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未来が視えても妹は救えないッ!?  作者: 竜宮


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第4話 焼きそばパンとの葛藤

 夕方になると飲食店は忙しい。

 俺はたまりにたまった皿を全力で洗っている。店内では楽し気な声で家族やカップル雑談していると思うが俺の耳には届かない。今の俺は食洗器の音と水の跳ねる音しか聞こえない。あまりに忙しくてゾーンに入っているようだった。


「あのー。神楽さん。下げたお皿はここに置いていいのですか?」


 バイトの女の子が遠慮がちに聞いてくる。たしかに皿が溜まり過ぎて置くスペースが無かった。少しゾーンに入り過ぎていたようで全く周りが見えていなかった。

 申し訳ないと考えながら汚れた皿を片付け始める。


「すぐに片付けるからちょっと待ってて」


「ひぃ! いえ! ゆっくりで大丈夫ですよ!?」


 俺が声を出すと女の子は身体をびくっと反応させていた。別に睨んだ訳ではない。俺は他人の未来が視えるのを嫌って基本的に相手の顔を見ないようにしているのだ。では、なぜ脅えているのかと言うと単に怖がられているだけだ。

 怖がられるのには慣れている。しかし俺の事を何も知らないのに怖がらないで欲しいという気持ちもある。まぁこの店でも店長以外とは口を聞かないから自分のせいでもあるのだけれど。


「神楽君お疲れ様。今日も頑張ってくれてありがとう」


 仕事も終わり制服に着替えていると更衣室で店長が話し掛けてきた。外食チェーン店の店長はまだまだ若い。大学卒業間もないのに店長を任された有能な人だ。

 人当たりがよく柔和な雰囲気で話しやすい。バイト先でも浮いている俺にすら優しくしてくれていた。


「店長には色んな店の面接に落ちた俺を雇ってくれた恩がありますから頑張るのは当然です」


「真面目だねー。神楽君のそういう所ってかっこいいと思うよ」


「そうですか?」


「そうだよ。それと今度の日曜なんだけど空いてる?」


 ふいに質問されてしまったので店長の笑顔が目に入る。すると歓迎会に誘われる未来が視えた。


「土日は倉庫のバイトがあります」


「一日ぐらい休めない? 春になって新しい子が増えたから歓迎会をやろうと思うんだけど? もちろんタダでご飯をご馳走するよ?」


 夕食代が浮くのは魅力的だったが俺は断った。俺が行った所で迷惑だと分かったからだ。誰とも仲良くない状況で行っても俺が退屈するとも考えた。

 店長に謝罪してから店を出るとスーパーの総菜売り場に向かった。もちろん半額の商品が狙いだ。学校には昼食タイムという食費が掛かるイベントがある。ほとんどの生徒が学食を食べに行っているが俺は総菜パン一つで乗り切るつもりだった。弁当という選択肢もあるが作る手間を考えればパンの方が安い。

 手元にあったお金は俺の制服や愛依の入学金に使ってしまったので節約しなければ餓死する可能性もある。少し大袈裟だがそのぐらいの精神がなければ生活困難となる。

 俺の予想通り好みの半額パン二つ残っていた。バイトに行く前に目を付けていたパンだ。片方は二百円の焼きそばパン、もう一方は百五十円のアンパンだ。俺は両方を手に取って重さを図る。アンパンの方が大きくて重い。思春期男子ならアンパン一択だろう。

 しかし俺は焼きそばパンが好物だった。

 どうする。半額になっても二十五円の誤差がある。この贅沢が後々人生を崩壊させる一手目だと考えれば焼きそばパンには手が出せない。

 三十分ほど自問自答してから俺は焼きそばパンを購入して自宅に帰る。。

 そして歩いて帰る最中に本当に正解だったのかと新しい議題と向き合い始めた。

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