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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第56話 黒耀の第一解放

「黒影・雷牙斬!!」


りょうは一直線に飛び込む。


氷の巨人も拳を振り下ろした。


「危ない!」


紗耶が叫ぶ。


しかし、りょうは止まらない。


黒耀が強く輝く。


キィィィン――。


刀身に刻まれた古代文字が青白く光り始めた。


「これは……!」


ガイウスが目を見開く。


「黒耀が応えておる!」


りょうの頭の中に、不思議な声が響く。


『汝、守るために剣を振るう者か。』


「……誰だ?」


『ならば力を貸そう。』


黒耀から黒い光が溢れ出す。


刀身を覆っていた光が、一瞬だけ長く伸びる。


まるで黒い魔力の刃が生えたようだった。


「うおおおおおっ!!」


ズバァァァッ!!


巨大な斬撃が氷の巨人の胸を切り裂く。


パリン!!


青い核に大きな亀裂が入った。


「効いた!」


りょうは笑う。


しかし、核はまだ砕けない。


氷の巨人は怒りの咆哮を上げる。


「りょう!」


「もう一撃!」


紗耶は指を鳴らす。


パチン。


「クローズド・クロック。」


止まった時間の中で、巨人の動きを見極める。


時間が動き出す瞬間。


「今!」


アリシアの支援魔法が重なる。


「ブレイブ・オーラ!」


「セイクリッド・ブレッシング!」


金色の光が黒耀を包む。


「行け!」


りょうは大きく息を吸う。


黒マントを翻す。


「聞けぇぇぇ!!」


吹雪の中へ声が響く。


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「この剣は!」


「人を守るための剣だ!!」


黒耀がまばゆく輝く。


「黒耀一閃!!」


ズガァァァァン!!


一筋の黒い斬撃が氷の核を真っ二つにした。


パリィィィン!!


核は粉々に砕け散る。


氷の巨人は静かに崩れ落ちた。


ドォォォン……。


神殿を覆っていた吹雪が止む。


雲の隙間から光が差し込む。


探索隊の隊長が頭を下げた。


「助かった……。」


「本当にありがとう。」


りょうは照れ笑いを浮かべる。


「みんなのおかげです。」


ガイウスは黒耀を見つめる。


「今のは。」


「剣が自ら力を貸した。」


学院長から聞いていた伝承を思い出す。


「黒耀には三つの解放段階があると言われておる。」


「今のは、その第一解放じゃ。」


りょうは驚く。


「まだ先があるの?」


「ある。」


「じゃが。」


「使いこなせるかは、お前次第じゃ。」


その夜。


神殿の最奥。


古い祭壇に、一枚の石板が置かれていた。


紗耶が古代文字を読み上げる。


「『黒耀の使い手よ。三つの試練を越えし時、真の力は目覚める』……。」


りょうは黒耀を見つめ、静かにうなずく。


「よし。」


「もっと強くなる。」


雪山の外では、誰にも気づかれぬまま、一羽の黒い鴉が飛び立っていく。


その行き先は、魔王城。


魔王は黒耀の第一解放を知り、静かに口元を上げた。


「勇者よ。」


「ようやく、お前との戦いが楽しみになってきた。」

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