第4.5話 愛依とうさちゃん
愛依は動画編集と戦っていた。
生配信の盛り上がった部分を切り取ってテロップを入力する。時間の掛かる作業だが愛依はそれほど嫌ではなかった。ずっと部屋に閉じこもっているからという理由もあるけど、自分の配信を見た人に楽しんで欲しいという気持ちが強い。自分自身も応援してくれる人と関わるのが楽しかった。
中には批判的な人もいて傷つくことはあるけど応援してくれる人もいる。何者でもない自分が少しは必要とされているのだと思うと勇気が出る。
動画編集を終えると愛依はベッドに飛び込んだ。
「うさちゃーん。私は疲れたよー」
足をばたばたさせながら、友達である大きなウサギのぬいぐるみを抱きしめる。作業時間は二時間を超えていた。最初に動画編集した時、一日以上の時間が掛かっていたが今では大幅に時間を短縮できていた。
「もっと登録者の人達を喜ばせたいなー。うさちゃんはどう思う?」
ぬいぐるみに頬をすり合わせる。もちろん何も答えてはくれない。
「そうだ! お兄ちゃんの力を使えば占いが出来るんじゃないかな!? みんなも喜んでくれるんじゃないかな!?」
閃いた愛依だったがすぐに肩を落とした。兄の彩芽が協力してくれるとは思えない。
彩芽は亡くなった母親の言葉を守って他人の未来を出来る限り視ないように努力している。他の人には決して言わないという約束も守り続けているのだ。彩芽は奇跡の能力を呪いだと言っていた。
そんな彩芽が協力してくれるとは思えない。愛依も兄の想いを蔑ろにしたくはない。というか、嫌われたくない。兄に嫌われたら泣く自信があった。
「うぅー……でも……お願いするだけしてみようかな……すっごく怖いけど……うさちゃんはどう思う?」
ベッドに正座する愛依は不安な表情を浮かべていた。




