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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第64話 鋼鉄将軍の誇り

紫色の魔法陣が要塞全体を包む。


ゴゴゴゴゴ……


床が揺れ、壁に刻まれた古代文字が赤く光り始める。


「これは……。」


紗耶が顔をしかめる。


「大規模魔法。」


アイゼンは空を見上げたまま低くつぶやいた。


「ゼルグ……。」


「まさか、本当に起動させたのか。」


その声には焦りが混じっていた。


りょうは剣を構えたまま尋ねる。


「何が始まるんだ!」


アイゼンは少し迷った後、静かに答える。


「この要塞の地下には、古代兵器が眠っている。」


「本来は封印されたままのものだ。」


ガイウスの顔色が変わる。


「古代兵器じゃと……!」


紫色の光がさらに強くなる。


要塞が悲鳴を上げるように軋んだ。


アイゼンは舌打ちする。


「馬鹿な魔道士だ。」


「力を制御できる保証もない兵器を……。」


りょうは驚いた。


「敵同士で意見が違うのか?」


アイゼンはまっすぐりょうを見る。


「勇者。」


「勘違いするな。」


「私は魔王様に忠誠を誓っている。」


「だが。」


「無意味な破壊は好まん。」


その瞬間。


要塞の地下から巨大な咆哮が響いた。


ゴォォォォォォ!!


天井が崩れ始める。


アリシアが叫ぶ。


「崩れます!」


アイゼンは大剣を肩に担ぐ。


「勇者。」


「勝負は預ける。」


りょうは目を見開く。


「逃げるのか?」


「違う。」


アイゼンは首を振った。


「部下を救う。」


「それが将軍の務めだ。」


そう言うと、彼は一人で崩れ始めた要塞の奥へ駆けていく。


魔王軍の兵士たちも驚いていた。


「将軍!」


「急げ!」


アイゼンは巨大な瓦礫を持ち上げ、部下たちの退路を作る。


その姿を見て、りょうは思わずつぶやいた。


「……敵なのに。」


ガイウスが静かに言う。


「誇りある武人じゃ。」


その時。


地下が爆発した。


紫色の光柱が天を貫く。


そして、その中心から現れた。


高さ二十メートルはある、黒い鋼鉄の巨人。


目には紫色の光。


身体中に古代文字が刻まれている。


「起動……完了……。」


機械のような声が響く。


紗耶が息をのむ。


「これが……古代兵器。」


遠くの崖の上。


紫色の法衣をまとったゼルグが満足そうに笑う。


「成功じゃ。」


「実験は大成功。」


その隣にはノクスが立っていた。


「ゼルグ。」


「少しやり過ぎでは?」


ゼルグは肩をすくめる。


「安心せい。」


「壊すのは要塞だけじゃ。」


ノクスは静かにため息をつく。


「……あなたの『安心』は信用できません。」


一方、りょうは黒耀を構えた。


「みんな!」


「今は敵味方なんて言ってる場合じゃない!」


紗耶はうなずく。


「うん!」


アリシアも杖を握る。


「人を守りましょう!」


その時、要塞の奥からアイゼンの声が響いた。


「勇者!」


りょうが振り向く。


「この兵器を止められるのは!」


「黒耀だけだ!」


敵である四天王第二席から託された希望。


勇者は大きくうなずいた。


「任せろ!」


そして黒マントを翻し、高らかに名乗る。


「聞けぇぇぇ!!」


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「この世界も、この要塞も!」


「俺が守る!」

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