24 忘却
「あ・・あれ?どこ?ここ・・」
レアが振り向いた場所は綺麗なお花畑でした。
なんて伝えればいいのか、そんなに、深くなさそうな湖があって、周りには色とりどりのお花が咲いていて、レアは湖よりも少し高い場所。湖を見下ろせるような場所に立っていた。
時おり吹く風が清々しく、気持ちがいい。
風に舞う花びらがとってもきれい。その光景に見とれて何も考えることができなくなってしまいその場に立ち尽くしてしまう。
「すぅ~~・・・はぁ~~あ」
大きく深呼吸をすると、そのまま湖に向かって歩き出した。
確かに、さっきまで坑道に・・・。
あれ?坑道で、なに?
なんでそんなところにいたの?
あの綺麗な女の人は?
湖の向こう側に、蒼い、海よりも深く輝く髪。満月のように黄色く輝く瞳。
レアは・・あの人を知っている?
「あれ誰でしょうね?・・・っ?」
不意に振り向いて、誰かに話しかけていた。
レアはそこに、いないはずの誰かの影を見た気がしたんだけど・・・。
だれだっけ?
なんか、すごくいろいろ知っていて、いつも何考えてるかわからないけど、仕事熱心で・・・。
でも、どんな人だっけ?
あれ?レアは、誰かといたっけ?
思い出そうとすればするほど、頭の中が真っ白になってくる。
まるで、記憶がシャボン玉のように弾けて消えるように。
「ゆっくり休みなさい」
・・つ。頭が痛い。
思い出そうとすれば・・・。何かを考えると一瞬頭に痛みが走る。
レアは後ろを向くのをやめて、目の前の女の人に視線のおくる。
手招きされるがまま、そのままレアはゆっくりと歩き始めた。
湖の水は冷たくなく適度にぬるくて気持ちいい。レアの足は水面に波を描き出している。
まぁ・・いいかな。なんか苦痛で・・・。
思い出せないモヤモヤに捕えれらていたけど、いつの間にかそんなものはどうでもよくなっていった。
微笑みかける女の人のもとへ、あと数歩のところだった。
「っ!?・・・」
右腕に熱い、痛みが走る。
うっすらと血がにじんでいる。
意味がわからなくて、驚いていると隣に黒いフードの男の子がいた。
痩せていて、顔はフードで隠れていて鼻の下あたりまでしか見ることは出来ない。
誰だろう?
男の子はレアの手を強く、痛いくらいに握っていた。
「いい加減にしてもらえるかな?こいつはうちの期待の新人なんでね・・・」
聞いたことのある、優しい、落ち着く声が世界に響く。でも、誰だろう?この子。
「ふふふっ、われに逆らうか?一介の死神風情が」
女の人は笑顔とは真逆に、冷たい、刺々しい言葉を放った。
その瞬間に世界はその姿を変える。
花は散り、荒野とかし湖の水は干上がり、空は赤茶色に荒廃している。
レアはただ、その光景を見て慌てることしかできなかった。
女性が胸元から扇を取り出すと、広げて無造作に扇ぐ。
その風は世界そのものを崩壊させていく。
ひび割れた大地、空、それはガラスが砕けるように、音を立てて崩れ落ちた。
偽りの世界の向こうには、荒々しく削られた作りかけの弘道が姿を現した。
「レア!しっかりしろ!君はそんな弱い女神ではないだろっ!?」
男の子の呼びかけに、私は少しづつ瞳に光を取り戻していった。




