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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第74話 勇者と四天王

神殿の入口。


ノクスが張った結界に、紫色の魔法が次々とぶつかる。


ドォォォン!!


結界にひびが入る。


ゼルグの笑い声が響く。


「限界じゃな、ノクス!」


「その結界もあと数秒じゃ!」


ノクスは片膝をつく。


呼吸は荒い。


「……さすがに厳しいですね。」


りょうは黒耀を抜いた。


「もう十分だ。」


「ここからは俺たちが戦う!」


ノクスは静かに首を横に振る。


「いいえ。」


「私はまだ戦えます。」


ガイウスが前へ出る。


「若造。」


「強がるな。」


「その傷では長くは持たん。」


ノクスは苦笑した。


「剣聖に見抜かれてしまいましたか。」


その時。


結界が砕け散る。


パリン!!


ゼルグがゆっくりと降り立った。


「ようやく会えたのう。」


第四席・大魔道士ゼルグ。


手にした杖から、とてつもない魔力があふれている。


「ノクス。」


「最後に聞く。」


「勇者側へ付くのか?」


ノクスは静かに答えた。


「私は。」


「魔王様の配下です。」


「ならば。」


「なぜ勇者を守る!」


ノクスは少しだけ微笑む。


「魔王様が守ろうとしている未来を。」


「私も守りたいからです。」


ゼルグは目を細める。


「なるほど。」


「その答えなら納得じゃ。」


「ならば。」


「力づくで排除するまで。」


りょうが黒耀を構える。


黒マントを翻した。


「聞けぇぇぇ!!」


森中に声が響く。


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「仲間に手を出すなら!」


「相手が四天王でも容赦しない!」


ゼルグは吹き出した。


「ハハハハ!」


「相変わらず面白い勇者じゃ!」


その瞬間。


ゼルグの周囲に百を超える魔法陣が展開される。


「これが。」


「大魔道士じゃ。」


空一面を埋め尽くす魔法。


炎。


雷。


氷。


光。


闇。


あらゆる属性が一斉に放たれる。


紗耶は静かに目を閉じる。


――《クローズドクロック》発動。


世界が止まる。


彼女は空を見上げる。


「多すぎる……。」


すべてを避けることはできない。


しかし。


ゼルグの足元に、わずかな魔力の偏りを見つける。


(あそこが術式の中心。)


時間が動き出す。


「りょう!」


「足元!」


りょうは一直線に走る。


ゼルグは笑った。


「気付いたか!」


杖を振る。


「だが遅い!」


その瞬間。


ノクスがゼルグの前へ立つ。


「遅くありません。」


ノクスの幻影魔法が発動する。


十人。


二十人。


三十人。


無数のノクスがゼルグを取り囲む。


「どれが本物か分かりますか?」


ゼルグは舌打ちした。


「面倒な!」


「今だ!」


ノクスの声と同時に、りょうは黒耀を振り上げる。


「黒耀・双影斬!!」


漆黒の二重斬撃がゼルグの足元の魔法陣を切り裂く。


バリン!!


百を超える魔法陣が、一斉に砕け散った。


ゼルグは初めて大きく目を見開く。


「術式を……破壊したじゃと!?」


その一瞬の隙を見て、ガイウスが剣を抜く。


「若い者たちだけに任せてはおれん。」


剣聖の一太刀が、ついに戦場へ放たれた。

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