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女神は死神(仮)へ再就職希望しましたっ!  作者: き・そ・あ
第1章 死神さんと運命の女神と
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25 絶対的な格差

「し、死神さん!?」


 気が付くと目の前にはさっきまで死神さんと探索していた坑道が広がっていた。

 さっきまでの湖・・・景色は?

 思い出そうとしても、モヤがかかったように虚ろな記憶は次第に完全にレアの記憶から消えていって、代わりに死神さんのこと、今までのことが津波のようにレアの頭を襲ってきた。


「ここは・・!?レア、転びそうだったような・・・?」


「よかった。記憶も取り戻したみたいだな」


 レアの手を力強く握るその小さな手が少しだけ緩んだ。

 声を荒らげて、心配そうにこっちを見ている死神さん。

 どうやら、だいぶ心配をかけたようだ。


「小娘、我の術から抜け出すとは大したものだな」


「こいつは豊穣の女神の一族。まだまだひよっこだが才能は誰にも負けないんでね。・・・それより、こんなところになんのようだ?」


 レアをかばうように前に立ちふさがる死神さん。そんな、才能なんて・・。なんか照れちゃうじゃないですか。才能が有る。そんな嬉しいこと言われたことないので素直に嬉しい。そう感じて死神さんの後ろで照れ笑いをしていると、女の人の冷たい視線がレアに突き刺さるような感覚を受けました。


(この人・・だれ?)


 レアは見たことがない女の人にそっと視線を送ると、手にした扇で苛立ったような表情を浮かべながらこちらを・・・、死神さんを睨みつけていました。


「死神さん?あの人、知り合いですか?」


「はぁ!?僕なんかより、君の方がよっぽど近い存在じゃないのか?」


「は、はぁ・・・?」


 しゃがみこんで後ろから小声で聞いてみると、驚いたような、呆れたような言い方をしてくる死神さん。


 死神さんより、レアに近い?


 あんな怖い人が、レアの知っている人?

 死神さんのフードの隙間うらからもう一回見てみるも、やっぱりわからない。

 だれなんだろう?


「ほんとに知らないのかい?彼女は運命の女神、アテネ様だ。」


「えぇ!?」


 あんな怖い人が、天界のでも指折りの女神、いえ、女神の中の女神様。運命の歯車を司るアテネ様!?

 石像や、彫刻、絵画で見る人とは・・・その、印象が・・・。


「あ、あの人がですか?」


「そうだよ。君はアテネに滅ぼされそうになっていたんだ。」


「ほ、滅ぼされる?」


「うん。君の運命を無に帰す。つまり、存在を消すってことだよ。」


「存在を・・消す?」


「そう、物質的に肉体も、僕たちの記憶からもレア、君という一人の存在を消そうとしたのさ。」


 自分で自分を抱きしめながら身震いがしてしまう。

 もし、死神さんが助けてくれなかったらレアはここにいなかった。そういうこと?


「ででで、でも、どうしてレアなんかを?」


「簡単じゃ。我が紡ぐ運命に波風を立てる眷属を倒せず、あまつさえ出し抜かれるとは何事か。ここは命を持って償わせるべきじゃ。・・・しかし、死神は人気がなく少ないからのぅ。いなくなっても大丈夫そうな

主に決めたのじゃ。」


「つまり、アテネ様の八つ当たり先をうちの新人にしたってことですよね?」


「人聞きが悪いのう。ケジメってやつかの。人間界で言うところの」


 レアには、二人のやり取りが怖くて仕方ありませんでした。

 死神さんも、小刻みに震えるところがあって、なんだか穏やかではありませんし、聞いている限り、レアは本当にアテネ様の憂さ晴らしの道具にされているだけのようです。


「・・・あ、あの!」


「黙れ小娘っ!!」


 レアが声を上げた瞬間、アテネの咆哮が行動に響き、目に見えない衝撃波のように襲ってきた。

 その勢いに圧倒され何も言えなくなり、再び死神さんの後ろに隠れてしまう。

 うん。これはレアではどうにもなりません。


「どうするのじゃ?ここにいる人間ども。魂がなくなりもはやただの肉の塊。再生することもできずにこの者共は永遠に終わらぬ地獄で虐げられ、その魂が磨り減り消滅するのじゃぞ?」


 チラッとアテネ様が視線を移した先には物言わぬ人間が横たわっている。

 たしかに、それを言われるとものすごく辛い。


 ・・・でも、


「アテネ様が悪いんです・・・」


「おいっ!やめろ」


「なんじゃと?」


 ふたりの視線がこっちに来る。


 す、すごいプレッシャー・・・。


「だって、レアたちは頑張ってます。少ない情報で、精一杯やってます!運命の女神様なら、魔族や、冥府の王なんとかってやつが妨害してくることもわかるだろうし、近衛兵を使って守ってくれないんですか?!魂を回収する女神だって、何人も行方不明になったり、死んだりしています!自分は悪くないんですか?!」


「・・・」


 死神さんが、開いた口がしまらない。とでも絵に書いたようにこっちを見たまま放心状態になっている。

 私は、震える両手をごまかしながら、肩で息をしながら精一杯アテネを睨みつける。


「ふむ。・・・正論じゃな。」


 手にした扇をたたみ、ため息を一つ。

 わ、分かってくれたのかな?


「では、責任者にその代償を払わせるとしようかの!」


 アテネが扇を開き、レアの方に振り下ろすと立ちことすら出来ない突風が襲ってきた。


「・・っくあぅ・・」


 声にならない声を上げて呼吸もできないままレアは吹き飛ばされてしまいました。


「レア!!」


 死神さんが伸ばしたその手を、レアは掴むことができませんでした。

 そして、壁に叩きつけられたレアが目を開けると、そこには青白く光る何かに包まれた死神さんの姿がありました。

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