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未来が視えても妹は救えないッ!?  作者: 竜宮


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第7話 恥ずかしい恰好過ぎて泣けてくるよ

 四月の中頃、土曜日の今日はバイトを休んだ。今日は母さんの命日なので墓参りに行く予定だった。もう二年か。長いようで早かった。着替えた俺はスマホを手に取ると通知が入っていた。弥生からだ。俺は画面を眺めると吐息をつく。

 休みにも律儀に彩芽君の馬鹿とメッセージを送っていた。ここまで几帳面だと逆に感心してしまう。弥生と変な感じになってから二週間が過ぎている。理由は俺と関わるなと冷たく伝えたせいだ。別に友達を止めたい訳じゃない。なんせ弥生は俺の唯一の友達だからだ。大切な友達を捨てるほど俺は鬼畜ではない。

 ただ、学校では関わらないようにしようと考えただけだ。今では何となく顔を合わせ辛くなっている。自業自得だ。問題を棚上げにしなければこんなに悶々としなくて済んだよな。分かっている。俺って本当に優柔不断だよな。

 よし。謝りに行こう。素直に謝れば許してくれるだろう。このまま弥生と変な感じを続けるのは精神に良くない。


「お母さんへのプレゼントは玄関に置いてるからちゃんと持って行きなさいよ」


 準備を終えた俺にキャラクターが話し掛けてくる。

 愛依は母さんの墓参りに行かないのは昨日の時点で決まっていた。部屋もまともに出れない愛依がバスに乗って墓参りに行けるはずがない。責めても可哀そうなだけなので俺は何も言わなかった。愛依の分まで母さんに話し掛けるつもりだ。


「分かったよ。そういや父さんから連絡はあったか?」


 母さんの命日には帰って来ると正月辺りで言っていた。いい加減な父さんなので信用はまるでしていないけど。


「連絡はきてない。アフリカで死んでいるんじゃない?」


「怖い事を言うなよ……破天荒な父さんなら有り得るけど……」


「死んでも別に何とも思わないけど」


「そんな冷たい台詞をいわないでやってくれ……はぁ……じゃあ俺は行ってくるよ」


 玄関に向かうと俺の靴の上に赤い鶴の折り紙が置かれていた。

 愛依が小さい頃に母さんが折り方を教えていたのを思い出す。鶴が折れるようになった愛依は家中の紙を使って鶴を折りまくっていた。

 母さんへのプレゼントか。これは確かに喜んでくれるかもな。

 俺は母さんの好きな赤色で丁寧に折られた鶴を大切に鞄にしまった。

 玄関を出ると煙草の匂いが漂ってくる。この匂いは懐かしさを感じさせた。


「よう彩芽。高校入学おめでとう」


 浅黒くなった父さんが右手を上げる。スーツ姿なのだが俺の知っているスーツとは違う。

 皺が付きまくっている白いシャツの上に汚れた黒いジャケットを羽織っている。スーツのズボンは半ズボンになっていた。さらに足元は革靴ではなくサンダルだった。

 髪の毛は伸び放題でロン毛になっている。


「さすが父さん……恥ずかしい恰好過ぎて泣けてくるよ……」


 皮肉を込めたのだが何を思ったのか父さんはニカッと少年のように笑った。

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