27 孤独な女神
カツン・・・
坑道の中で、瓦礫、岩が所々で音を立て時折崩れている。
レアはその場で1人、力なく座り込んだまま動けなくなっていた。
目の前にはクリスタルに閉じ込められた死神さん。レアは、変わらぬ光景を目の当たりにして何も考えられないでいた。
血が飛び散った惨状。
魂を剥ぎ取られた人間の骸。
床や壁が崩れ落ちていつまで持つかわからないような状態。
目の前に、レアの身長ほどある青白く光るクリスタルの結晶。
そして・・・、
ボロボロのレアと死神さん。
どうしよう・・・。
その言葉しか、今は考えられなかった。
「ひゃっ!?」
放心状態のレアの肩を誰かが触れ、アテネの恐怖が抜け切れてないレアは叫ぶのと同時にその手を払い除けその場から離れる。
「・・・い」
思考がまだ動いていないレアは、目の前にいた人、そしてかけられた声も上手く聞き取れなかった。
「あ、あなたは・・。どうしてここにいるの?」
そこにいたのは執事さんだった。天界の死神協会でいつも待っているはずなのに・・・。
「あ、あのっ」
「これは!?一体何があった!?死神様、死神様はなぜ封印されているのだ!?」
あたりを一瞬見回すと執事さんは死神さんに駆け寄る。
すぐにクリスタルに触り、死神さんを助けようと何かを行うもそれは全て無駄に終わったようだった。
そして、万策尽きると鋭い眼光でレアを睨みつけてきた。
「こ、これは・・・。」
レアは、この街で起きたことを全て話した。
闇の王バルバトスの配下の者が妨害してきたこと。
魂が抜かれてしまったこと。
アテネが現れて、もめたこと。
レアは・・・。
死神さんはアテネに逆らってしまったレアを守るために、身代わりになってくれたこと。
執事さんは、黙って聞いていた。
レアは、途中で溢れる涙、混乱する気持ちと記憶でうまく伝えられたかわからない。
それでも、執事さんは何も言わなかった。
「お前は、どうするんだ?」
「れ、レアは・・・死神さんを元に戻したい!・・です」
執事さんのまっすぐな瞳を見ることができない。だってレアは、
「半人前のお前が、元に戻せるのか?」
そう、レアは豊穣の女神。上級女神の種族でもまだ14歳。
魔法もあまり使えない。力もない。死神さんですら歯が立たなかったアテネに抗うことができるのか?そう言いたそうな顔だった。
「そ、それは、レアがこれから頑張っていけば・・・」
「うるさいっ!!」
「うきゅ」
レアの言葉を上から怒鳴りつける執事さん。あまりにも驚いて体がビクッとなってしまう。
「出来もしないことをウダウダと言うな!死神様でもこの通りだ。お前みたいな半人前が・・・、半人前
が・・・。」
死神さんは胸ポケットから何かを取り出す。白い、粉末を死神さんに振りかけると、呆れた顔でレアを見下していました。
その瞳には、温かみがなくて、軽蔑するような、蔑んだ瞳でした。
「い、今は無理でも、絶対に死神さんを助けるっ!レアは、レアはあの場所が大好きだから!!」
レアが最後まで言うのを聞かないで、死神さんと執事さんは転移魔法で天界へと消えて行きました。
残されたレアは、ゆっくりと立ち上がり坑道から出るために歩き出しました。




