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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第59話 漆黒の一閃

《共鳴》が黒耀へ流れ込む。


紗耶の魔力。


アリシアの支援。


そして、りょうの「守りたい」という想い。


黒耀がこれまでで最も強く輝いた。


ガイウスが叫ぶ。


「斬る相手は波ではない!」


「流れじゃ!」


りょうは目を見開く。


(流れ……。)


巨大な津波を見つめる。


ほんの一瞬、その中に一本だけ「流れの筋」が見えた。


「見えた!」


りょうは黒マントを大きく翻した。


「聞けぇぇぇ!!」


町中に声が響く。


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「この町は!」


「誰一人、死なせない!」


黒耀を大きく構える。


「黒耀・流星斬!!」


ズバァァァァッ!!


巨大な黒い斬撃が津波へ飛ぶ。


ドゴォォォン!!


津波を消し飛ばすことはできなかった。


しかし。


波が左右へ割れた。


町の中央だけが守られ、津波は両脇の岩場へ流れていく。


ズガァァァン!!


大地が揺れる。


港の建物は何棟か壊れたが、人々は無事だった。


「助かった……。」


「生きてる!」


港町に歓声が上がる。


デュラスは少し驚いたように笑う。


「なるほど。」


「波は斬れなくても。」


「流れは変えられるか。」


りょうは息を切らしながら剣を構える。


「次はお前だ!」


デュラスは三叉槍を回した。


「面白い。」


「ならば本気で遊んでやろう。」


海面から無数の水柱が立ち上がる。


「来い!」


りょうも地面を蹴る。


ガキィィィン!!


黒耀と三叉槍が激突する。


デュラスの槍術は巧みだった。


力任せではない。


海流のように滑らかで、受け流しながら攻めてくる。


「ぐっ!」


りょうは押し返される。


ガイウスが静かにつぶやく。


「強い。」


「剣術ならアイゼン。」


「槍術なら、この男か。」


「紗耶!」


「援護!」


「任せて!」


風魔法でデュラスの足元を乱す。


アリシアも支援魔法を重ねる。


「ブレイブ・オーラ!」


「プロテクト!」


りょうは再び前へ出る。


「黒影連斬!!」


しかし。


デュラスは笑った。


「甘い。」


槍の柄で受け流し、そのまま腹へ蹴りを入れる。


ドン!!


「がはっ!」


りょうは吹き飛ばされた。


その時だった。


空から一羽の黒い鴉が舞い降りる。


デュラスの肩へ止まった。


「……命令か。」


デュラスは小さく舌打ちする。


「運がいいな、勇者。」


「今日はここまでだ。」


「逃げるのか!」


りょうが叫ぶ。


デュラスは海へ向かって歩き出す。


「勘違いするな。」


「俺は命令に従うだけだ。」


「次は、お前を海の底へ沈める。」


巨大な波がデュラスを包み、その姿は海へ消えた。


戦いは終わった。


港町は救われた。


しかし、りょうは拳を握る。


「……勝てなかった。」


ガイウスは静かに言う。


「いいや。」


「町を守った。」


「それだけで十分な勝利じゃ。」


紗耶が笑う。


「それに。」


「今回は名乗りがいつもより決まってたよ。」


りょうは照れ笑いした。


「そこかよ!」


笑い声が港町に広がる。


だが、その頃。


海の底深くでデュラスは四天王第三席・ノクスへ報告していた。


「勇者は予想以上に成長しています。」


ノクスは静かにうなずく。


「ええ。」


「だからこそ――」


仮面の奥で静かに微笑む。


「次は、私が迎えに行きましょう。」

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