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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第49話 魔法学院の入学試験

翌朝。


魔法学院アルカディア。


学院長は紗耶へ一枚の紙を渡した。


「正式に学ぶには、試験を受けてもらう。」


紗耶は頷く。


「お願いします。」


学院長は笑った。


「心配はいらん。」


「実力を見るだけじゃ。」


りょうは腕を組む。


「俺は?」


学院長は少し困った顔をした。


「君は……。」


「魔法は使えるか?」


「ほぼ使えません!」


「……。」


「では見学じゃ。」


「ですよね。」


紗耶が思わず笑う。


試験場。


何百人もの受験者が集まっていた。


火の魔法。


氷の魔法。


雷。


土。


次々と披露される。


紗耶の番になる。


審査員が尋ねた。


「得意属性は?」


紗耶は少し考える。


「風、水、氷……あと時間魔法です。」


その瞬間。


会場が静まり返る。


「時間魔法?」


「伝説じゃないのか?」


紗耶は指を鳴らす。


パチン。


「クローズド・クロック。」


世界が止まる。


審査員以外には何も分からない。


止まった時間の中で、紗耶は試験用の的をすべて撃ち抜く。


時間が動き出す。


バン!


バン!


バン!


全ての的が同時に砕け散った。


会場から大歓声が上がる。


審査員は立ち上がった。


「満点!」


「文句なしの首席合格だ!」


紗耶は少し照れながら頭を下げる。


「ありがとうございます。」


りょうは大きな拍手を送る。


「さすが紗耶!」


その後。


学院長は紗耶へ一冊の古びた魔導書を手渡す。


「これは?」


「上級魔法の基礎じゃ。」


「君なら読める。」


紗耶は大切そうに抱えた。


その頃。


りょうは学院の訓練場で木刀を振っていた。


「はぁっ!」


「たぁっ!」


ガイウスが木刀で受ける。


「力を抜け。」


「はい!」


「また力みすぎじゃ。」


「はい!」


何度も繰り返す。


学院の生徒たちは不思議そうに見ていた。


「勇者なのに魔法じゃないんだ。」


「剣ばかりだ。」


昼休み。


学院の生徒がりょうへ近付く。


「勇者さん。」


「一つ聞いてもいいですか?」


「なんだ?」


「どうして毎回名乗るんです?」


りょうは真剣な顔になる。


「名乗ると。」


「テンションが上がる。」


「それだけ?」


「あと。」


少し笑う。


「助ける相手に、『誰が来てくれたのか』を知ってほしい。」


生徒たちは顔を見合わせる。


「なるほど。」


「それは……ちょっとかっこいいかも。」


その夜。


紗耶は図書館で魔導書を読んでいた。


ページをめくるたび、新しい魔法理論が頭へ入ってくる。


「面白い……。」


その時。


誰もいないはずの図書館で、ゆっくり拍手が響いた。


パチ……パチ……。


紗耶が振り向く。


本棚の奥。


紫色のローブをまとった老人が立っていた。


「見事じゃ。」


「その才能。」


「実に惜しい。」


紗耶は杖を構える。


「あなたは……。」


老人は深く一礼する。


「魔王軍四天王。」


「第四席・大魔道士ゼルグ。」


その瞳は、紗耶ではなく、彼女の持つ「時間停止」の力そのものを見つめていた。

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