第55話 雪山神殿への救援
アルカディアから北へ二日。
四人は白銀の世界を進んでいた。
吹雪が視界を奪う。
「寒い……。」
りょうは肩を震わせる。
アリシアが笑いながら魔法を使った。
「ウォーム・ブレス。」
淡い光が四人を包み、体が温かくなる。
「おお!」
「すごい!」
「便利だな!」
紗耶は地図を見ながら歩く。
「あそこ。」
雪山の頂上近く。
古代神殿が見えた。
しかし。
神殿の入口には、何十体もの氷の魔物が群がっている。
探索隊は結界を張って中へ避難していた。
「助けてくれ!」
声が聞こえる。
りょうは黒耀を抜いた。
黒マントを大きく翻す。
「聞けぇぇぇ!!」
氷の魔物たちが一斉に振り向く。
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「今から神殿を解放する!」
魔物たちが咆哮を上げた。
「ギャアアア!」
「行くよ!」
紗耶の風魔法が吹雪を切り裂く。
アリシアは支援魔法を重ねる。
「ブレイブ・オーラ!」
「プロテクト!」
りょうは黒耀を握り締める。
「黒影連斬!!」
以前より剣筋が鋭い。
氷の魔物が次々と倒れていく。
しかし。
神殿の奥から、巨大な足音が響いた。
ズシン。
ズシン。
高さ六メートルほどの氷の巨人。
全身が氷でできた古代の守護者。
探索隊の隊長が叫ぶ。
「気を付けろ!」
「普通の攻撃じゃ傷一つ付かない!」
りょうは前へ出る。
「俺がやる!」
ガイウスが静かに止める。
「焦るな。」
「敵を見ろ。」
りょうは深呼吸する。
氷の体。
胸の奥だけが青く光っている。
「あそこが核か!」
ガイウスは満足そうに頷く。
「ようやく敵を見るようになった。」
氷の巨人が拳を振り下ろす。
ドゴォォン!!
地面が砕ける。
りょうは紙一重で回避。
「紗耶!」
「分かってる!」
紗耶は指を鳴らした。
パチン。
「クローズド・クロック。」
時間が止まる。
止まった世界で、紗耶は巨人の周囲を走る。
だが――
「!」
胸の核だけが、わずかに脈動していた。
(止まってない……?)
時間が動き出す。
紗耶はすぐに距離を取る。
「りょう!」
「胸の核だけ、時間停止が効いてない!」
ガイウスの表情が変わる。
「古代文明の守護者か……。」
「魔法への耐性を持っておる。」
りょうは黒耀を構えた。
「なら!」
「剣で壊す!」
アリシアが最後の支援魔法をかける。
「勇気を!」
「力を!」
黒耀が淡く光る。
りょうは地面を蹴った。
「黒影・雷牙斬!!」
黒い雷をまとった一撃が、氷の巨人の胸へ迫る――。
その瞬間。
黒耀が今までとは違う輝きを放った。
「……!」
りょう自身も知らない、新たな力が目覚めようとしていた。




