第48話 魔法都市アルカディア
鉱山救助から数日後。
ベルフォートの平和が戻る中、王都から一通の書状が届いた。
アリシアが封を開く。
「国王陛下からです。」
ガイウスが内容を読む。
「魔法都市アルカディアへ向かえ、とある。」
紗耶が首をかしげる。
「魔法都市?」
「この大陸最大の魔法研究都市じゃ。」
「世界中の魔導士が集まる場所じゃよ。」
りょうは腕を組む。
「つまり!」
「新しい修行だな!」
ガイウスは頷く。
「紗耶にとっても、大きな意味がある。」
アリシアも笑顔になる。
「魔法書もたくさんありますよ。」
紗耶の目が少し輝いた。
「……行ってみたい。」
数日後。
四人は巨大な城壁に囲まれたアルカディアへ到着した。
空には魔法で浮かぶ灯り。
道を掃除する魔法人形。
空中を飛ぶ小さな配達ゴーレム。
りょうは目を丸くした。
「すげぇぇぇ!」
「全部魔法か!」
紗耶は周囲を見回しながら、どこか楽しそうだった。
「こんな場所があるんだ……。」
魔法学院へ案内される。
学院長が四人を迎えた。
白い長い髭をたくわえた老人だった。
「ようこそ。」
「勇者一行。」
学院長は紗耶を見る。
「君が時間魔法を扱う少女か。」
紗耶は頷く。
「はい。」
学院長の表情が少し厳しくなる。
「ならば。」
「急がねばならんな。」
その言葉に、りょうが反応する。
「どういうことですか?」
学院長は静かに答えた。
「時間停止は万能ではない。」
「使えば使うほど、身体への負担が蓄積する。」
紗耶は黙って話を聞いている。
ガイウスも真剣な表情だ。
「しかし。」
学院長は続けた。
「正しい制御法を学べば、その負担を大きく減らせる。」
紗耶はほっと息をついた。
「……よかった。」
その夜。
学院の図書館。
紗耶は大量の魔導書を前に目を輝かせていた。
「こんなにあるんだ……!」
りょうは隣で分厚い本を開く。
一ページ読んで閉じた。
「……全然分からん。」
紗耶は笑う。
「りょうは剣の本を読んだ方がいいよ。」
「そうする!」
一方その頃。
学院の屋上。
一人の黒いローブ姿が結界を見つめていた。
「やはり来ましたか。」
白い仮面。
幻影卿ノクス。
その隣に、紫色の法衣をまとった老人が立つ。
「ふむ。」
「時を止める娘。」
「面白い。」
ノクスが静かに言う。
「殺さないでください。」
老人は笑う。
「安心しろ。」
「わしは研究者じゃ。」
「少し実験をするだけだ。」
ノクスは仮面の奥で目を細めた。
「……その『実験』が、一番怖いのですがね。」
夜空に、紫色の魔法陣が静かに浮かび上がる。
四天王第四席・大魔道士ゼルグが、ついに動き始めた。




