がある洗面所に行き、ハーフアップをしてみました。
「うーん…これじゃいまいちかも…。」
両サイドをお団子にしてみるも
「これだと子供っぽい…??」
「三つ編みとか…」
お団子を解いては一部を三つ編みにしてみると
「あ、ここをこうすれば…。」
その三つ編みをそのまま綺麗にお団子にしてみました。
「これいいかも!」
納得したのか屋敷を後にしようとするも
「そういえば服は出来ても靴が…。」
また、うーんと悩んでいます。
すると先程までなかった浴衣に合う下駄が玄関に置いてありました。
「この靴は…、まぁ、いっか!」
疑問に思いながらも下駄を履いては少年の家に戻ります。
「ただいま〜!!」と家に帰ると
「おかえり……。」そうお出迎えするも少女に見蕩れてしまっているのか固まってしまい…。
少女はそんな少年を見ては
「ねぇ…浴衣、どう?似合ってる、?」と不安げに聞きます。
「え、?あ、あぁ、似合ってるよ、かわいい。」
少し戸惑いながらもちゃんと真っ直ぐ答える少年に
「ありがと……。」と言っては顔を赤くしていると
「もうすぐ、始まるみたいだし、行くか?」と言うと少女は元気よく
「うん!!早く行こ〜!!」と言ってははしゃぎ始め
「あんまりはしゃぎすぎんなよ〜」
そして夏祭り会場へと着きました。
少女の目には多くの人盛りが凄くて屋台等が煌びやかに見えていました。
「すごい!すごい!私、こんなお祭り来たこと無かったから嬉しい!!」
今までにないくらいはしゃぐ少女をみては
「魔界にはこういうのないのか?」
「ん〜…一応、あるにはあるんだけど…行かせて貰えなかったんだよね、」
思い出してはしゅんとしていると
「じゃあ、今日はたっぷり楽しまないとな…
一応、デートなんだし…。」
少し顔を赤くしながらも
「うん、カナトも楽しも!!」
満面の笑みでいうと自然と手を繋いでは屋台を回る。
イカの丸焼きからりんご飴、チュロス等のいい香りがしてはテンション上がっていて
「イカの丸焼き食べてみたい!!」
「これ食べ終わったらつぎはわたあめ!!」
「そしたら、そしたら〜…!!」
一通り買う気満々のようで少年はありったけのお金をかき集めて家に出てきた為、余裕そうにしつつも、財布の中身を確認すると
「なぁ、アリア…買うのは5個までにしてくれ…遊ぶのも5回までな。」
「えぇ、出たよ、カナトのケチんぼ!!」
そう言われては明らさまにガッカリしつつも楽しそうにしていると
「ん…??」
またエリスの気配がしては振り返ると人混みの中に一瞬だけ転校生 天羽エリスと、見知らぬ男性が見えました。
「どうした?」と聞くと
「…え、エリスが、私の知らない男の人と…ふ、二人きりで、…歩いてた…。」
衝撃だったのか困惑してはびっくりしたり、少し嬉しかったりもすると
「まぁ、エリスもエリスで1人じゃないって事さ。」
「よかった…エリスも寂しくなさそうで…、」
凄く安心したかのように言うと
「さぁて、つぎは射的やろ!」
切り替えては射的屋さんを指差し
「ん、そうするか。」
お金を払ってからそういうと
「射的得意なのか?」
「実は大得意なのよ!!」
「見てなさい…!!」
銃を構えては色んな景品がある中から白いうさぎのぬいぐるみを狙い
「えいっ!」と撃つと当たったはいいものの中々倒れず
「あー…やっぱりか」
「え!?今、当たったよね!?当たったのになんで倒れないのよ!!」
「こんなのインチキじゃない!!」
「まぁまぁ、あと2発はあるから…。」
「そ、そうよね…。」
2発目も見事に当たり、最後の3発目に…。
「次こそは…。」
とうさぎのぬいぐるみの頭を撃ち抜くとゆらゆらとうさぎが揺れ後ろに倒れます。
「!!やったぁ!!ついにGETしたわ!!」
物凄く嬉しそうにしながらも射的屋のおじいさんが
「お嬢ちゃん、すごいね〜、はいこれ。」
とうさぎのぬいぐるみを手渡しでくれました。
「良かったな…ちゃんと大事にするんだぞ。」
と頭を優しく撫でては
「うん!!」
そしてついにこの祭りの大目玉
「これより、花火大会を行います。」とアナウンスがされると
「もうすぐか…。」
どこか緊張している様子だが少女ははしゃいでて気づかず
「花火大会!!早く行きましょ!!」
そう言ってはカナトの手を取って走り
「わかったからそんなに急がないで…。」
人混みの中を素早く通り抜けてはいい所に空いているベンチを見つけ
「あそこで見ましょ!!」とベンチに座ります。
「そうだな。」
すると花火が打ち上がり始めました。
少女には感じたことの無い感動と、花火の振動を凄く目を輝かせながら見ています。
一方少年はいつ言うべきか悩んでいる様子だが
「ねぇ、カナト、綺麗だねっ!!」
そういう少女は花火に反射して笑顔がいつもより綺麗で目を奪われそうになると…。
「なぁ、アリア…。」
「ん…どうしたの?」
花火の振動か、緊張と恋愛からのドキドキか分からなくなる。
それでも今しか無い…。
深呼吸をしたあと真剣な眼差しで少女を見つめ
「俺、アリアの事が好き、大好きなんだ。」
「今までもこの好きが本当に恋愛感情なのか不安だった…
けれどアリアと過ごしていて今まで感じたことの無い感情が沢山生まれて…今朝のだって…。」
「だから…その…無理にとは言わない!
断ってくれても構わない!俺と付き合って欲しい!!」
顔を赤くし勇気を振り絞って気持ちを伝えた。
「……え?」
少女は何を言われたのか理解できなかった。
"好き"
その言葉を、自分に向けられたことなど一度もなかったから。
花火だけが夜空に咲き続けていた____




