表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神は死神(仮)へ再就職希望しましたっ!  作者: き・そ・あ
第1章 死神さんと運命の女神と
29/36

28 邪教徒?

「いらっしゃい!!」


「採れたてだよ!!今なら安いよ!!」


 大勢の人が行き交う街。レアは1人、人間界を彷徨っていた。

 死神さんが封印されてから1ヶ月。レアはあてもなくただ、なにか手がかりを探そうと人間界を歩き続けている。


 ここは交易都市、ロロラド。


 いくつかの街を結ぶ大きな道がつながっていて、古くからさまざまな人間が出入りしている。人間同士の交流が多く、物も、人も、情報も常に動いている。

 レアがロロラドに来て数日。街には特に目立ったものはなく、観光場所、市場など一通り巡っては見た。

 人間界では頼る当てはなく、子犬のように彷徨うレア。この姿を、あの女神は天界から見て、あの卑しい笑いを浮かべているのだろうか・・・。


 炭鉱都市での一件を思い出すと胸の奥がムカムカとしてくる。

 女神として、少し汚れたかもしれないけど、この湧き上がる気持ちはなかなか抑えることができなかった。


(いつか・・・、いつか・・・)


 ズドガァーン!!


 こぶしを握りながらワナワナと震えるレア。

 そのすぐ近くで大きな物音が聞こえてきた。


「馬車が倒れたぞ!!」


「馬が暴走したんだっ!人が、人が巻き込まれてるぞ!!」


 あたりが騒然とする。

 馬が暴れる声が聞こえ、女性の悲鳴が響く。

 レアは、何ができるわけでもないけど、いてもたってもいられないで騒ぎの方に走ってみる。


 確かに、ひどい。


 中年の女性が馬車の下敷きになっていた。大地には血の池が出来上がっている。

 数人の男が馬車を持ち上げ、女性を引っ張り出すとその怪我は明らかに致命傷だった。


(また・・・闇の者が来る)


 レアは懐にある死神の鎌に手を伸ばすも、あたりにはなにも見えない。

 天使も女神も、魔族の姿も、回収される魂の色も見えない。

 でも、あの怪我では助からないと思うんだけど・・・。


 悔しいけど、アテネの運命の書ではあの女性は死なない。とでもいうのだろうか?

 天使や女神の回復魔法ならまだしも・・・。


「どいてっ!!」


「うきゃ!!」


 後ろから来た何かに、レアは突き飛ばされてしまう。

 レアの隣を、薄い桜色の髪をした長い髪の少女が走り抜けた。

 レアと同じくらいの年齢だろうか?でも、・・・。


 その瞳はまっすぐに前を見ていた。


「フローラ様!フローラ様!!」


「わかってる!静かにして!!・・・これはひどい」


 女性の身内だろうか、先ほどの少女に涙を流しながら懇願する男性の姿があった。


(あの子、フローラっていうのね。)


 フローラは駆け寄って傷口をみると、その可愛い顔をしかめて肩から下げたカバンの中を探っていた。

 重体の女性は顔色が青白く変わっていき、呼吸が浅く、早くなっていた。


 このまま、失血死・・。


 この場にいた誰もがそう思っていると、レアは思っていました。


「あれでもない~・・・これじゃなくて~・・ぁあっっ!!」


 苛立ちながらカバンの中を漁るフローラ。

 その姿をただ、見つめている。

 なに?何が始まるの?人間たちをここまで引き付けるものが、あのカバンにあるの?


「ふ、フローラ様、お、お早く!!呼吸がっ!!」


 女性の呼吸が急激に遅くなると、手を握りながらただ、ただ祈る男性は悲鳴混じりの声を上げた。


「うっさいわねー!!こっちも大変なのよ!!・・・あ、あったわ!」


 カバンから取り出したのは2つのビン。


 深緑に輝く液体。


 緋く鈍く光る液体。


 フローラは羽織っていた洋服を一枚脱ぎ、女性の傷口の上にそっとかける。

 そして、ふたつのビンの中身を取り出すと、その材質はスライムのようにネットリとしていた。


 ゆっくり、二つの液体を合わせて均等に混ぜていく。

 フローラはその混ざり合った液体を傷口を隠すように塗った。

 女性は、あまりの激痛に悲鳴を上げ、体をのけぞらせるも、男性に取り押さえられ身動きがとれない。


(何?なにかのまじない?、この子、邪教徒かなにかで、この街全体で信仰しているの?)


 背筋に冷たい、なにかヒヤッとするものを感じました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ