第70話 王都からの招集
翌朝。
アルカディア魔法学院に、一羽の白い伝書鳥が舞い降りた。
学院長が手紙を開く。
読み進めるにつれ、その表情が引き締まる。
「王からの召集じゃ。」
りょうたちが集まる。
「何かあったんですか?」
学院長はゆっくりうなずいた。
「王都で緊急会議が開かれる。」
「勇者一行にも出席してもらいたいそうじゃ。」
数日後。
王都の大広間。
各国の王や将軍、騎士団長、冒険者ギルドの代表が集まっていた。
りょうたちが入ると、ざわめきが起こる。
「勇者だ……。」
「四天王と渡り合ったという。」
しかし、その中には冷たい視線もあった。
「本当に勇者なのか?」
「四天王を一人も倒せていないではないか。」
その言葉に、りょうは何も言い返さなかった。
紗耶は少し悔しそうな表情を浮かべる。
王が静かに立ち上がる。
「静まれ。」
場が一気に静かになる。
「勇者たちは多くの命を救ってきた。」
「その功績は疑う余地がない。」
反対していた貴族たちも口を閉じた。
王は地図を広げる。
「本題に入ろう。」
地図の中央には、大陸の南西部が描かれている。
赤い印がいくつも付いていた。
「魔王軍の動きが活発になっている。」
「村や町への襲撃が急増した。」
ガイウスが地図を見る。
「……四天王の動きではないな。」
王もうなずく。
「魔王軍幹部が各地で暗躍している。」
そこへルナが地図を見つめ、小さくつぶやく。
「……この場所。」
全員がルナを見る。
「知ってるの?」
ルナは頭を押さえた。
「分からない……。」
「でも。」
「行かなきゃいけない気がする。」
指差した場所は、誰も立ち入らないとされる**《星霊の森》**だった。
学院長が驚く。
「そこは古代文明の遺跡が眠る場所じゃ。」
その時。
会議室の窓が突然開く。
バサッ!
一羽の黒い鴉が飛び込み、机の上に降り立った。
鴉は一枚の手紙を落とす。
王が開く。
そこには短く書かれていた。
『勇者へ。星霊の森で待つ。――ノクス』
会議室が騒然となる。
「四天王からの招待状だと!?」
「罠だ!」
騎士団長たちがざわめく。
りょうは静かに手紙を受け取った。
「行く。」
紗耶がりょうを見る。
「危険だよ。」
「分かってる。」
りょうは黒耀の柄を握り、まっすぐ前を向く。
「でも。」
「ノクスは意味のない嘘はつかない。」
ガイウスも腕を組み、静かにうなずいた。
「儂もそう思う。」
「第三席は策士じゃが、無意味な罠は好まん。」
王はしばらく考えたあと、決断する。
「よかろう。」
「勇者一行に《星霊の森》の調査を命じる。」
「ただし、生きて帰ってくること。」
りょうは深く一礼した。
「必ず。」
そして王城を出ると、黒マントを翻し、大きく宣言する。
「聞けぇぇぇ!!」
街を歩く人々が振り返る。
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「星霊の森に隠された真実!」
「この俺が暴いてみせる!」
紗耶は苦笑しながら肩をすくめる。
「会議のあとでも通常運転だね。」
アリシアとルナは思わず笑い、ガイウスは「それでこそ勇者じゃ」と静かに笑った。
新たな目的地――星霊の森。
そこでは、第三席・幻影卿ノクスが一行を待っていた。




