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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第71話 星霊の森の約束

王都を出発して三日。


一行は深い森へと足を踏み入れた。


そこは昼間でも薄暗く、木々の間を青白い光が漂っている。


ルナは辺りを見回し、小さくつぶやく。


「……懐かしい。」


「来たことがあるの?」


紗耶が尋ねる。


ルナは困ったように首を振る。


「分からない。」


「でも、心が覚えてる。」


森の奥へ進むと、突然、数十体の魔物が現れた。


「グルルル……!」


りょうは黒耀を抜く。


黒マントを翻す。


「聞けぇぇぇ!!」


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「行くぞ!」


「黒影連斬!!」


次々と魔物を斬り伏せていく。


アリシアは後方から支援魔法。


紗耶は風と氷の魔法で敵の動きを止める。


ガイウスも最小限の動きで魔物を倒していく。


戦いはあっという間に終わった。


「強くなったね。」


森の奥から聞き慣れた声がした。


白い仮面。


黒いローブ。


第三席・幻影卿ノクス。


「ノクス!」


りょうが黒耀を構える。


ノクスは両手を軽く上げた。


「今日は戦いません。」


「約束ですから。」


ガイウスが一歩前へ出る。


「何が目的じゃ。」


ノクスは静かにルナを見る。


「その子を、この森へ連れて来てほしかった。」


ルナは不安そうにりょうの服をつかむ。


「怖い……。」


りょうは優しく笑う。


「大丈夫。」


「俺たちがいる。」


ノクスは森の奥へ歩き出す。


「付いてきてください。」


しばらく進むと、巨大な白い石碑が姿を現した。


石碑には古代文字が刻まれている。


ルナはその前に立った瞬間、頭を押さえた。


「あっ……!」


記憶の断片がよみがえる。


白い塔。


優しい女性。


笑顔の人々。


そして――黒い空。


「いやっ!」


ルナが膝をつく。


紗耶が駆け寄る。


「ルナ!」


その時、石碑が淡く光り始めた。


ルナの手が、無意識に石碑へ触れる。


古代文字が次々と輝き、一つの映像が空中へ映し出された。


千年前の世界。


人と魔族が、同じ街で笑い合って暮らしている。


りょうは目を見開く。


「……え?」


アリシアも息をのむ。


「人間と魔族が……共に?」


ノクスは静かに語り始める。


「今から千年前。」


「人と魔族は敵ではありませんでした。」


「共に学び、共に生きていました。」


ガイウスが目を細める。


「伝承とは違う……。」


ノクスはうなずく。


「伝承は、勝者が作ります。」


「真実とは限りません。」


その瞬間、森全体が大きく揺れた。


ゴォォォォン!!


石碑に黒い亀裂が走る。


ノクスが空を見上げる。


「来ましたか。」


巨大な魔法陣が空に広がる。


紫色の魔力。


第四席・大魔道士ゼルグの魔力だった。


ゼルグの笑い声が森に響く。


「ノクス!」


「勇者に余計なことを教え過ぎじゃ!」


ノクスは仮面の奥でため息をつく。


「やはり来ましたね。」


りょうは黒耀を構える。


「ゼルグ!」


しかしノクスはりょうの前に立った。


「勇者。」


「ここは私が時間を稼ぎます。」


「え?」


「あなたには、ルナを連れて石碑の奥へ進んでもらいたい。」


りょうはノクスを見る。


敵であるはずの四天王が、自分たちを守ろうとしていた。


ノクスは静かに微笑む。


「真実を知るのは、あなたたちです。」


その言葉と同時に、彼はゼルグの魔法へ向かって歩き出した。

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