第18.5話 佳賀里の待ちぼうけ
広い部屋の中央には豪勢なベッドが置かれている。
白いレースで装飾されたベッドは佳賀里が特注したベッドだった。お姫様をモチーフにしたデザインは佳賀里の母親が用意したものだ。
ベッドにちょこんと座る佳賀里の服装はピンクのネグリジェを着ている。
ピンクのネグリジェが幸運を引き寄せると有名な占い師に言われてからずっと寝間着にしているのだが、シースルーの部分で胸元が大きく露出している。占いを信じる為にも佳賀里は我慢して着続けていた。
「まだ起きていらしたのですかツムギお嬢様? 早く寝ないと肌がぼろぼろになりますよ?」
白と黒のメイド服の少女が部屋を張った途端に口走った。
「……海馬の連絡を待っているのよ」
「あー。ツムギお嬢様に待ち合わせの手紙を出した相手がどれだけ待つか調べるってやつですか? しょうもない仕事を押し付けられた海馬さんが可哀そう」
「うるさい」
「……そんなにクラスメイトが気になるなら約束通りにツムギお嬢様が待ち合わせの場所へ行けば良かったのでは?」
「嫌よ」
「何が嫌なのか理解出来ません。はぁー。そんな臆病だから友達が出来ないんですよ? しかも相手が自分をどれだけ待つか調べるのはさすがに性格が悪いと思いますよ? もし私が相手だったらツムギお嬢様に一生話し掛けませんね」
「だって……向こうが先に私を無視したから……」
「どうせ偉そうに話し掛けたのでしょう? やれやれです。弱い自分を隠して強がるのは逆効果だと伝えたはずですけど? 幼児体型のツムギ様だと子犬が喚いている姿にしか見えませんよ?」
「うるさい……分かっているけど怖いのよ……」
「中学時代のイジメがトラウマって訳ですか……なら仕方がありませんね。まぁそのうちツムギお嬢様を受け入れてくれる人が現れるでしょう。気長に待ちましょうか」
「本当にあなたは嫌な奴。それで何の用なの?」
「週末に開催されるツムギお嬢様の誕生日会にツムギお嬢様のお父上も参加する、というのを伝えに参りました」
「お父様が……」
「じゃあ私は帰ります。おやすみなさいませ」
扉を出たメイド姿の少女は丁寧にお辞儀すると佳賀里の部屋を後にした。




