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未来が視えても妹は救えないッ!?  作者: 竜宮


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第25話 同情して友達になったの?

 佳賀里の部屋に案内されると俺はノックして声を掛けた。

 中から入っていいと佳賀里の声が聞こえたので遠慮なく足を踏み入れる。

 白いレースで装飾された大きいベッドがまず目に飛び込んでくる。部屋の中央に佇む存在感は迫力があった。しかも一人部屋なのに俺のアパートと同じ広さだった。

 さすがは社長令嬢なだけはある。


「何で来たの? 断ればよかったじゃない」


 胸元が大きく空いた白いドレス姿の佳賀里が目の前に現れる。金色の髪にはティアラを付けておりスカートの丈は左右で長さが違っていた。オシャレなウエディングドレスみたいだなと直感的に思った。背の低くて幼い見た目の佳賀里が大人びて見える。

 衣装はとても良く似合っていた。


「佳賀里と話がしたくてな。そもそもお前が待ち合わせの公園に来てくれたら俺がこんな場所に来る必要も無かったのだけれどな」


「勝手に約束して逆ギレ? 最低」


 相変わらずご機嫌ナナメなご様子ですね。佳賀里が楽しそうな所なんて見た事がない。

 俺は机に置かれた綺麗な花を見ながら会話を続ける。


「最低は言い過ぎなのでは? そうだ。誕生日おめでとう。そのドレス、かなり似合っていて可愛い。お姫様って感じだな」


「別にあんたに褒められても嬉しくない」


 言葉とは裏腹に佳賀里は照れたように身体を少しだけ傾けた。


「そうか。じゃあ俺の言葉は忘れてくれ」


「あんたのそういう淡白な所ってムカつく。私を見ないで喋っているのも不愉快」


 何だか俺は佳賀里から嫌われている様子だ。佳賀里が中学生時代に引きこもりだったと聞かされて妹の愛依と少しだけ重なった。佳賀里が臆病な自分を守る為に相手を突き放そうとしているのも理解してしまった。愛依もバーチャルのキャラクターとして俺に話し掛ける時は口調が強いのだ。

 さらに佳賀里と俺は母親を失っている点も共通する。どれだけ哀しかったのかは体験しているので気持ちは痛いほどに分かる。大切な人を失う怖さは体験してみないと分からないものだ。

 別に佳賀里を同情しているのではない。俺は佳賀里を応援したい気持ちが芽生えていた。


「分かったよ。じゃあお前に質問したらすぐに帰らせてもらうから我慢してくれ」


「何ですぐに帰ろうとするのよ?」


「えっと……俺に居られると嫌なんだろ?」


「私は嫌なんて言っていない。せっかく来たんだからあんたは自分の役割に徹しなさいよ」


「役割ってもしかして友達を演じるって事か?」


 佳賀里と父親の事情はすでに聞かされている。誕生日に友達を招待しなければ海外の学校に転校させられるらしい。佳賀里も弥生と同じで厳格な父親に逆らえないのだろう。


「海場に聞いたのね……余計な事を……そうよ! 私はお母様が愛したこの場所に居たいのよッ! だから協力しなさいッ!」


 何で命令口調なんだよ。俺は佳賀里の使用人ではない。


「あのさ、正直に言うと友達を演じるのは面倒くさい。俺は嘘を付くのが苦手なんだ」


「そう……じゃあもういいわ……どうせあんたも私を嫌っているのでしょう。別にあんたに嫌われても何とも思わないけどね。私もあんたみたいな男が嫌いだから」


「俺は佳賀里の事は嫌いじゃないけどな」


「嫌いじゃない?」


「面倒だからもう友達で良くないか? お前が認めてくれれば友達だ」


「はぁ!? 何で私のような高貴な人間があんたみたいな奴と友達にならないと駄目なのよッ! あんたもしかして私の事が好きなの!? 気持ち悪ッ!」


「恋愛脳は止めろ。俺は友達にならないかと言っているだけだ。告白している訳じゃない」


「そうね! 騙される所だったわ!?」


 何でそんなに息を切らしているのか分からない。そして被害妄想が果てしない奴だ。

 すると部屋の扉が開くと大人の女性がいきなり入ってきた。大人の女性は赤いドレスを着飾って首元には派手な宝石が輝いている。誰なのだろうかと考えていると佳賀里が急に小さい身体をさらに縮ませた。


「あらツムギ。もしかして彼氏を部屋に呼んでいたのかしら? へぇー。根暗なツムギにもこんな男がいたなんて驚きだわ」


「違いますお母様……このお方はクラスメイトです」


 先ほどまでの勢いがない。佳賀里はこの女性に怯えている様子だった。

 佳賀里の新しい母親なのだと理解する。髪の色が黒で顔立ちは日本人そのものだ。佳賀里とは似ても似つかない。


「もしかして本当にお友達を呼んだの?」


 佳賀里が弱弱しく「はい」と答えると女性は高笑いしてから俺の肩に手を触れてくる。


「ねぇねぇ。こんな暗くてつまんないツムギのどこが良かったの? 金持ちの娘だから? それとも嫌われ者に同情して友達になったの?」


 後妻である女性は興味本位で俺に問い詰めてくる。

 自分の家族である佳賀里を馬鹿にした口調は不快でしかなかった。

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