13 見た目は綺麗。中身はブラック
「えっと、とりあえずうるさいのがいなくなったところで、まずは仕事の説明をしようか。君、今までの仕事はどうなっているんだい?」
執事さんの笑い声が聞こえなくなると、死神さんがお茶をすすりながら話し始めた。
今までの仕事はどうしてる?レアにはよく意味がわからなかった。
「どう?と言うと、なんですか?」
「女神の仕事と兼任で死神業はできないよ?死神の仕事に転職するのか、研修期間だけでも女神のお仕事は止めないと・・」
「あぁっ!!た・・・確かにそうですよね。どうしよう・・・。今日は日程を聞くだけって言われてたし、まさかこんな」
死神さんの言っていることはよくわかる。
死神さんになるなら今までの仕事をどうにかしないと。
なんでそんなこともわからなかったんだろう。
「レ、レア今すぐ-」
リンリン。
立ち上がろうとしたレアを引き止めたのは死神さんの鈴の音だった。
ガチャ。
「主、いかがしましたか?」
「レアちゃんを採用するにあたって、前職のお仕事を研修期間が終わるまで止めるように天使長補佐ハミエルあたりに行ってきてよ。死神協会で雇うかも、って言えば大丈夫だから」
「かしこまりました。・・・ちっ」
鈴を鳴らすとものの数秒で執事さんは現れた。
レアなんていないみたいにしてたのに、お使いを頼まれた理由がレアだとわかると振り向きざまに視線が合うと、微笑みかけたレアとは逆に舌打ちをされてしまった。
そのままゆっくりと出ていく執事さん。
レア、仕事が嫌じゃなくて、執事さんで心が折れそう・・・。
でもでも!
「天使長補佐、ハミエル様にそんな簡単に言えるんですか?」
天使用補佐ハミエル様。大神殿で工務をされているとっても偉い方。レアだって、まだあったことも話したこともないのに。そんな簡単に謁見できるなんて。
「うん、気にしないで!死神協会も人材不足だからね。彼ならわかってくれるよ」
彼?すごい軽いノリで話してるけど・・・。この死神さん、ホントはすごい人なのかも??
「さてさて、それじゃ本題にはいろうか。君の仕事は死神として、生死の境を彷徨う人間の最後を決定する仕事だ。昨日も見てたけど、魂を肉体と切り離したら最後、その人死んじゃう。そんなお仕事、できるかい?」
「わかりません。でも、レアは昨日死神さんが教えてくれたみたいに、人間が後悔しない人生を送るお手伝いをしたいんです。」
「うん、いい答えだ。仕事は実践でなれていこう。」
腕を組みながら死神さんは数回頷いている。
「はいっ!お願いします」
「それじゃ、待遇だけど・・・休みは週に2回有給有り賞与あり夏期冬期休業有り初任給は16万グラン残業は毎月20時間まで制服武器支給髪型自由命の管理は自己責任!。どぉ?わかった?」
息を切らしながら一気にしゃべった死神さん。正直、途中の16万グラント命の管理は自己責任しか頭に入ってこなかった。
「は、はい。一応」
「でも、こんなの嘘!!」
「う、うそ?ですか?」
えぇっ?さっきのなんか一気に話したのはなんだったの??
「そう!実際には休みは不定期、人が死ぬ時は行かないといけないし、事故や事件で死ねば緊急出動!休みなんて取れないし、給料なんてもらっても使い道ないよ!毎日働いてるし。死神協会は神職で、天界でも特別な財源をもっているから福利厚生は手厚いんだ。この事務所にある物は好きにしていいし、ここで出前を取っても食べ放題。シフト上が休みでないなら、食費、交通費、なんでも経費で落とせるから後から戻ってくるよ。」
「え、えっと・・。死神で過労死する方はいないんですか?」
「あははっ!このタイミングそのジョークを言えれば大物だよ!以上!契約条件です。あ、泊まり込みもできるし、そのあたりは自由にしていいから!」
見た目が綺麗な死神協会だったけど、もしかして中身はスーパーブラック企業なのかも・・。
なんか、女神の仕事のほうがよっぽど楽なのかな。
フードの下から一瞬見える死神さんの目元にあるクマを見て少し悩んでしまうレアでした。




