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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第75話 剣聖ガイウス

ガイウスは静かに一歩前へ出る。


長年使い込まれた剣をゆっくり抜く。


その瞬間。


戦場の空気が変わった。


ゼルグの笑みが消える。


「……そうか。」


「本気のおぬしを見るのは何十年ぶりじゃろうな。」


ガイウスは静かに答えた。


「儂も歳を取った。」


「全盛期ほどは動けん。」


「じゃが。」


「弟子たちの前で、無様な姿は見せられん。」


りょうは初めて見る。


ガイウスが本気で剣を構える姿を。


剣を正眼に構えただけ。


それだけなのに、誰も動けない。


ノクスが小さくつぶやく。


「……これが。」


「剣聖。」


ゼルグは杖を掲げる。


「ならば!」


「最大魔法じゃ!」


空に巨大な魔法陣が幾重にも重なる。


終焉流星メテオ・カタストロフ!!」


無数の隕石が空から降り始めた。


森が震える。


大地が揺れる。


アリシアの顔が青ざめる。


「止められません!」


ガイウスは目を閉じた。


「昔は。」


「この程度、何度でも振れた。」


静かに息を吸う。


そして。


剣を一閃。


「天断。」


それだけだった。


斬撃は音もなく空へ駆け上がる。


次の瞬間。


空を覆っていた巨大な魔法陣が、一筋の線を境に真っ二つに裂けた。


ズバァァァァン!!


降り注いでいた隕石も、すべて霧のように消えていく。


森に静寂が戻った。


りょうは目を丸くする。


「え……。」


「一振り?」


ガイウスは剣を鞘へ納める。


カチリ。


「これで終わりではない。」


その直後。


ガクッ。


ガイウスは片膝をついた。


「ガイウスさん!」


アリシアが駆け寄る。


ガイウスは苦笑した。


「言ったじゃろ。」


「全盛期は数分。」


「今は一太刀が限界じゃ。」


ゼルグは汗をぬぐう。


「化け物め……。」


「老いてなお、この強さとは。」


ノクスも静かに頭を下げた。


「さすが剣聖です。」


しかし。


ゼルグは不敵に笑う。


「じゃが。」


「その一太刀はもう使えまい。」


ガイウスは否定しなかった。


「その通りじゃ。」


ゼルグが再び杖を構える。


「ここからは若者たちの番ということじゃな。」


りょうはガイウスの前へ立つ。


黒耀を構え、ニヤリと笑う。


「後は任せて。」


「師匠。」


ガイウスは少し照れくさそうに笑った。


「……初めてそう呼んだな。」


「へへ。」


「たまには。」


ガイウスはうれしそうにうなずく。


「ならば見せてみろ。」


「儂の弟子が、どこまで強くなったか。」


りょう、紗耶、アリシア、そしてノクス。


四人が横一列に並ぶ。


敵同士だった者も、今だけは同じ方向を向く。


ゼルグはそれを見て笑う。


「面白い。」


「勇者、聖女、星の巫女……ではなく、四天王まで共闘とは。」


「これだから、この時代は退屈せん。」


紫色の魔力が再び渦を巻く。


りょうは黒耀を握り締める。


「行くぞ!」


本気の大魔道士との決戦が、いよいよ始まった。

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