第65話 敵と共闘
古代兵器がゆっくりと立ち上がる。
ゴゴゴゴゴ……
その一歩だけで鋼鉄要塞の床が砕けた。
紫色の瞳が、敵も味方も区別なく見渡す。
「殲滅対象……確認。」
「生命反応……全て排除。」
「まずい!」
アリシアの声が響く。
「敵味方を識別していません!」
ドォォォン!!
古代兵器の腕が振り下ろされる。
巨大な鉄骨が崩れ、魔王軍の兵士たちへ落ちる。
その瞬間。
「どけ!」
アイゼンが飛び込んだ。
大剣で鉄骨を受け止める。
ギギギギ……
鋼化した肉体でも膝が沈む。
「将軍!」
部下たちが避難する。
アイゼンは最後の一人が逃げるまで、その場を動かなかった。
りょうはその姿を見て決意する。
「紗耶!」
「アリシア!」
「今だけは!」
「アイゼンと共闘する!」
二人は迷わず頷いた。
「うん!」
「もちろんです!」
りょうはアイゼンの隣へ走る。
「手伝う!」
アイゼンは少し驚き、すぐに笑った。
「勇者。」
「敵を助けるのか。」
りょうは黒耀を構える。
「違う。」
「人を助けるだけだ!」
アイゼンは静かにうなずく。
「……その答え、嫌いではない。」
古代兵器が右腕を振り上げる。
巨大な魔力砲が形成される。
「エネルギー充填。」
ガイウスが叫ぶ。
「散れぇ!!」
極太の光線が放たれた。
山肌を削り、要塞の一部を消し飛ばす。
全員が息をのむ。
紗耶は集中する。
――《クローズドクロック》発動。
世界が静止した。
古代兵器の周囲を歩く。
「……あった。」
胸の奥。
黒耀と同じ古代文字。
「りょう!」
時間が動き出す。
「胸の紋章!」
「あれが制御装置!」
「了解!」
りょうが飛び出す。
しかし、その前へ古代兵器の巨大な腕が立ちはだかる。
「通さん。」
アイゼンだった。
「ここは私が開ける。」
大剣を構える。
「勇者。」
「道は作る。」
「お前は進め。」
アイゼンは全身の鋼化を極限まで高める。
銀色の魔力が爆発した。
「鋼皇斬!!」
ドォォォォン!!
古代兵器の腕が初めて切り裂かれる。
「今だ!」
りょうは一直線に駆ける。
黒耀が光る。
アリシアの支援魔法。
紗耶の魔力。
そしてガイウスの叫び。
「迷うな!」
りょうは黒マントを翻した。
「聞けぇぇぇ!!」
古代兵器を見上げる。
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「お前は!」
「ここで止める!!」
黒耀がかつてないほど強く輝き始める。
だが、それは第一解放とは違う光だった。
ガイウスが目を見開く。
「まさか……!」
「黒耀の……第二解放!?」




