30 執事さんにも、フローラにも
「あなたも、私の力を利用しに来たの?」
なにか、とても嫌そうなフローラの顔が夕焼けに照らされて、レアはなにか悪いことを言ってしまったのかと心がモヤモヤしました。
「あなたも??・・力?」
フローラが言った言葉。レアにはよくわからない言葉が多かったです。別に、彼女を利用とか、そんなことは思ってなくて、なにか死神さんを元に戻す方法を知っているかも?と思って聞きたかっただけで、それ以上のことなんて・・・。
何を言っているのだろう?と考えていると、それはフローラにとってはいいものではなかったようです。
「見たでしょ?さっきの・・・。」
不機嫌そうな顔で、彼女は不機嫌な口調で言いました。
「う、うん・・・。」
さっきの・・・。
それは馬車の事故で瀕死の女性を助けたこと、だってすぐに理解ができました。
「初めて見た人って、私のこと、女神とか、天使様とか言いながら近寄ってくるのよ。」
彼女は道端に生えている花に視線を落とすと、寂しそうに静かに話してくれました。
でも、その表情は寂しげなモノから、ゆっくりと怒りの表情へ変わっていきます。
「でも、結局みんな私の作る薬を欲しいだけ。それをお金持ちに売ってお金を稼ごうとしているのよ。もう
うんざり!あんたみたいな人の命を食物にするような人たちって・・・!!」
「ま、まってまって!!レア、そんなんじゃない!!」
淡々と語る彼女の口調は次第に強くなっていった。
レアは次第にそれが怒りへと変わって、ゆっくりと矛先が自分に向いていることを悟った。
「そんな、あなたの何を信用したらいいって言うの?」
人を疑って、誰も寄せ付けようとしないその瞳の奥は冷たく光っていた。
さっきの、街の人を助けていた時とはまるで別人。よそ者を嫌う人間の瞳だった。
「何って、言われても・・・。」
「なにも証明できないくせに・・・。適当なこと言わないで」
う・・・。
【出来もしないことをウダウダと言うな!】
執事さんに鉱山都市で言われた言葉が頭の中に響く。
(レアは、やっぱり無力なのかな。)
ここでも、人間の女の子から執事さんから言われたことと同じことを言われるなんて・・・。
「・・・」
なにも言えなくなってしまったレアは、フローラへ語りかける言葉を持ち合わせていなかった。
「とにかく私、自分の力を利用されるのも、街の人間以外と関わることももう嫌なの。私につきまとわないで!」
言葉強く彼女は言い放つと、レアを残してそのまま再び歩き出してしまった。
「あ、あのっ!!レアは、・・・レアは本当にあなたを利用するんじゃなくて・・・」
右手が自然に前に出た。
フローラを呼び止めようと?
フローラをその手でつかむため?
意味は理解できなかったけど、レアの手は彼女に届くこともなく、フローラも振り返ることなく町並みに消えていった。
でも、あの不思議な力は人間界でも特異なものだったようです。それを欲するものも多いようです。
きっと、・・・死神さんを元に戻す方法もなにかあるかも。
でも、今レアは心の傷を掘り起こされ心がなにも考えられませんでした。レアは人が行き交う道に取り残されて、そのまましばらく動けませんでした。




