26 抗う代償
壁に叩きつけられて、体中が痛くて、怪我もしてる。
でも、レアはゆっくりと立ち上がって死神さんの所へ歩き出します。
・・・全身が痛い。
・・・体中が、手を、足を動かすたびに骨が軋むように痛い。
薄暗い坑道の中、青白い輝きにその身を包まれた死神さん。
その姿は、まるで時間が止まったようにピクリとも動きません。
「小娘、我に逆らった罰じゃ。この死神の時間を止めた。」
「時間を?止めた?」
レアはそっと死神さんを包む青白いもの。結晶に手を伸ばす。
冷たい。きれいに輝くそれは、クリスタルのようだ。
固くて、冷たい壁がレアと死神さんの間に出来ていました。
氷のように輝いて、青く光って、今にも溶けそうなのに、冷たく、固い死神さんとの壁。
「死神さん?ちょっと・・・。出てきてくださいよ?」
返事は、ない。
表情一つ変えず、死神さんは聞こえていないのか動かない。
親が死んだ子猫のように、死神さんへ届かぬ手を伸ばし続けるレアのことを見ながらアテネは満足そうに微笑んでいる。
「死神さん?いつも、レアのこと助けてくれるじゃないですか。レアを、一人前の死神にしてくれるって、
言ってたたのに・・・。ねぇ、聞いてますか?」
レアのことが死神さんに聞こえているかわからないけど、レアは少しづつ、本当に死神さんが動かないことを理解してきました。
「悔しいじゃろうなぁ。なんといっても、自分を認めていた死神が自分のせいでこのような姿になってしまうとは・・・」
涙を流し、放心したレアの姿を見て恍惚の表情を浮かべ楽しんでいるアテネの姿。
レアはその場に跪き、動けなくなってしまう。
「どうしたら・・・どうしたら死神さんを助けてくれるんですか・・・。どうすればいいんですか!?」
死神さんの姿を見ながら怒り、悲しみ、絶望といった負の感情がこみ上げてきた。
胸の中に、黒いモヤが渦巻くのがわかる。
この女を、倒したい。死神さんを・・・助けたい!
でも、その力がない。レアの力では、死神さんも助けることができない。ましてや、運命の女神に抗うことなんて飛べない人間が谷へ飛び降りるのと同じ。
「・・・人間界に答えはある。小娘の長き命を使えば死ぬまでには元に戻せるかも・・。しれんな。一生を
その死神のために使い、主が命使いきり、死ぬ間際に後悔することじゃ。今日、我に楯突いたことをな」
扇で空間を軽く一度扇ぐと、目の前には光り輝くゲートが現れる。その姿は門のようにも見える。虹色に輝くゲートをくぐるときに卑しく笑いながらレアを見下ろしているアテネに、レアは黙って睨み返すことしかできませんでした。




