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未来が視えても妹は救えないッ!?  作者: 竜宮


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第14話 はい認めたー。言質取りましたー

 バイトが終わり家に帰ると中間試験が近いので勉強を始めた。俺の本業は学生だ。

 五月の半ばに中間テストが始まる。好成績を得られないとアルバイトの許可が下りなくなるのが港高校のルールだ。俺は一日前にテストの問題が視えるという圧倒的アドバンテージがあるので優位ではあった。

 テスト前日に問題が視えればすぐに取り掛かれる。しかし未来が視えても問題の答えが分かる訳ではない。テスト中と同じように問題と向き合う必要があった。

 ちなみに入学試験トップの成績になってしまった反省を踏まえて今回は少しだけ点数を落とそうと決めていた。極力目立ちたくない。


「今日も占いコーナー頼むわよ」


 数学の公式を解いていると愛依に話しかけられる。もう少しで解けそうな時に限って話し掛けてくる。俺はシャーペンを片手に「分かっている」とノートに数式を書きながら答えた。


「そんなに勉強して医者にでもなるの?」


「血が苦手な俺に医者なんて無理だよ。俺は我が家の家計の為に勉強をしているだけだ。それよりも愛依は高校の勉強は大丈夫そうか?」


 通信制の高校に通っている愛依は動画で授業を閲覧している。通信制の授業レベルが

 どれ程なのかは調べていない。愛依でも理解出来るように丁寧に授業してくれていたらいいけど。


「そう言えば私の荷物は届いていたの?」


 話を逸らしやがった。俺は一瞬で察する。これは時間を作って勉強を見てやる必要があるな。愛依は嫌がるだろうけど強制執行だ。

 問題の答えを導き出した後でディスプレイのメイメイちゃんを眺める。相変わらず可愛らしくツインテールの大きなリボンを揺らしている。服装も今日は露出度の高い学生服だった。サイズが大きいのか片方の肩を露出している。こんな学生が登校したら帰らされるだろうな。


「コンビニに行って荷物は取ってきた。愛依の部屋の前に置いている」


「開けてないでしょうね?」


「開けてないから安心しろ。心臓に悪いから愛依の荷物は絶対に開けないと……俺は誓っている」


「何よその間は!? あんた何かを想像したでしょ!? 絶対変な想像したッ! 変態ッ!」


 以前、愛依に送られてきた荷物を自分の荷物と間違って開けてしまっていた。

 中に入っていたのは赤い下着だった。布の部分はなくほとんどが紐だった。大人の下着、いやあれは熟練者の装備品に間違いはなかった。あの時は驚きすぎて心臓が止まりそうだった。いや、おそらく二秒ほど止まっていた。

 もちろん愛依に激怒された。俺も別に悪気があった訳ではないが物が物だけに謝るしかなかった。それから家族の荷物は自宅に、愛依の荷物は近くのコンビニに配送してもらうようになった。

 愛依は恥ずかしいのか俺を責めているが重要な事に気が付いていない。

 変態扱いされているが俺は家の家事を全て行っている。つまり愛依が出した洗濯物を洗っているのは俺なのだ。今となっては手にしても何も思わない。愛依はこういう装備品が好きなのだなと思うくらいだ。人間の慣れとは恐ろしい。

 すると愛依が部屋から出る頻度が増える提案を思い付いた。 

 将来に向けて家事が練習できるという点、俺の仕事が少なからず減るという点。メリットは十分にある。


「とりあえず落ち着け。それで相談なのだが愛依は兄の俺に下着を見られるのが恥ずかしいんだよな?」


「当ったり前でしょうがッ!?」


「じゃあ自分の洗濯は自分ですればいい」


「はッ!? ……たしかにこの家で洗濯をしているのはあんただったわね……私とした事が最大の汚点を見逃していたわ……」


 最大の汚点って何だよ。感謝されるのなら分かるけど貶される筋合いはない。


「じゃあ決まりだな」


「恥ずかしくて嫌だけど……洗濯はやった事ないし……面倒くさいし……動画編集の時間もあるし……お菓子食べたいし……ゲームしたいし……面倒くさいし」


 その後も言い訳を並べているが結局は面倒くさいのが本音だと分かった。始める前から面倒くさいと思わずに実際に洗濯してから判断しろっての。あと、言い訳の中に授業の時間や勉強の時間が入っていないのは少しショックだった。


「とりあえず洗濯の仕方をメモして置くから明日になったらチャレンジしてみろ。俺が学校に行ってる時なら一人で頑張れるだろ?」


「うぅー……分かったわよッ! やればいいんでしょ!? あんたに私の下着を動画に収めて保存されるリスクを考えればやるしかないんでしょ!」


「おい待て! 勝手に俺を変態の地位に貶めるなッ! たしかに凄い代物だが動画で収めるなんて兄として鬼畜だろうがッ!」


「……男は信用できないってネットに書いてありましたー……すぐに嘘を付くし浮気するってー」


「いやいや、それは確かにそういう人もいるだろうけどーー」


「はい認めたー。言質取りましたー。もう逃げられないわよー?」


「おいッ!」


 しばらく言い争いをしてから愛依が生配信を開始した。

 さっきまで俺と揉めていたのに明るい声で喋っている。なぜかいつもより楽しそうだ。俺としては愛依が二重人格ではないかと少しだけ怖くなった。今日はマイナーなゲームをプレイする企画なのでいつもより愛依の笑い声が多かった。俺と接する時もこれくらい楽しそうに笑って欲しいものだ。

 占いコーナーは生配信の最後なので俺は生配信を聞きながら愛依の為に洗濯の掟というメモを書き始めていた。本当は勉強したいのだが愛依の為なら仕方がない。今日も寝る時間が遅くなるだろうなと時計を見ると深夜を迎えようとしていた。

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