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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第47話 漆黒の覇王、救助隊長

「よし!」


りょうは大岩へ手をかける。


「せーの!」


ガイウスも反対側から押す。


「ぬぅぅぅん!」


ゴゴゴゴ……


少しだけ岩が動いた。


「今です!」


紗耶は風魔法で砕けた石を吹き飛ばす。


アリシアは疲れた作業員へ回復魔法をかけ続けた。


「ホーリー・ヒール。」


「もう大丈夫ですよ。」


坑道の中。


閉じ込められた人たちは不安そうな表情をしていた。


小さな女の子が泣いている。


「お父さん……。」


父親は励ます。


「大丈夫だ。」


「きっと助けが来る。」


その時。


外から聞き慣れない大声が響いた。


「聞けぇぇぇ!!」


坑道の中が静まり返る。


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「必ず全員助け出す!」


女の子は涙を拭った。


「漆黒の……覇王?」


父親は笑う。


「変わった人みたいだ。」


「でも。」


「あの声なら信じられる。」


数時間後。


最後の大岩が取り除かれる。


光が坑道へ差し込んだ。


「出口だ!」


「助かった!」


作業員たちが次々と外へ出てくる。


アリシアは休む暇もなく回復魔法をかけ続ける。


紗耶は崩れそうな坑道を土魔法で補強する。


ガイウスは最後尾を確認しながら歩く。


りょうは一番奥まで走った。


「まだ誰かいるか!」


返事はない。


……と思った、その時。


「たすけて……。」


かすかな声。


瓦礫の下からだった。


りょうはすぐに駆け寄る。


大きな岩が二枚重なっている。


「くっ……!」


一人では動かない。


ガイウスも来る。


「二人で持ち上げるぞ。」


「はい!」


二人で力を込める。


しかし動かない。


紗耶も加わる。


アリシアも支える。


四人で押す。


それでも少ししか動かない。


その時。


助けられた作業員たちが戻ってきた。


「俺たちも手伝う!」


「恩返しだ!」


騎士団も集まる。


「せーの!」


町の人たちまで駆けつける。


「頑張れ!」


りょうは歯を食いしばる。


(みんなの想い。)


(守りたい。)


パチッ。


黒い火花が弾けた。


《共鳴》が発動する。


しかし今回は、攻撃ではない。


りょうの身体に黒い光が宿る。


「うおおおおお!!」


ゴゴゴゴゴ!!


巨大な岩が持ち上がった。


「今だ!」


ガイウスが少年を抱き上げる。


間一髪だった。


全員が外へ出た直後。


ドォォォン!!


坑道が完全に崩落した。


あと数秒遅ければ全員巻き込まれていた。


少年は涙を流しながらりょうへ抱きつく。


「ありがとう!」


りょうは笑って頭を撫でた。


「無事でよかった。」


夕方。


ベルフォートの町では、救助成功を祝う拍手が響いた。


ギルドマスターが四人に頭を下げる。


「あなたたちは町の恩人です。」


りょうは照れ笑いを浮かべる。


「いや、今回はみんなで助けたんです。」


ガイウスは静かに頷いた。


「それでよい。」


「《共鳴》とは、そういう力じゃ。」


その夜。


ノクスは水晶玉で救助の様子を見ていた。


「攻撃だけではなく、支えるためにも《共鳴》を使えるようになりましたか。」


彼は小さく笑う。


「神崎りょう。」


「あなたは、私の予想より早く成長しています。」


その一方、魔王城の地下深くでは、一人の老人が静かに目を開く。


紫色の法衣をまとい、無数の魔法陣に囲まれた男。


魔王軍四天王・第四席『大魔道士ゼルグ』。


彼は杖を手に取り、不敵に笑った。


「時を止める少女か……。」


「ならば、時さえ封じる魔法を見せてやろう。」

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